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離婚時に借金がある場合、どう対応すればいい?債務整理の基礎知識と責任分担のポイント

小さな赤いろうそくの炎

離婚を考える際、「借金がある場合はどうすればいいのか?」と不安に感じる方は少なくありません。結婚生活の中で生じた借金や、配偶者の個人的な借金がどのように整理され、離婚後の責任分担がどうなるのかは、非常に重要なテーマです。本記事では、離婚時における借金問題の整理方法や責任分担、債務整理の基礎知識について、公的情報や専門家の解説をもとに分かりやすく解説します。

離婚時の財産分与では、婚姻中に築いた「プラスの財産」だけでなく、「マイナスの財産(借金)」も対象となります。特に、夫婦が共同生活を送るために生じた借金(例:生活費の補填や住宅ローンなど)は、夫婦が協力して築いた財産と同様に扱われ、原則として財産分与の対象です。

財産分与の計算は、プラスの財産から借金を差し引いた残額を2分の1ずつ分け合うのが基本です。もし借金が資産を上回る場合(債務超過)は、財産分与自体が行われないのが一般的です。その場合、残った借金は名義人が引き続き返済することになります。

借金には大きく分けて「夫婦共有の借金」と「個人の借金」があります。責任分担は以下のように整理できます。

借金の種類財産分与の対象離婚後の返済義務
夫婦共有の借金(生活費等)夫婦で分担(連帯責任の場合あり)
個人の借金(趣味・個人事業等)×借金名義人が単独で返済
結婚前の借金×借金名義人が単独で返済
  • 夫婦共有の借金:民法761条により、「日常の家事」に関する借金(例:生活費、家賃、光熱費等)は、夫婦が連帯して責任を負うとされています。この場合、離婚後も連帯債務者として返済義務が残る可能性があります。
  • 個人の借金:配偶者の趣味や個人事業、結婚前に負った借金などは、原則としてその名義人のみが返済義務を負います。

債務整理の主な方法

借金が多く返済が困難な場合、以下の債務整理の方法が検討できます。

  • 任意整理
    裁判所を介さず、債権者と直接交渉して返済額や返済方法を見直す手続きです。利息や遅延損害金のカットができる場合がありますが、信用情報に影響が出る点に注意が必要です。
  • 個人再生
    裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3~5年で分割返済する方法です。住宅ローンを抱える場合などに有効です。
  • 自己破産
    返済が不可能な場合、裁判所に申立てて借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。ただし、養育費や税金など一部の債務は免除されません。

養育費・慰謝料の扱い

  • 養育費は債務整理の対象外であり、減額や免除はできません。支払いが困難な場合は、元配偶者との協議や家庭裁判所での調停が必要です。
  • 慰謝料は、個人再生や自己破産の手続きで減免の対象となる場合があります。
  1. 借金の全容を把握する
    まず、配偶者に借金の明細や契約書を開示してもらい、借金の額や内容を正確に把握しましょう。
  2. 借金の性質を分類する
    生活費等の「日常家事債務」か、個人的な借金かを明確にします。財産分与や責任分担の判断基準となります。
  3. 協議・調停・裁判の選択
    離婚条件や借金の分担について話し合い(協議離婚)がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停や裁判離婚も検討します。
  4. 債務整理の検討と専門家への相談
    借金が多額で返済が困難な場合は、弁護士などの専門家に相談し、最適な債務整理の方法を選択しましょう。

例:Aさん(40代女性)は、夫Bさんとの離婚を考えています。Bさんが婚姻中に生活費の補填として200万円の借金を負っていました。Aさんは「離婚後もこの借金を返済しなければならないのか」と不安を感じ、専門家に相談しました。

専門家のアドバイスにより、借金が「日常家事債務」に該当するため、Aさんも連帯して返済義務を負う可能性があると判明。離婚協議の中で、財産分与の際に借金も含めて清算し、債務整理の手続きも視野に入れて解決を図ることとなりました。

離婚時に借金がある場合、まずは借金の内容や名義、性質を正確に把握し、財産分与や責任分担を明確にすることが大切です。夫婦共有の借金は財産分与の対象となりうる一方、個人的な借金は名義人が責任を負います。返済が困難な場合は、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理を検討し、早めに専門家へ相談することが解決への近道です。

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