はじめに
日本に在留する外国人が「定住者ビザ」を持っている場合、「外国にいる子どもを日本に呼び寄せて一緒に暮らすことはできるのか?」という質問をよく受けます。
実際、家族帯同の可否は在留資格の種類によって異なり、「定住者ビザ」の場合にも一定の条件があります。この記事では、出入国在留管理庁の公式情報をもとに、外国に住むお子さんを日本に呼び寄せる場合に必要となる要件や手続きを解説します。
定住者ビザとは
「定住者」ビザは、法務大臣が特別な事情を考慮して、一定の在留期間を指定して日本での居住を認める在留資格です。
主な対象は、日系三世、中国残留邦人、難民定住者、または日本人・永住者などの扶養を受けて生活する未成年の子どもなどが含まれます。
在留期間は「5年、3年、1年、6か月」などが指定され、活動内容は特に制限されません。したがって、就労や学業など、広い範囲で日本での生活が認められます。
家族帯同の原則
定住者本人の家族が一緒に日本で暮らすためには、家族側にも適切な在留資格が必要です。
通常、在留外国人が配偶者や子を日本に呼ぶ場合は「家族滞在ビザ」が該当しますが、定住者の家族の場合は一部異なる取り扱いがあります。
配偶者または子どもが呼び寄せ対象となる基本的な範囲は、以下のとおりです。
- 配偶者(法的婚姻がある夫または妻)
- 未成年(18歳未満)で未婚の実子
- 6歳未満の養子(特別永住者・永住者・日本人・定住者の扶養を受ける場合)
これらに該当する子どもは、海外に住んでいても「定住者ビザ」の申請を通じて日本で一緒に暮らすことが可能です。
外国に住む子どもを日本に呼ぶための条件
外国に住むお子さんを呼び寄せる場合、その子どもが「扶養を受けて生活する未成年・未婚の実子」であることが重要な条件になります。
具体的には以下の書類が求められます。
- 戸籍謄本や出生証明書(親子関係の証明)
- 扶養者の在留カード・住民票・所得証明書
- 居住予定地を示す書類(賃貸契約書など)
- 在留資格認定証明書交付申請書
申請は日本側の親が出入国在留管理局に対して行い、入国後は14日以内に住居地届出を提出する義務があります。
日本に呼び寄せられない場合のケース
一方、家族帯同が認められないケースもあります。
- 子どもがすでに成人(18歳以上)している場合
- 子どもが既婚である場合
- 扶養関係(経済的・生活的支援)が認められない場合
- 親が安定した収入・生活基盤を持たない場合
これらに該当すると、「定住者ビザ」や「家族滞在ビザ」での帯同は原則認められません。その場合は、別の在留資格(留学、技能、特定活動など)を検討することになります。
事例:母親が定住者ビザ、子どもが外国在住
例えば、日本に定住者として滞在する母親が海外にいる未成年の子どもを呼び寄せたい場合、その子が「扶養を受けて生活する未成年・未婚の実子」であれば、定住者ビザの申請が可能です。
ただし、母親が十分な扶養能力(収入・居住環境)を持っていることを示す書類が求められます。
入管では個別に審査を行い、扶養関係に実体があるかどうかが重視されます。
まとめ
定住者ビザの家族帯同は、配偶者と「未成年・未婚の子ども」に限って認められており、成人した子どもや独立した家族は対象外です。
海外に住む子どもであっても、親の扶養下にある場合には日本で一緒に暮らすことができます。
ただし、在留資格認定証明書の申請段階で厳格な審査が行われるため、親子関係や扶養実態、経済的基盤を証明する資料を丁寧に準備することが重要です。
出入国在留管理庁の公式サイトで最新の要件を確認し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。


