はじめに
近年、特定技能ビザで日本で働く外国人の転職に関する相談が増えています。「同じ業種なら簡単に転職できる?」「必要な手続きは?」といった疑問に、法務省出入国在留管理庁のガイドラインを基に分かりやすく解説します。行政書士としての専門知識を活かし、実務でよくある事例を交えながらご説明いたします。
特定技能ビザで転職が認められる条件
同一業種内での転職が基本
特定技能ビザで転職する場合、「同一の業務区分」または「技能水準が共通する業務」に限定されます。例えば:
- 建設業で「型枠施工」に従事していた場合、転職先でも同業務に就く必要があります。
- 飲食業のように業務区分がない分野では、同じ業種内であれば転職可能です。
産業分野ごとの制約
- 14の特定産業分野(介護・建設・外食など)を超えた転職は不可。
- 「素形材産業」から「産業機械製造業」への転職は、共通する鋳造業務に限り可能ですが、「電気・電子情報関連産業」への異動は認められません。
転職に必要な手続きフロー
ステップ1:在留資格変更許可申請
- 雇用契約締結後14日以内に、地方出入国在留管理局へ申請。
- 必要書類:
- 雇用条件書(年収300万円以上が目安)
- 特定技能支援計画書(転職先企業が作成)
- 健康診断書・技能試験合格証明書。
ステップ2:新旧企業の届出義務
当事者 | 必要な手続き |
---|---|
退職元企業 | ・雇用保険喪失届(ハローワーク) ・退職証明書発行 |
転職先企業 | ・四半期ごとの活動状況報告 ・社会保険加入手続き |
ステップ3:指定書の更新
申請許可後、パスポートに貼付される指定書を新しい勤務先情報に更新。
転職の3大リスクと対策
リスク1:申請中の収入空白期間
- アルバイト禁止:在留資格変更申請中(1-2ヶ月)は他社で働けません。
- 対策:転職先決定後に退職手続きを進めましょう。
リスク2:申請不許可の可能性
- 書類不備や技能不一致の場合、強制帰国のリスク。
- 対策:行政書士による書類チェックが有効です。
リスク3:企業間の引き抜き規制
- 政府が「無秩序な人材移動防止」を要請。
- 対策:ハローワーク経由での求人活動が安全です。
企業が知っておくべきポイント
定着率向上の取り組み
- 教育体制:母国語話者を指導員に配置(生産性20%向上の事例)。
- 評価制度:日本人と同等の昇給基準を明示。
違反事例から学ぶ
- 事例:転職先で業務区分外の作業をさせた飲食店が在留資格取消。
- 教訓:雇用契約書の業務内容記載は厳密に。
よくある質問
Q. 異業種への転職は可能?
→ 不可です。技能試験の再合格が必要ですが、在留期間(最大5年)の制約があるため現実的ではありません。
Q. 手続きにかかる期間は?
→ 書類準備を含め2-3ヶ月が目安。早期準備が鍵です。
Q. 申請中にアルバイトは?
→ 原則禁止。生活費は貯蓄でカバーする必要があります。
まとめ
特定技能ビザでの転職は、同一業種・同一業務に限り可能ですが、複雑な手続きとリスクを伴います。企業側は書類作成の正確性を担保し、外国人労働者にとっては経済的準備が重要です。行政書士や登録支援機関を活用し、法務省出入国在留管理庁の最新ガイドラインを常に確認しましょう。