はじめに
近年、技能実習や特定技能で在留中の外国人が「定住者」への資格変更を希望するケースが増えています。しかし、安易な申請や要件を満たさない場合、不許可となる例が多く報告されています。本記事では、実際に多い不許可事例と、その原因・回避方法を解説します。内容は法務省・入管庁などの公式ガイドラインを参照しています。
技能実習・特定技能から「定住者」に変更が不許可になる主な例
1. 生活実態・申請理由が弱い
「定住者」への変更は、単に自由に働きたい、生活の幅を広げたいという理由では認められません。法務大臣が特別な事情を個別に認めるケースに限定され、「人道的配慮」「社会的事情」などが必要です。単に在留期間終了や退職を理由にした変更申請は、ほぼ不許可となります。
2. 在留中の不正・違反歴がある
技能実習や特定技能の在留期間中に、無断離職、失踪、不法就労、資格外活動違反などを行った場合、変更申請は厳しく審査され、不許可の可能性が高くなります。不正行為は実習終了後や申請時に発覚しても不利益となります。
3. 必要な要件を満たさない・立証資料が不十分
- 技能実習2号や特定技能の「良好修了実績」を示す資料が足りない
- 家族事情や事情説明の疎明が不十分
- 転職理由が曖昧、経済的自立性が説明できない
こうした場合、信頼性が低いと見なされ不許可になりやすいです。
4. 届出義務違反や住民登録等の不備
転居届や住民登録、雇用主への届出など法定手続きを怠っている場合、それが理由で不許可になるケースもあります。行政の照会で発覚しやすいため注意しましょう。
不許可を回避するためのポイント
1. 申請理由を明確かつ具体的に説明
「定住者」へ変更したい理由は、出入国在留管理庁ホームページで示されている「特別な事情」を参考に、詳細かつ根拠を持って記載しましょう。
- 日本で扶養すべき家族がいる
- 離婚や死別などやむを得ない事情
- 長期在留による生活基盤の証明
事実関係を裏付ける資料(戸籍謄本、婚姻解消証明など)も必須です。
2. 過去の在留状況を整理し、違反がないか確認
過去の不正や違反がある場合、正直に事情を説明したうえで、社会的信頼性・更生意欲等も訴える必要があります。
3. 必要書類と手続きを抜けなく行う
- 良好修了証明や技能試験合格証の添付
- 住民登録、転居届けや雇用主への届出完了の確認
- 最新の法務省・入管庁ガイドライン(例えば「定住者」公式要件)に合わせる
4. 無理な申請は避ける
要件を満たしていない場合は、無理な申請をせず、まず認可の可能性が高いほかの在留資格(例えば転職先での「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」)を検討するのも一策です。
まとめ
技能実習や特定技能から「定住者」への在留資格変更申請は、誰もが簡単に認められるものではありません。許可されない典型例を知り、確実な資料・経緯説明を準備し、まずは在留資格取得の公式ガイドラインに沿った相談・準備を進めることが最善です。公的なルールや事例は法務省・出入国在留管理庁のWebサイト(公式ページやガイドライン)で随時確認しましょう。

 
  
