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法人成り後の建設業許可の承継方法と手続きの注意点【行政書士が解説】

建築業許可のアイキャッチ画像

個人事業主が法人化(法人成り)を検討する際、建設業許可の取り扱いが大きな課題となります。令和2年10月の建設業法改正により、従来は新規に許可を取り直す必要があったところ、現在では事前認可を受けることで空白期間なく建設業許可を承継できる制度が整備されました。本記事では、法人成り後の建設業許可の承継方法と手続きにおける注意点について、公式情報に基づき詳しく解説します。

建設業法第17条の2に基づく事業承継制度では、個人事業主から法人への事業譲渡という形で建設業許可を承継できます。改正前は、個人事業の廃業届と法人での新規許可申請が必要で、審査期間中(約2か月)は許可がない状態となり、500万円以上の工事を請け負うことができませんでした。しかし、承継制度を利用すれば、許可番号も引き継げるため、取引先への信用維持にもつながります。

建設業許可を承継するには、以下の要件を満たす必要があります。まず、承継の効力発生日(事業譲渡日)の前日までに認可を受けることが必須です。次に、個人で営んでいた建設業の全部を法人に承継させなければなりません。一部の業種のみを承継することはできず、承継しない業種がある場合は事前に一部廃業届を提出する必要があります。そして最も重要なのが、承継先の法人が建設業許可の全要件(経営業務の管理責任者、専任技術者、財産的基礎、社会保険加入など)を満たしていることです。

具体的な手続きは次の流れで進みます。まず法人を設立し、個人事業主と新設法人との間で事業譲渡契約を締結します。次に事業譲渡契約書を持参して許可行政庁に事前相談を行い、必要書類や手続きについて確認します。その後、認可申請書を許可行政庁に提出し、審査を受けます。東京都の場合、承継予定日の2か月前から25日前までが受付期間とされています。審査を経て認可が下りたら、事業譲渡契約で定めた譲渡日(効力発生日)に建設業許可が承継されます。

申請受付の期間は行政庁によって異なりますが、承継予定日よりも前に認可を受ける必要があります。事後の遡及認可は認められていないため、この点は特に注意が必要です。関東地方整備局の大臣許可の場合は、承継予定日の90日前までに申請し、標準処理期間は90日とされています。東京都知事許可では、申請受付後25日(土日祝日等の閉庁日を除く)を要します。承継予定日の少なくとも1か月前までには申請を完了しておくことが推奨されます。

承継認可申請には、譲渡及び譲受け認可申請書(様式第22号の5)をはじめ、多くの書類が必要です。主要なものとして、事業譲渡契約書の写し、株主総会議事録、役員等の一覧表、営業所一覧表、専任技術者一覧表、工事経歴書、財務諸表、定款、登記事項証明書、納税証明書などがあります。また、健康保険等の加入状況や社会保険の加入証明資料も必要となります。新設法人の場合、一部の書類(登記事項証明書、営業の沿革、所属建設業者団体など)は承継日から30日以内に後日提出することが認められています。

一般建設業の場合、純資産額が500万円以上あるか、または500万円以上の資金調達能力があることが求められます。承継に係る契約において財産等の引継ぎがない場合は、直近の決算内容で審査されますが、引継ぎがある場合は承継直後の財務諸表を作成し、後日提出する必要があります。純資産が500万円を割る場合でも、申請時に預金残高証明書で500万円以上を証明できれば要件を満たします。

認可を受けて建設業許可を承継した後も、一定期間内に提出すべき書類があります。承継日から2週間以内に、常勤役員等や専任技術者の常勤性を証明する資料を提出しなければなりません。また、承継日から30日以内には、健康保険等の加入状況とその確認資料、登記事項証明書、営業の沿革、所属建設業者団体などの書類提出が必要です。これらの提出期限を守らないと、認可の取消し処分の対象となるため注意が必要です。

法人成りには、承継制度を利用する方法のほかに、従来からある「個人事業の廃業と法人での新規許可取得」という方法もあります。従来方式では、個人の廃業届と法人の新規申請書類を同時に提出しますが、新規申請の審査期間が約2か月かかるため、その間は無許可状態となります。一方、承継制度では空白期間が生じず、許可番号も引き継げるうえ、新規許可申請時の手数料9万円もかかりません。ただし、承継には全業種の引継ぎが必要で、監督処分や経営事項審査の結果も承継される点には留意が必要です。

法人成り後の建設業許可は、令和2年の法改正により承継制度を利用できるようになりました。事業譲渡契約を締結し、承継予定日の前に認可を受けることで、空白期間なく許可を引き継げます。ただし、全業種の承継が原則であり、承継先法人が全ての許可要件を満たしている必要があります。申請には事前相談が不可欠で、必要書類も多岐にわたるため、計画的に準備を進めることが重要です。手続きに不安がある場合は、建設業許可に精通した行政書士に相談することをお勧めします。

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