はじめに
「家族滞在ビザ」(在留資格「家族滞在」)は、日本で働く外国人が配偶者や子供を日本へ呼び寄せる際に必要となる在留資格です。しかし、扶養者自身が正社員やパートタイムのみならず、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、収入証明の方法や必要な書類に特有の注意点があります。本記事では、公式情報を元に正しい申請方法と注意点について詳しく解説します。
家族滞在ビザの審査基準と収入証明
在留資格「家族滞在」とは
在留資格「家族滞在」は、日本に在留する外国人が、配偶者や子を日本で扶養するために利用できるビザです。主な審査ポイントは「日本で一緒に生活できる経済力があるかどうか」であり、収入の安定性と額が重視されます。
複数アルバイトの場合の収入証明とは
扶養者が複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、以下のような書類の提出が求められます。
- 全ての勤務先の「在職証明書」
- 全勤務先の「給与明細」 (1年間分が望ましい)
- 市区町村が発行する「住民税の課税証明書」や「納税証明書」 (1年間の総所得および納税状況が記載されたもの)
これにより、すべての収入を合算した総所得が審査の対象となります。単一の勤務先しか申請書類に記載していない場合、十分な経済力として認められない場合がありますので、掛け持ちの場合はすべて正確に記載しましょう。
収入の安定性と認められるか
ビザ審査では「安定した収入」が非常に重要な評価基準です。アルバイトは正社員に比べて収入が不安定とみなされやすいため、月ごとにばらつきがある場合や、勤務先の変更が多い場合には詳しい説明や裏付け書類の提出が必要となります。
必要な収入と生活費の目安
家族滞在ビザの審査では「家族全員が生活できる収入」が必要とされますが、明確な金額基準は公表されていません。実務上の目安としては、扶養する家族人数や地域によるものの、以下のような金額がひとつの指標とされています:
扶養対象人数 | 目安となる年収 |
---|---|
配偶者または子1名 | 240万円~300万円以上 |
配偶者+子1名 | 300万円~360万円以上 |
配偶者+子2名 | 360万円以上 |
この金額は目安であり、住居形態や家賃、預貯金額など総合的に判断されます。
複数アルバイト証明に関する具体的注意点
1. 勤務先ごとの在職証明書・給与明細を必ず揃える
掛け持ちアルバイト全てについて「勤務先名」「仕事内容」「雇用期間」「勤務時間」「給与額」などが分かる書類を必ず収集し提出します。
2. 住民税関連の証明書は1年間の総所得が記載されているものを
課税証明書・納税証明書にはすべての収入を合算した総所得が記載されている必要があります。転職やアルバイトの移動があった場合は、前職の証明も忘れずに携帯しましょう。
3. 収入のばらつき・安定性に説明を添える
短期アルバイトや収入変動が大きい場合、なぜそのような状況になったか、今後安定した収入を維持できる根拠(勤務予定や契約書の写しなど)を添付すると良いでしょう。
4. 全てのアルバイトを申告する
入管での審査において、実態と異なる収入申告が発覚した場合は、虚偽申請として不許可となるリスクがあります。少額の副業も含め、全て正直に開示しましょう。
ケーススタディ
たとえば、ある留学生Aさんが大学に通いながら飲食店とコンビニで週計28時間以内の範囲でアルバイトを掛け持ちし、合算年収が270万円に達している場合、全勤務先から「在職証明書」「給与明細」、そして「住民税課税証明書」を漏れなく揃えれば、配偶者の家族滞在ビザ申請が可能です。もし一方の勤務先の収入や雇用の継続性に問題がある場合には、その補足説明を用意することで審査に通る確率が高くなります。
まとめ
在留資格「家族滞在」申請時に、扶養者が複数のアルバイトをしている場合、全ての収入源の正確な証明と、収入の安定性をきちんと説明することが重要です。住民税課税証明書や給与明細書を正しく揃え、虚偽なく情報を申告することがビザ取得への第一歩となります。公的サイトの最新情報も定期的に確認しましょう。