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公正証書遺言の相続人が先に死亡したらどうなる?効力と対処法をわかりやすく解説

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「公正証書遺言を作った後に、遺言で財産をあげると書いていた相続人が先に亡くなってしまったら、遺言のその部分はどうなるのか」というご相談は、実務でも非常に多いテーマです。
公正証書遺言は形式面での安全性が高い一方で、作成後の家族関係や相続人の事情の変化までは完全には予測できません。

この記事では、民法の基本ルールと判例・実務での考え方を踏まえつつ、「相続人(または受遺者)が遺言者より先に死亡した場合の効力」と、「公正証書遺言を作るときに気をつけたいポイント」を、できるだけわかりやすく解説します。
参考イメージとしての事例も交えながら、今後の見直しや遺言作成の際に役立つ視点をお伝えします。

民法では、遺言は「遺言者が死亡したときから効力を生ずる」と定められています(民法985条)。
つまり、公正証書遺言であっても自筆証書遺言であっても、遺言の内容が法的に効力を持つのは、遺言を書いた時点ではなく、遺言者が亡くなった時点です。

そのため、遺言の中で財産を取得する予定の人(相続させる相手や受遺者)は、遺言者の生前にはまだ権利を取得しておらず、あくまで「将来の見込み」にすぎません。
この「効力発生のタイミング」が、相続人や受遺者が先に死亡したときの扱いを考えるうえで、とても重要なポイントになります。

遺言の対象者が亡くなっているとき

遺言者が亡くなった時点で、遺言で財産を取得するはずだった人がすでに亡くなっている場合、その人に関する遺言の部分は原則として効力を生じません。
公正証書遺言であっても、遺言の受取人が存在しない以上、その部分は無効となり、残りの有効な部分だけが生きる形になります。

このとき、無効になった部分の財産については、

  • 法定相続分に従った相続に戻る
  • もしくは、他の遺言内容との関係で解釈される
    といった扱いになり、相続人全員で遺産分割協議を行うのが一般的です。

代襲相続は原則認められない

遺言による承継では、相続人が先に死亡したからといって、自動的にその子どもが代襲相続するわけではない、というのが基本的な考え方です。
最高裁判例などでも、「遺言は遺言者死亡時に効力が発生し、その時点で受取人が存在している必要がある」とされ、遺言の場面では代襲相続を原則認めていません。

したがって、「長男にすべて相続させる」といった内容の公正証書遺言がある状態で、その長男が遺言者より先に亡くなっていると、長男に関する部分は無効となるのが原則です。

もっとも、裁判所は、遺言の文言や作成に至る経緯などから「遺言者は本来、このような場合には子や孫に承継させたいと考えていた」と評価できる特段の事情があるかを検討することがあります。
特別な事情が認められれば、その部分の遺言を有効と解釈した裁判例も紹介されています。

例えば、

  • 遺言書の中に「もし先に亡くなっていたときは、その子どもに相続させる」などの記載がある
  • 遺言作成前後の事情から、遺言者が代襲相続人に承継させる意思を明確に持っていたと認められる
    といった事情がある場合です。

ただし、これはあくまで個別事案ごとの判断であり、「自動的に代襲相続が認められる」というものではありませんので、実務上は慎重な検討が必要です。

ここでは、イメージしやすいように、仮想のケースを用いて流れを確認します。

  • 遺言者:Aさん
  • 相続人:長男Bさん、長女Cさん
  • 公正証書遺言の内容:「自宅不動産は長男Bに相続させる。その他の財産は長女Cに相続させる。」

この公正証書遺言を作成した後、先に長男Bさんが亡くなり、その後にAさんが亡くなったとします。

この場合、

  • 自宅不動産をBさんに相続させる部分:BさんがAさんの死亡時に存在していないため、その部分は原則として無効(遺言として効力を生じない)
  • その他の財産をCさんに相続させる部分:Cさんが生存していれば有効

無効となった自宅不動産については、法定相続分に従って相続するか、相続人間で遺産分割協議を行うことになります。
代襲相続としてBさんの子どもに自動的に引き継がれるわけではないため、Bさんの子どもが自宅を取得したい場合は、他の相続人との協議が必要になります。

1 代替的な受取人(予備的遺言)を明記する

相続人や受遺者が先に死亡する可能性は決して珍しいものではないため、「もし〇〇が先に死亡していた場合は、その子どもに相続させる」など、予備的な条項を入れておくことが有効です。
このような予備的遺言があれば、裁判所の解釈に頼らずとも、遺言者の意思を尊重した形で承継が行われやすくなります。

2 定期的な見直しを行う

公正証書遺言は一度作成して終わりではなく、家族構成や資産状況、健康状態などの変化に合わせて見直すことが重要です。
特に、相続人や受遺者の死亡、離婚・再婚、孫の誕生などの変化があったときには、内容が現状に合っているかを確認し、必要に応じて新たな遺言を作成することが望ましいといえます。

3 遺留分や法定相続分とのバランスにも注意

「特定の相続人にすべてを相続させる」といった内容の遺言は、公正証書遺言であっても有効ですが、他の相続人には遺留分が認められる場合があります。
遺留分侵害額請求などが生じると手続きが長期化するおそれがあるため、遺留分や税務面も含めてバランスを検討しておくと、実務上のトラブルを減らすことにつながります。

  • 公正証書遺言を含む遺言は、遺言者が死亡したときから効力を生じるため、その時点で遺言の対象となる相続人・受遺者が生存していない場合、その部分は原則として効力を生じません。
  • 遺言による承継では、相続人が先に死亡した場合の代襲相続は原則認められず、その部分の財産は法定相続分に基づく相続や遺産分割協議の対象になります。
  • 判例上、遺言者の意思や文言などから特段の事情が認められるときに限り、代襲相続人への承継を有効と解釈する余地はありますが、自動的に認められるわけではない点に注意が必要です。
  • 実務上のトラブルを避けるためには、「予備的な受取人の指定」「相続人・受遺者の死亡などの事情変化に応じた定期的な見直し」「遺留分や税務面も含めたバランスの検討」が大切です。

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