はじめに
高度専門職ビザは、日本で働く外国人が高度な知識や経験を活かして活躍できる在留資格です。しかし、転職や職種変更を考える場合は、ビザの仕組みや法的手続きについて十分な理解が必要です。本記事では、転職時に職種や勤務先が変わる場合の在留資格への影響と、そのリスクを回避するためのポイントをわかりやすく解説します。
高度専門職ビザの基本と仕組み
高度専門職ビザはポイント制による審査があり「学歴・職歴・年収・年齢」などの要素で70点以上を取得することで付与されます。このビザは申請者と勤務先企業の契約内容に基づき「指定書」としてパスポートに付されており、原則として指定された企業のみで就労が認められる仕組みです。
転職・職種変更の際に生じる影響
転職によって勤務先や業務内容が変わる場合、単なる届出だけでは済まされず「在留資格変更許可申請」が必要になります。
- 新しい勤務先でもポイント条件(学歴や年収等)を満たしているか再審査される。
- 年収ダウンや職務内容の変更でポイント不足となった場合は、不許可となり他の在留資格(例:技術・人文知識・国際業務等)への変更検討が必要です。
- 転職手続きは「在留資格変更許可申請」を転職前に行い、許可後に新しい職場で勤務を開始する流れとなります。
行政機関の公式情報と注意点
法務省出入国在留管理庁の公式ガイドによれば、高度専門職から別の会社への転職は必ず事前に審査と変更申請が必要とされています。
- 改正による優遇措置(家族帯同や永住申請期間短縮等)が、転職でリセットされる可能性があるため要注意です。
- 転職や在留資格変更申請に必要な書類や基準は、出入国在留管理庁や法務省の公式サイトで随時確認を推奨します。
リスク回避のためのポイント
- 転職前に新しい勤務先でポイント制条件を満たすか確認すること。
- 業務内容や雇用条件が大きく変わる場合は、ビザの種類変更も視野に入れる。
- 転職先が決定したら、できるだけ早めに「在留資格変更許可申請」を行うこと。また、申請手続きから許可まで通常2週間~1か月程度かかるため、余裕を持ったスケジュールが重要です。
転職事例
例えば、Aさん(中国籍・35歳)はIT企業で高度専門職ビザを取得して5年以上勤務していました。転職先は同じIT業界でしたが年収が前職より減少。法務省公式サイトでポイント算定後、70点未満となったため、他ビザへの変更手続きも検討しました。結果的に転職先と協議し年収条件見直し、ポイント再計算で基準をクリアし「高度専門職」ビザを維持しました。
このように、転職前にポイント条件や必要書類の準備を徹底することでリスクを最小限にできます。
まとめ
高度専門職ビザ保持者が転職時に職種や勤務先を変更する場合は、在留資格変更許可申請が必要です。新しい勤務先でポイント条件を満たすか慎重にチェックすることが重要で、条件不足の場合は他の在留資格変更も検討する必要があります。法務省・出入国在留管理庁の公式情報を確認し、十分な準備のもと正確に申請手続きを行いましょう。