はじめに
近年、副業をする方が増えており、特に定住者の方が本業の職場を変更せず副業を行っているケースも見受けられます。しかし、定住者の在留資格更新では収入や職業の安定性が重要視されるため、副業収入の取扱いに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、職場を変更せず副業をする場合の定住者更新申請における収入証明の注意点について、政府・自治体の公式情報を参照しながら、わかりやすく解説いたします。
定住者とは?
定住者は、法務省入国管理局によって認められる在留資格の一つです。定住者は、難民認定者、日系人やその配偶者、定住が特別に認められる者などが該当しますが、「身分又は地位に基づく在留資格」ではないため、在留の安定性や生計要件などの審査が行われます。
副業収入が定住者更新に与える影響
定住者の更新申請では、「今後も安定して日本国内で生計を維持できるか」が重要視されます。職場を変更せずに副業をしている場合、主な収入源が引き続き同じ職場であることが確認できる一方で、副業による追加収入も生計維持の要素として審査の対象となります。政府資料によると、在留資格更新時には「就労状況や収入状況を証明する資料の提出」が求められ、給与所得の源泉徴収票、収入証明書、課税証明書などが該当します。
収入証明の注意点
副業収入を含めた収入証明を提出する場合、以下の点に注意が必要です。
- 本業先の勤務継続状況が確認できる資料(雇用契約書・在職証明など)を用意する
- 副業収入も正規に申告し、課税証明書や確定申告書の控えなどの公式資料を提出する
- 両方の収入を合算した年間合計額が「安定した生活を維持できる水準」であることを客観的に示す
- 副業が法令に違反していないか、就労制限に反していないか、改めて確認する
- 税務署の発行する課税(所得)証明書は、自治体発行の証明より信頼性が高いとされています
このように本業の職場を変更していない場合でも、副業収入分も誤魔化さず正確に申告することが、在留資格更新の審査で不利益を被らないためのポイントです。
審査で想定されるケース
副業収入が安定している場合でも、主たる収入源が急激に減少している場合や、収入証明が不十分な場合には、審査期間が長引いたり、追加資料の提出を求められることがあります。また、副業の内容が資格外活動に該当しないかどうかも確認されます。たとえば、事業形態の副業や、多数の雇用先による就労等は届出や許可が必要となることがあります。
事例のご紹介
例えば、ある定住者の方が同じ工場に正社員として勤務しつつ、週末に飲食店でアルバイトを始めたとします。この場合、工場の雇用契約書と給与明細、アルバイト先の収入については確定申告書を添付し、両方の合計額を課税証明書で証明することが望ましいです。また、副業の業種が在留資格の活動範囲外でないかも慎重に確認しましょう。
まとめ
副業をしつつ本業の職場を変更しない場合でも、定住者の在留資格更新の際は収入証明の提出が求められます。課税証明書や雇用契約書を活用し、正確かつ十分に収入状況を説明することが重要です。審査基準や提出書類の詳細は法務省および出入国在留管理庁の公式サイトで随時確認し、疑問があれば専門家に相談することをおすすめします。


