はじめに
配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」)を持つ方は、「短期間の夫婦の別居が更新時に不許可につながらないか」と心配されるケースが多いです。法務省や出入国在留管理庁の審査では、同居が原則とされる一方、合理的な事情や婚姻生活の継続性がしっかり説明できれば、短期間の別居でも許可される可能性があります。
配偶者ビザ審査で重視される「同居」の原則
配偶者ビザは、「日本人または永住者と安定した夫婦生活を営んでいること」が基本条件です。在留管理当局は主に住民票や公的書類から「同居の有無」を確認し、別居の場合は「偽装結婚や離婚準備の可能性」を強く疑います。しかし法律で「同居が絶対」と決めているわけではなく、合理的な事情があれば柔軟な対応も可能です。
別居が問題視される理由
- 偽装結婚防止:配偶者ビザは就労制限がほとんど無いため、不正取得を警戒されています。
- 離婚準備や婚姻破綻の疑念:交流が途絶えている場合は認められません。
- 婚姻の安定性に疑念:生活費や交流記録がない場合、実態のある夫婦と認められません。
更新が許可されやすい合理的な別居理由
次のような事情が合理的理由として認められる場合、在留資格更新が可能です。
- 単身赴任や転勤(勤務辞令・証明書提出)
- 出産・育児・介護など家庭の事情(診断書や証明書提出)
- 学業・進学・資格取得(入学証明書、在学証明書提出)
- 一時的な住宅事情や引越し準備(短期であることを強調)
不許可リスクが高まる別居ケース
以下の場合は不許可となる可能性が非常に高まります。
別居がある場合に必要な書類と説明のポイント
別居時は、通常の必要書類以外に次のような補足資料が有効です。
- 別居理由書(開始時期、理由、期間、交流・生活費、今後の同居予定等の記載)
- 証明書類(勤務辞令・会社証明、診断書・入院証明、在学証明等)
- 婚姻継続性を示す証拠(LINEやメールのやり取り、家族写真、帰省や訪問記録、生活費送金明細等)
ケース別の対応策
| ケース | 提出書類 | 説明ポイント |
|---|---|---|
| 単身赴任・転勤 | 勤務先辞令・証明書・給与明細 | やむを得ない事情と生活費負担・交流記録 |
| 介護・出産 | 診断書・介護認定証等 | 一時的な理由であり期間や復帰予定の明示 |
| 学業・資格取得 | 在学証明書等 | 限定的期間と卒業後の同居予定、交流実績 |
注意すべき点
- 別居の事実が判明した場合、必ず理由書と証拠資料を添付し、事情を正確に説明しましょう。
- 別居期間が短期間であっても、それが合理的な理由によるものであること、かつ婚姻生活が継続していることを示す資料を準備しましょう。
- 虚偽申請は絶対に行わないでください(住民票の偽りなどは法律違反となり、今後の申請も困難になります)。
まとめ
短期間の別居があっても、合理的な事情と婚姻生活の継続性が客観的資料で立証できれば、配偶者ビザの更新許可を得ることは十分可能です。不安な場合は、専門家である行政書士などに相談して、説得力のある理由書と証拠資料を整えることをおすすめします。正確な申請こそが、確実な更新につながります。


