はじめに
増加する外国人労働者の日本在住に伴い、「家族滞在」ビザで日本に呼び寄せた配偶者や子どもたちが「日本で働きたい」と希望するケースが多くなっています。実際にどのような活動が認められ、どのような制限があるのでしょうか。本記事では、法務省や出入国在留管理庁の情報をもとに、家族滞在ビザ取得者の就労可否や資格外活動許可の範囲について、わかりやすく解説します。
家族滞在ビザとは
家族滞在ビザ(在留資格「家族滞在」)は、就労ビザや留学ビザを持つ外国人の配偶者や子が日本で一緒に生活するための在留資格であり※、原則として就労(収入を得る仕事)を目的とした滞在は認められていません。
※対象:配偶者・実子・養子・認知されている非嫡出子
※両親や兄弟姉妹は対象外
資格外活動許可とは
「家族滞在」ビザで働くための唯一の方法
家族滞在ビザを持つ方が日本で収入を得る仕事に従事する場合、【資格外活動許可】を取得する必要があります。
許可の種類
- 包括許可
勤務先や業務内容に限定なく、多くのアルバイト・パートが可能。
ただし、「風俗営業(パチンコ店、バー等)」など一部業種は禁止です。 - 個別許可
具体的な勤務先や業務内容ごとに許可を得るもの。単純労働など制限が厳しい。
許可を得る場合の主な制限
- 勤務時間は「週28時間以内」
1週間(7日間)あたり28時間以内の就労に限られています(長期休暇中の学生は1日8時間まで可という特例がありますが、家族滞在ビザには適用されません)。この制限を超えた就労は不法就労となり、強制退去等の行政処分の対象になる場合があります。 - 禁止されている業種
風俗営業や性風俗関連特殊営業等への従事は禁止。その他、適正な労働環境か確認が必要です。 - 個人事業主や業務委託契約について
勤務時間の管理が難しい仕事の場合、包括許可ではなく個別許可が求められるケースがあります。
資格外活動許可の申請手続
必要書類例
申請先・審査期間
留意点
よくある事例
ケースA
韓国籍の30歳女性Aさんは、IT企業で働く夫の扶養で家族滞在ビザを取得し来日。日本で生活費の補助のため、近隣のカフェでアルバイトを希望し、資格外活動許可を申請。無事に「週28時間以内」で働く許可を得て、土日中心に就労しています(風俗営業や飲食店の深夜業は回避)。
ケースB
ベトナム国籍の19歳学生B君は、両親とともに家族滞在ビザで日本へ。学業のかたわら短時間のコンビニアルバイトをしたいと希望。資格外活動許可を申請し許可を得て、週28時間を超えない範囲で就労を開始しました。
在留資格の変更について
家族滞在ビザで週28時間を超えて働きたい場合、または「正社員」として働きたい場合は、活動内容に応じた就労系の在留資格への変更が必要です(例:「技術・人文知識・国際業務」ビザ)。ただし、学歴や経験など審査要件があります。
まとめ
家族滞在ビザで呼び寄せた家族が日本で働くには、必ず資格外活動許可を取得しなければなりません。許可を得ればパートやアルバイトとして週28時間以内、かつ禁止業種以外での就労が可能です。より多く働きたい場合や正規雇用を目指す場合は、別の在留資格への変更検討が必要です。違反した場合は重大な法的リスクがあるため、正確な制度の理解と適切な手続きが不可欠です。