はじめに
近年、外国人の高度人材による日本での会社設立が増加しています。高度専門職の在留資格は「高度人材ポイント制」に基づき、幅広い優遇措置が受けられるため、起業を志望する外国籍の方に非常に魅力的な制度です。しかし、申請には厳格な要件や注意事項が存在します。今回は、高度専門職による会社設立を目指す方に向けて、在留資格取得のポイントや申請の流れ、注意すべき事項について解説します。
高度専門職の在留資格とは
高度専門職は、学歴・職歴・年収等に基づくポイントで審査され、70点以上が必要となります。この資格を取得すると、配偶者の就労制限がなくなる、在留期間が一律5年となる(2号への移行後は無期限)、子や親の帯同が認められるなど、他のビザにないメリットがあります。
会社設立と申請の流れ
会社設立を伴う場合は、高度専門職1号(ハ)が該当します。以下は主な流れです。
- 会社設立準備
- 在留資格認定証明書の申請
- 在留資格の取得と活動開始
申請時に必要な主な書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 活動内容を説明する書類(事業計画書など)
- ポイント計算表
- ポイント立証資料(学歴・職歴・年収等の証明書)
- 写真、返信用封筒(郵送の場合)
- 会社設立関連資料(登記事項証明書、事業所契約書等)
申請のポイントと注意事項
- ポイントは学歴や職歴などの加算もあり、詳細は法務省の公式表を事前に確認
- 会社設立前の事業所契約は個人名義が原則、設立後は会社名義に変更すること
- 資本金や人員要件など、経営管理ビザと共通する事項が多いが、ポイント制による優遇がある点が特徴
- 就労活動内容や給与水準も審査対象。日本人同等の報酬が必要
- 必要書類は発行日3か月以内のもの。また審査過程で追加資料が求められる場合あり
- 事例紹介の際は、氏名や年齢、家族構成等を変更し実績誤認を避ける
ケーススタディ
Aさん(35歳、韓国籍)は、東京でIT企業設立を目指す高度専門職希望者。修士号と8年のIT業界経験でポイント計算では合計85点。資本金700万円、常勤職員2名、事業所も新橋に確保。提出書類・事業計画を綿密に準備した結果、認定証明書交付もスムーズに進み、現在順調に会社経営をスタートしています。
まとめ
高度専門職で会社設立を目指す場合、「ポイント制」と「会社設立の要件」の双方を満たす準備が不可欠です。公式の情報や最新の法改正内容を常に確認し、必要書類や計画は早めに整えておきましょう。精度の高い申請準備で、在留資格取得と事業成功の両立を目指すことが可能です。