はじめに
外国人配偶者の母国で先に結婚手続をしてから、日本で一緒に暮らし始めるケースは珍しくありません。
その一方で、「母国で結婚していれば、日本では何もしなくていいのか」「いつまでに、どこに婚姻届を出せばいいのか」というご質問を多く耳にします。
この記事では、日本人と外国人が海外(相手方母国など)で先に婚姻した場合の日本での届出義務と、届出の時期・期限について、公的機関の情報に基づいて分かりやすく整理します。
国際結婚を母国で先にしたとき、日本で婚姻届は必要?
日本人が国際結婚をした場合、「日本の戸籍に婚姻の事実を記載する必要があるかどうか」がポイントになります。
- 外務省は、日本人と外国人が外国の方式で婚姻した場合、日本人の戸籍に婚姻の事実を記載するため、婚姻成立日から3か月以内に在外公館または本邦の市区町村役場に届出をする必要があるとしています。
- 法務省のQ&Aでも、日本人が外国の方式により婚姻したときは、婚姻成立の日から3か月以内に、婚姻に関する証書の謄本(日本語訳付き)を在外公館または本籍地の市区町村に提出する必要があると明記されています。
したがって、
- 日本人と外国人が相手の母国など外国で先に結婚した場合、原則として日本側への婚姻届(報告的届出)は「必要」です。
- 反対に、当事者双方が外国籍のみで、日本人が一人も含まれない場合は、日本の市区町村への届出は不要とする市区町村実務が示されています。
いつまでに届出が必要?「3か月ルール」と起算日
実務上もっとも誤解が多いのが「3か月の起算日」です。
- 外務省および各自治体の案内では、外国方式で婚姻した場合の届出期間は、婚姻成立日から3か月以内とされています。
- ここでいう婚姻成立日とは、相手方の母国の法律に従って婚姻が有効に成立した日(役所での登録日や婚姻証明書上の成立日)を指します。
例として、次のようなイメージが考えられます(具体の国名や氏名は仮例です)。
- 日本人Aさんと外国人Bさんが、Bさんの本国で2026年4月1日に婚姻登録を行い、婚姻証明書にも同日が成立日として記載された場合、
この3か月以内に、
期限を過ぎてしまった場合はどうなる?
「仕事の都合で帰国が遅れた」「書類の準備に手間取り、3か月を過ぎてしまった」というご相談もよくあります。
- 多くの自治体の案内では、外国の方式で婚姻した場合、原則として3か月以内の届出が求められていますが、期間を過ぎたからといって直ちに婚姻そのものが無効になるわけではありません。
- 法務省Q&Aは、3か月以内に婚姻証書の謄本を提出する必要があると定めたうえで、届出自体は「婚姻の事実を戸籍に記載するための報告的届出」である旨を前提に説明しており、実務では、期限経過後の届出についても受理の可否・必要書類を個別に判断する取扱いが行われています。
ただし、
- 在留資格「日本人の配偶者等」などの申請に際しては、配偶者の戸籍に婚姻事実の記載がない場合、戸籍謄本とあわせて婚姻届出受理証明書等の追加書類が求められることがあり、手続きが煩雑になる可能性があります。
- 実務的には、ビザ申請や各種手続の遅れを防ぐためにも、婚姻成立後できるだけ早期に届出を行うことが望ましいといえます。
期限を過ぎてしまったケースでは、
在外公館で届出した場合、日本の市区町村にも出す必要はある?
「母国で結婚 → 在外日本大使館で婚姻届を出した → その後、日本の市役所にも改めて届出が必要か」という点も、よく迷いやすいポイントです。
- 外務省は、日本人が外国の方式により婚姻した場合、婚姻した事実を戸籍に記載するため、婚姻挙行地にある在外公館または本邦の市区町村役場のいずれかに届出をすると説明しています。
- また、在外公館で受理された届書は外務省経由で本籍地市区町村へ送られ、審査のうえ戸籍に婚姻の記載がされる仕組みが解説されています。
したがって、
- 母国で婚姻成立後に在外公館で婚姻届をし、受理されていれば、その届書が本籍地に送られ、戸籍に婚姻が記載されますので、通常は日本の市区町村役場に同じ婚姻について重ねて届出をする必要はありません。
- ただし、「在外公館では日本方式の婚姻届を出したのか」「外国方式の報告的届出なのか」「実際に戸籍へ記載済みか」といった点で取扱いが分かれる場合があるため、心配な場合は、本籍地役場で戸籍を確認することが重要です。
まとめ
国際結婚を相手の母国など海外で先に成立させた場合でも、日本人が当事者に含まれるときは、日本の戸籍に婚姻の事実を記載するための届出が必要になります。
届出の原則的な期限は、婚姻成立日から3か月以内であり、在外公館または本籍地などの市区町村役場に対して、婚姻証書の謄本(日本語訳付き)を添えて提出する必要があります。
3か月を過ぎた場合でも、婚姻の有効性に直ちに影響が出るわけではありませんが、在留資格の取得や各種手続に支障をきたすおそれがあるため、可能な限り早期の届出が望ましいといえます。
在外公館で婚姻届が受理されていれば、原則として日本の市区町村に重ねて届出をする必要はなく、その届書が外務省経由で本籍地に送付され、戸籍に記載されます。
実際の必要書類や細かい取扱いは、国や在外公館、市区町村ごとに異なる場合がありますので、最新情報は必ず外務省・法務省・各自治体の案内を確認し、個別の事情がある場合は専門家に相談しながら進めていただくと安心です。



