はじめに
高度専門職ビザの申請や更新、永住申請などで必須となる「ポイント計算」ですが、この際に提出する資格証明書などの添付書類に誤りや不備が発覚した場合、申請の結果に直結することが多いため、早急かつ慎重な対応が不可欠です。本記事では、ミスが発生した際の具体的な対応策や流れについて、公的情報をもとに詳しく解説します。
高度専門職ポイント制とは
高度専門職ビザは、日本において高度な専門的知識や技能を有する外国人材が対象とされる制度です。申請者は「学歴」「職歴」「年収」「年齢」「ボーナス加点(資格や実績等)」に基づきポイントが計算され、合計70点以上であれば該当在留資格が認定されます。申請には計算根拠となる各種証明書類(学位証明書、資格証明書、成績証明書など)の提出が義務付けられています。
主なミスの例
・学位証明書の記載内容に抜け漏れがあった
・資格証や語学証明書の有効期限切れや偽造が疑われる
・提出資料と実際のポイント計算内容が一致しない
・翻訳書類の内容に誤りがあった
ミスが発覚した場合の基本対応
- 不備通知を受けた場合の対応
入国管理局は、申請書類に不備やミスがあれば、不備通知書や追加資料提出依頼書を交付します。この場合、定められた期間内に正しい書類を再提出することが重要です。 - 速やかな修正申請
ミスが明らかとなった場合は、正しい証明書類(例:修正済みの学位証明書等)を用意し、速やかに追加提出または訂正申請を行います。意図的な虚偽や偽造が認められた場合は、却下や今後の申請に大きな不利益となるため、誤りが生じた経緯や理由も明記すると安心です。 - 申請取下げと再申請の検討
重大なミス(根本的な資格要件の未達や信頼性の失墜等)の場合、申請自体の取下げを行い、正しい書類を準備したうえで再度最初から申請することも可能です。特に永住許可や更新の審査時は慎重な判断が求められます。
実際の対応事例
ある申請者が学士号と修士号の両方の証明書を提出し、合算でポイント加算を主張しましたが、実際には学歴のポイント対象は「最終取得学位に対してのみ」となっていたため、合算が認められませんでした。追加資料の提出を求められた際、実際に修士号のみを証明する書類を提出し、ポイント再計算のうえで無事に在留資格が認定されました。
注意点と予防策
・ 必ず公式のポイント計算表を用い、最新情報を確認する
・ 証明書は自国発行のものを日本語訳付きで用意し、公的な証明力を担保する
・ 書類は提出前によく確認し、第三者(専門家、行政書士等)による事前チェックを活用する
・ ポイント加算対象の根拠となる証明資料(職歴証明や語学資格等)は正規機関が発行したものに限定し、不明点は出入国在留管理庁や認定機関へ事前相談する
まとめ
高度専門職ポイント計算における資格証明書等のミスは、「訂正」「修正」「追加提出」ができる機会が設けられていますが、虚偽や隠ぺいは重大なペナルティとなります。正確な証明書作成と事前チェック、公的機関の指示に従った迅速な対応が、不利な結果を防ぐ最大のポイントです。