はじめに
国際結婚が増加する中、離婚後に日本で子どもと一緒に暮らしたいと考える外国人の方も多くなっています。特に「家族滞在」の在留資格で子どもを日本に呼び寄せたい場合、親権や監護の実態が審査で重要なポイントとなります。本記事では、最新の法務省や出入国在留管理庁の情報をもとに、審査のポイントや注意点について詳しく解説します。
家族滞在ビザとは
「家族滞在」は、日本に在留する外国人が扶養する配偶者や子どもが日本で一緒に生活するための在留資格です。対象は「配偶者」または「子(実子・養子・認知された子も含む)」に限られており、兄弟や親は対象外となります。
離婚後の家族滞在ビザの基本的な考え方
離婚後、外国人の親が「家族滞在」の在留資格で子どもを日本に呼び寄せたい場合、次の点が審査で重視されます。
親権・監護実態が審査に与える影響
親権の有無
離婚後に子どもを日本に呼び寄せる場合、申請者が親権者であることが大きなポイントとなります。日本の法律では、離婚時に必ず親権者を定める必要があります。親権者であれば、子どもを日本に呼び寄せる申請がしやすくなります。
監護実態の重要性
親権がなくても、実際に子どもを監護(同居し、日常生活を共にし、教育や生活の面倒を見ている状態)している場合、審査で考慮されることがあります。たとえば、元配偶者が親権者でも、申請者が実際に子どもを日本で育てていることが客観的に証明できれば、在留資格の許可が下りる可能性があります。
審査で重視される具体的なポイント
- 離婚後も子どもと同居し、日常生活を共にしていること
- 子どもの教育や生活費を実際に負担していること
- 子どもが日本で安定した生活を送れる環境が整っていること
- 申請者に十分な収入や生活基盤があること
- 子どもの福祉や利益が守られていること
申請に必要な主な書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 離婚届受理証明書
- 親権者であることを証明する戸籍謄本や裁判所の決定書
- 子どもの出生証明書や戸籍謄本(家族関係証明)
- 住民票(同居を証明)
- 申請者の在職証明書、納税証明書(経済力の証明)
- 子どもの在学証明書(必要に応じて)
事例紹介
韓国籍のAさん(女性)は日本人と離婚後、親権を取得し、10歳の息子B君を韓国から日本に呼び寄せたいと考えました。Aさんは日本で安定した職に就いており、B君と同居する住居も確保していました。Aさんは親権者であることを示す戸籍謄本やB君との同居を証明する住民票、経済力を証明する書類を提出し、「家族滞在」ビザの申請を行いました。審査では、Aさんが実際にB君を監護・養育している実態が重視され、無事に在留資格が認められました。
まとめ
離婚後に子どもを「家族滞在」で呼び寄せる場合、親権の有無だけでなく、実際の監護・養育の実態が審査で大きく影響します。親権がなくても、監護実態が証明できれば許可される可能性がありますが、書類や証拠の準備が重要です。最新の法務省や出入国在留管理庁の情報を確認し、適切な準備を行うことが、スムーズな申請につながります。