はじめに
日本で働く外国人の方が家族を日本に呼び寄せる際、多くの方が「家族滞在」ビザ(在留資格「家族滞在」)の取得を検討されます。しかし、扶養者(呼び寄せる側)の在留資格が「短期滞在」の場合、どのようなリスクがあるのか、またどのような対策が必要なのか、正確な知識が求められます。本記事では、政府機関の公式情報をもとに、家族滞在ビザ申請時の注意点やリスク、そして具体的な対策について詳しく解説します。
家族滞在ビザとは
家族滞在ビザ(在留資格「家族滞在」)は、日本で在留する外国人が、配偶者や子どもを日本に呼び寄せ、家族とともに生活するための在留資格です。主に「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」などの就労系在留資格を持つ方が対象となり、扶養者の在留資格や経済力が審査のポイントとなります。
扶養者が短期滞在資格の場合のリスク
1. 家族滞在ビザの申請不可
「短期滞在」ビザは、観光や親族訪問、短期商用などを目的とした在留資格であり、原則として家族滞在ビザの扶養者となることはできません。つまり、扶養者が短期滞在資格の場合、配偶者や子どもは「家族滞在」ビザを申請できないため、長期的な日本での同居が認められません。
2. 在留期間の制約
短期滞在の在留期間は最長90日間であり、延長や更新は原則認められていません。したがって、扶養者が短期滞在資格のままでは、家族も短期間しか日本に滞在できず、長期的な生活基盤を築くことができないリスクがあります。
3. 在留資格変更の困難
短期滞在から他の在留資格(例:家族滞在、就労系資格)への変更は、原則として認められていません。やむを得ない特別な事情がない限り、一度帰国し、現地の日本大使館・領事館で新たに在留資格認定証明書(COE)を取得してから再入国する必要があります。
4. 不法滞在・オーバーステイのリスク
在留期間を超えて日本に滞在した場合、不法滞在やオーバーステイとなり、今後のビザ申請や入国に大きな支障をきたすリスクがあります。特に、家族の事情で延長を希望しても、短期滞在資格では対応できません。
対策とポイント
1. 扶養者の在留資格を確認・変更する
家族を日本に呼び寄せる前に、扶養者自身が「短期滞在」以外の在留資格(例:「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」など)を取得しているか確認しましょう。もし短期滞在であれば、まずは就労可能な在留資格への変更手続きを行うことが最優先です。
2. 在留資格認定証明書(COE)の取得
家族を呼び寄せる際には、出入国在留管理庁にて「家族滞在」用の在留資格認定証明書(COE)を申請し、取得する必要があります。COEを取得後、家族は現地の日本大使館・領事館でビザ申請を行い、正式に「家族滞在」資格で入国できます。
3. 事例:短期滞在から家族滞在への切替に失敗したケース
例えば、中国籍のAさん(30代・男性)が「短期滞在」資格で日本に滞在中、配偶者と子どもを日本に呼び寄せようとしました。しかし、Aさんが短期滞在資格のままだったため、配偶者と子どもの「家族滞在」ビザ申請は認められず、一度帰国してから就労資格を取得し、改めて家族を呼び寄せる必要がありました。このように、扶養者の在留資格が適切でないと、家族の呼び寄せが大幅に遅れるリスクがあります。
4. 専門家への相談
在留資格の取得や変更は、法律や手続きが複雑なため、行政書士など専門家への相談をおすすめします。最新の法令や手続きに基づいたアドバイスを受けることで、リスク回避につながります。
まとめ
家族滞在ビザの申請において、扶養者の在留資格が「短期滞在」の場合は、家族を長期的に日本に呼び寄せることができません。まずは扶養者自身が適切な在留資格を取得し、在留資格認定証明書を活用して家族のビザ申請を行うことが重要です。手続きや要件は頻繁に変更されるため、必ず最新の公式情報を確認し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。