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海外在住でも日本の公正証書遺言は作れる?日本大使館・領事館や一時帰国での作成方法を行政書士が解説します

遺言関連のアイキャッチ画像サインしている手

海外に住みながら、日本にある不動産や預貯金について「日本の公正証書遺言を作っておきたい」と考える方は少なくありません。
実は、日本国内の公証役場だけでなく、現地の日本大使館・総領事館(在外公館)でも、日本法に基づく遺言作成に関連する手続を行うことができます。
この記事では、海外在住の日本人が「日本で効力をもつ公正証書遺言」を準備する際の代表的な方法と、手続きの流れ・必要書類・注意点を、できるだけ平易な言葉で解説します。

※本記事は、日本の民法や外務省の公表情報等をもとに、一般的なポイントを整理したものです。 個別の事情によって結論が変わるため、最終的には専門家や公証役場等にご相談ください。

代表的には、次の二つのパターンがあります。

  • 一時帰国して、日本の公証役場で公正証書遺言を作成する方法
  • 住んでいる国の日本大使館・総領事館(在外公館)を利用する方法

日本の民法は、公正証書遺言を「公証人が遺言者の口述に基づき、公証人法等に従って作成する方式」と定めており、証人2名の立会い等が必要です。
在外公館でも、民法984条に基づき、領事が公証人の職務を行うことができるとされているため、海外在住者にとって重要な選択肢になります。

もっともスタンダードで、相続実務上も扱いやすいのが「一時帰国中に日本の公証役場で公正証書遺言を作る」方法です。

手続きの大まかな流れ

  • 最寄りの公証役場または希望する公証役場に事前予約をする
    (日本公証人連合会サイト等で全国の公証役場の連絡先を確認できます)
  • 公証人と遺言内容の打合せを行い、原案を作成してもらう
  • 予約した当日に、遺言者本人と証人2名が公証役場に出向く
  • 遺言者が公証人に遺言内容を口述し、公証人が読み上げ・確認を行う
  • 内容に問題がなければ、遺言者・証人・公証人が署名押印して完成する

公正証書遺言の原本は公証役場で保管され、遺言者には「正本」や「謄本」が交付されるため、紛失や改ざんのリスクが低いことが大きなメリットです。

必要となる主な書類の例

公証役場や遺言内容により異なりますが、一般的には次のような書類を求められます。

  • 遺言者の本人確認書類(写真付き身分証)
  • 遺言者の印鑑登録証明書および実印(日本国内で印鑑登録をしている場合)
  • 相続人との続柄が分かる戸籍謄本等
  • 受遺者(遺贈を受ける人)の住民票や登記事項証明書など必要資料
  • 不動産の登記事項証明書、固定資産税評価証明書など財産内容が分かる資料

海外在住者の場合、「印鑑登録がない」「住民票が国外にある」など事情が異なることも多いため、具体的な必要書類は事前に公証役場へ確認しておくことが重要です。

日本国内への一時帰国が難しい場合、在外公館で領事の関与する遺言関連手続きを利用する方法があります。

在外公館でできることの基本

外務省は、在外公館において日本人からの申請に基づき、在留証明、署名証明など各種証明書を発給していると説明しています。
署名証明は、日本国内で印鑑証明書の代わりとして利用されることが多く、相続や遺言関連書類に署名する際にも重要な役割を果たします。

また、民法984条により、領事は一定の場合に公証人の職務を行うことができる旨が定められていますが、実際の運用や取扱いは在外公館によって異なります。
そのため、「公正証書遺言と同様の方式の遺言」を在外公館で作成できるかどうか、また日本国内の相続手続でどのように扱われるかについては、事前に日本側の専門家等とよく確認する必要があります。

在外公館利用の一般的な手順イメージ

在外公館で遺言関連の証明や手続を行う場合、おおまかには次のような流れになります。

  • 管轄の日本大使館・総領事館のホームページで、証明・署名証明等の案内を確認する
  • 電話やメールで予約し、必要書類や手数料、持参物を確認する
  • 遺言書案や関係資料、パスポートなどを準備する
  • 領事の面前で署名(または拇印)を行い、署名証明・在留証明等の発給を受ける

在外公館での証明の詳細(申請方法・必要書類・手数料等)は、外務省の案内や各在外公館のホームページで確認できるとされています。

実務上の注意点

多くの専門家は、「海外で作成された遺言書や領事方式による遺言は、日本の相続実務で取り扱いが難しい場面があり得る」ことを指摘しています。
例えば、日本の金融機関や法務局の窓口で、在外公館で作成された書面の取扱いについて追加説明や補足資料を求められることがあり、相続手続に時間がかかる可能性があります。
そのため、「日本にある財産」について確実に手続きを進めたい場合には、可能であれば一時帰国のうえ日本の公証役場で公正証書遺言を作成しておくことが望ましいとされる場合もあります。

海外在住者がどの方法で日本の遺言を準備するかは、次のような点を踏まえて検討するとよいでしょう。

  • 日本へ一時帰国できるかどうか(期間・費用・健康状態など)
  • 日本にある財産の内容・金額・数(不動産、預貯金、有価証券など)
  • 相続人の居住地(日本・海外・複数の国に分かれているか)
  • 既に外国方式で遺言を作成しているかどうか
  • 将来の相続手続を、できる限りシンプルにしたいかどうか

また、「遺言の方式」については、遺言の方式の準拠法に関する法律や通則法により、一定の外国方式で作成された遺言も日本で有効と認められる場合があります。
ただし、相続登記や預貯金の払戻しなど実務上の手続のしやすさを考えると、日本の公証役場で作成された公正証書遺言は依然として非常に有力な選択肢といえます。

海外に住んでいても、日本にある財産について日本法に基づく遺言を準備することは可能であり、その中でも公正証書遺言は「偽造・紛失リスクが低く、相続手続に使いやすい方式」として位置づけられています。
方法としては、①一時帰国して公証役場で公正証書遺言を作成する、②在外公館で領事の関与する遺言関連手続・証明を利用する、といった選択肢があり、どちらが適切かはご自身の滞在国・家族構成・財産状況などによって変わります。
特に、将来の相続登記や金融機関での手続きをできるだけスムーズにしたい場合は、事前に日本の公証役場や専門家に相談し、最適な方式・文章内容・必要書類を確認してから動くことが大切です。

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