はじめに
日本で生活するネパール人が日本国籍を取得するためには、帰化申請という複雑な手続きが必要になります。特に、必要となるネパール本国の公的書類をどのように準備し、ミスを防ぎながら申請を進めるかは、帰化申請の成否を大きく左右します。本記事では、国際業務専門の行政書士の視点から「ネパール人の帰化申請」における本国資料の収集方法、申請書の記載ミス回避の実践ポイント、証明書翻訳で気を付けるべき点、そして複雑な親族関係証明の対応策を解説します。
ネパール人の帰化申請で必要な本国資料
ネパール人が帰化申請をする場合、日本側の書類に加えて、ネパール本国で発行されたさまざまな証明書を準備する必要があります。主な本国資料は次の通りです。
- 国籍証明書(本人)
- 出生証明書(本人・兄弟姉妹)
- 結婚証明書(本人・両親)
- 家族関係証明書
- 死亡証明書(父母が亡くなっている場合)
- 離婚証明書(本人または両親が該当すれば)
これらの書類は、申請者の本国住所地を管轄するネパールの行政区役所で取得します。親族を通じて代理取得も可能な場合が多いですが、発行形式や言語(ネパール語・英語)、写真の有無などが地域によって異なるため、最新情報を必ず確認しましょう。
本国資料収集のポイントと注意点
1. 書類収集にかかる日数を見積もる
帰化申請のためのネパール本国資料は、取得に1カ月以上かかる場合があります。帰化申請の準備を始める段階で、どの資料が必要か洗い出し、取得手配を早めに行うことが肝心です。現地では親族経由の申請となるため、連絡や手数料の細部も事前確認しましょう。
2. 記載内容と申請書の整合性
証明書の内容(氏名・生年月日・親族構成など)が申請書と食い違っていないか、注意深く点検してください。たとえば、英語やネパール語表記の綴りがパスポートと一致していない場合、日本法務局で再提出や調査の対象となることがあります。また、親族証明は現地事情によって体系や呼称が異なることがあるため、家族構成を日本側で丁寧に説明できるよう準備しましょう。
3. 各書類の有効期限
各証明書には発行から3カ月といった有効期限が設定されている場合が多いです。書類収集から申請提出までのスケジュール管理も非常に重要です。
記載ミスを防ぐ方法とチェックポイント
帰化申請で不許可が出る理由のひとつが、申請書の記載ミスや記入もれです。以下の点に注意しましょう。
- 事実を正確に記載すること
虚偽や曖昧な表現、記載すべきことを省略した場合、申請全体の信用性が損なわれる恐れがあります。 - すべての欄に正確に記入
空欄や記載漏れがあると、追加資料を求められる・審査が遅延するといった不利益を被る可能性が高くなります。 - 必要に応じて行政書士など専門家にチェックを依頼
記載内容のダブルチェックは必須です。専門家の意見をとりいれてミスを減らしましょう。
証明書英文と日本語訳の整合性
外国語で作成された書類(ネパール語・英語)は、必ずA4判の日本語訳を添付し、翻訳者の氏名・住所・翻訳年月日を明記します。
ポイントは次の2つです。
- 固有名詞の一貫性
パスポートや在留カードの名前表記と、証明書・翻訳文のアルファベット表記を統一すること。 - 一部分翻訳は不可
証明書全体を正確・漏れなく翻訳することが法律で求められています。内容が少しでも異なると再提出指示が出るケースもあります。
親族関係証明の「複雑さ」と日本側の対応方法
ネパールの親族証明は日本の戸籍と異なり、統一的で厳密なシステムがないことも多いです。そのため、関係図や申述書で家族構成を日本語で端的に説明する補足資料を添付することが推奨されます。
- 親族関係証明書には、申請人・父母・兄弟姉妹・配偶者・子の関係や生年月日が写真付きで記載されていることが一般的です。
- 地域や家族の状況によって書類内容や呼称が異なりやすいため、法務局や行政書士と十分な事前相談をしましょう。
まとめ
ネパール人の帰化申請では、早めの本国資料準備・詳細な内容確認・翻訳と申請書の整合徹底・親族関係の説明補強が成功の鍵です。記載ミスや不整合が生じた場合、手続きの遅延や不許可の可能性が高くなるため、専門家と連携しながら慎重かつ計画的に手続きを進めてください。行政書士へご相談いただくことも、確かな申請につながる第一歩です。