はじめに
遺言書は、自分の財産をどのように分配するかを明確にし、相続トラブルを防ぐための重要な手段です。しかし、遺言書を作成する際には、財産の種類や詳細について正確に把握しておく必要があります。本記事では、遺言書作成時に考慮すべき財産の種類とその詳細について解説します。
財産の種類とその特徴
遺言書で取り扱う財産は、大きく分けて以下のような種類があります。それぞれの特徴や注意点を見ていきましょう。
1. 不動産
不動産は相続財産の中でも特に重要な項目です。土地や建物などが該当しますが、以下の点に注意が必要です：
- 評価額の確認：不動産の評価額は固定資産税評価額や市場価格など、複数の基準があります。相続税対策として正確な評価が求められます。
- 権利関係：抵当権や借地権などが付帯している場合、それらも確認する必要があります。
- 分割の難しさ：不動産は現物分割が難しいため、換価分割（売却して現金化）や代償分割（他の財産で補填）を検討することもあります。
2. 金融資産
預貯金や株式、投資信託などが含まれます。これらは比較的分割しやすいですが、以下に注意しましょう：
- 口座凍結への対応：名義人が亡くなると口座が凍結されるため、相続手続きがスムーズに進むよう事前準備が必要です。
- 評価額の変動：株式や投資信託は価格変動があるため、遺言作成時点での評価額を確認することが重要です。
3. 動産
自動車や貴金属、美術品なども相続財産に含まれます。これらは価値が明確でない場合も多いため、専門家による査定を行うと良いでしょう。
4. 生命保険金
生命保険金は「みなし相続財産」として扱われる場合があります。以下を確認してください：
- 受取人指定：受取人によって課税対象となるかどうかが異なるため注意が必要です。
- 非課税枠：法定相続人1人あたり500万円まで非課税となる制度があります。
5. 負債
財産だけでなく負債も相続対象となります。住宅ローンやクレジットカード債務など、負債総額を把握し、遺言書に記載しておくことが重要です。
遺言書作成時の注意点
遺言書を作成する際には、以下のポイントにも留意しましょう：
1. 財産目録の作成
すべての財産と負債をリスト化した「財産目録」を作成しましょう。この目録は手書きではなくパソコンで作成しても構いません。ただし、各ページごとに署名と押印が必要です。
2. 遺留分への配慮
法定相続人には「遺留分」という最低限保証された取り分があります。この権利を侵害するとトラブルになる可能性があるため、配分内容を慎重に検討しましょう。
3. 専門家への相談
不動産評価や金融資産管理など、自力で対応が難しい場合は行政書士や司法書士、公証人など専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
遺言書を作成する際には、自身の財産全体を正確に把握し、それぞれの特徴や注意点を踏まえて記載内容を決めることが重要です。不動産や金融資産だけでなく、生命保険金や負債についても考慮し、適切な形で遺族へ意思を伝えましょう。また、不明点や不安な点については専門家へ相談しながら進めることで、より安心できる遺言書を作成できます。
