はじめに
日本で長く暮らすことを希望する外国人にとって、「定住者」の在留資格は大きな目標の一つです。特に、学歴や専門的な資格がない場合でも、安定した生活を送っていれば変更が認められる可能性があります。本記事では、法務省の公式情報に基づき、定住者への変更において評価される「生活実績」の内容をわかりやすく解説します。
定住者ビザとは
定住者ビザは、日本に長期的に定住する特別な事情がある外国人に与えられる在留資格です。就労制限がなく、自由に職業を選べる点が大きな特徴です。学歴や職歴を問わないため、日本の高校を卒業後就職した外国人や、日本人と結婚した外国人などが対象となります。在留期間は通常1年から5年で、更新が可能です 。
学歴・資格がなくても変更可能?
結論から言えば、学歴や専門資格がなくても定住者への変更は可能です。出入国在留管理庁のガイドラインでは、定住者ビザの審査において「学歴や職歴」は必須要件とはされていません。代わりに、以下の点が重視されます 。
- 日本での継続的な在留実績
- 経済的自立の能力
- 社会的・家庭的つながり
- 公的義務の履行状況
たとえば、中学校から来日し、高校を卒業後5年以上就労ビザで働いている場合、「特定活動」から「定住者」への変更が認められることがあります。この場合、学歴は高校卒業程度で十分であり、専門資格は不要です 。
評価される生活実績の内容
定住者への変更を審査する際、入管当局は「生活実績」を総合的に評価します。具体的には以下の要素が重視されます。
経済的自立
安定した収入があることが基本です。給与明細、納税証明書、雇用契約書などで、生活に困らない程度の収入があることを証明します。目安として年収300万円以上が望ましいとされています 。
家庭的つながり
日本人や永住者との家族関係は大きな評価ポイントです。特に、日本人の子を親権者として養育している場合、定住者への変更が認められる可能性が高くなります。法務省が公表した事例では、日本人の子を監護している外国人の申請が複数認められています 。
社会的義務の履行
納税、社会保険の加入、住民登録などの公的義務をきちんと果たしていることも重要です。交通違反や犯罪歴がないことも「素行善良」の要件として審査されます 。
在留の継続性
長期にわたって日本に在留していることも評価されます。たとえば、5年以上日本に滞在し、在留資格の更新を適切に続けてきた実績は、定住者としての根づきを示す証拠となります 。
実例で見る審査のポイント
法務省が公表している事例から、定住者への変更が認められたケースを紹介します。
- 約6年間在留し、日本人の子を親権者として養育。訪問介護員として収入がある 。
- 配偶者からの家庭内暴力(DV)が原因で離婚し、別居中。看護助手として安定した収入がある 。
- 特別永住者の配偶者として約13年在留。金属溶接業を経営し、一定の収入を得ている 。
一方で、以下のようなケースでは変更が認められませんでした。
これらの事例から、法律を遵守し、社会に貢献する生活を送っていることが重要であることがわかります。
まとめ
学歴や専門資格がなくても、定住者への変更は十分に可能です。重要なのは、日本での「生活実績」をいかに証明できるかです。安定した収入、家族との関係、公的義務の履行、在留の継続性などを文書でしっかり示すことが成功の鍵となります。個別の事情に応じた適切な準備と書類作成が求められるため、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします 。


