はじめに
外国人が日本で働く際、配偶者や子どもと一緒に生活したいという希望は非常に多いです。特に「技能実習」や「特定技能1号」といった在留資格で来日している方にとって、「家族滞在」ビザ(在留資格「家族滞在」)が取得できるかどうかは重要な関心事です。本記事では、制度上の制限や例外について、最新の政府情報をもとに詳しく解説します。
家族滞在ビザとは
在留資格「家族滞在」は、日本で働く外国人の配偶者や子どもが、日本で一緒に生活するために必要なビザです。対象となるのは、主に「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能2号」など、一定の在留資格を持つ外国人の家族です。
技能実習ビザで家族滞在は取得できるか
結論から申し上げますと、「技能実習」の在留資格を持つ方は、原則として家族滞在ビザを取得することができません。技能実習制度は、技能の習得や技術移転を目的としており、家族の帯同は制度上想定されていません。そのため、配偶者や子どもを日本に呼び寄せて一緒に暮らすことはできません。
例外的な対応
一時的に家族と過ごしたい場合は、「短期滞在ビザ」(最大90日間)を利用することが可能です。ただし、これはあくまで一時的な滞在であり、長期的な同居は認められていません。
特定技能1号で家族滞在は取得できるか
「特定技能1号」の在留資格も、原則として家族滞在ビザの取得は認められていません。法務省の公式Q&Aでも、「特定技能1号」では家族の帯同が認められていないことが明記されています。
制度上の例外
ただし、例外的に家族と一緒に日本で生活できるケースが存在します。具体的には、以下のような場合です。
- 既に他の在留資格(例:留学や技術・人文知識・国際業務)で家族滞在ビザを取得し、日本で生活していた家族がいる場合
本人が「特定技能1号」へ在留資格を変更した際、家族も「特定活動」ビザへ変更することで、引き続き日本で生活できる特例措置があります。 - 配偶者や子どもが「留学」等の在留資格を取得し、日本で生活する場合
配偶者や子ども自身が「留学」などの在留資格を取得することで、日本での滞在が可能となる場合があります。ただし、配偶者が「留学ビザ」を得る場合、日本語学校への留学では子どもの家族滞在ビザは認められず、専門学校や大学への進学が必要です。
特定技能2号との違い
「特定技能2号」の在留資格では、家族滞在ビザの取得が認められています。建設業や造船業など、特定分野で働く外国人向けの資格であり、配偶者や子どもを日本に呼び寄せて一緒に暮らすことが可能です。
家族滞在ビザの取得要件
家族滞在ビザを取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 扶養者が安定した収入を有していること
- 配偶者や子どもが扶養を受けていること
- 法律上の配偶者または子どもであること(内縁関係や事実婚は原則不可)
- 家族関係を証明する書類(結婚証明書、出生証明書等)の提出
事例紹介
ベトナム出身のAさん(技能実習2年目)は、母国に妻と5歳の子どもがいます。Aさんは家族と日本で暮らしたいと考えましたが、技能実習ビザでは家族滞在ビザの取得ができないため、短期滞在ビザで家族を一時的に呼び寄せることしかできませんでした。もしAさんが「特定技能2号」へ移行できれば、家族滞在ビザで家族と一緒に生活することが可能となります。
よくある質問
Q. 技能実習や特定技能1号から配偶者ビザに変更できますか?
技能実習や特定技能1号から直接「配偶者ビザ」(在留資格「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」)への変更は、原則として難しいですが、結婚相手が日本人や永住者の場合は要件を満たせば可能な場合もあります。
Q. 家族滞在ビザで就労はできますか?
原則として家族滞在ビザでの就労は認められていませんが、「資格外活動許可」を取得すれば、週28時間までのアルバイト等が可能です。
まとめ
- 技能実習や特定技能1号の在留資格では、原則として家族滞在ビザは取得できません。
- 特定技能2号や技術・人文知識・国際業務などの在留資格であれば、家族滞在ビザの取得が可能です。
- 例外的に、在留資格変更前から家族滞在ビザで日本に滞在していた場合など、特定活動ビザへの変更で家族と一緒に暮らせるケースもあります。
- 制度や手続きは複雑なため、行政書士など専門家への相談をおすすめします。