はじめに
高度専門職の在留資格を持つ外国人が勤務先の倒産に直面した場合、在留資格の維持や更新に関して不安を感じる方は多いです。日本の出入国在留管理庁(入管法)では、倒産などやむを得ない事情による離職の場合の対応策や猶予期間が定められており、適切に対応すれば不許可になるリスクを回避できます。本記事では、高度専門職ビザの特徴、勤務先倒産後の具体的な対応方法、更新申請での注意点、不許可を避けるためのポイントを政府発表などの公的データや信頼できる専門情報を基にわかりやすく解説します。
高度専門職の在留資格とは
高度専門職の在留資格は、日本の経済発展に寄与する高度な知識や技能を持つ外国人に与えられる特別なビザです。ポイント制を採用し、申請時や更新時に計算されたポイントが70点以上であること、さらには活動内容の適合性と良好な在留状況が必要条件となります(法務省出入国在留管理庁)。この資格は通常5年の在留期間が付与され、更新は3か月前から手続きが可能です。更新申請時には最新のポイント計算表や証明書類、前回申請以降の活動実績を提出し審査されます。
勤務先が倒産した場合の対応
勤務先の倒産で職を失った時点から、高度専門職の在留資格維持のためにはいくつか重要な手続きがあります。まず、退職(離職)した日から14日以内に、所轄の出入国在留管理局へ「契約機関に関する届出」を行う義務があります。これは倒産や解雇などのやむを得ない事情で活動内容が一時的に満たせないことを報告するためのものです。
その後は、できるだけ速やかに次の就職先を見つけて、高度専門職の要件を満たす勤務先との雇用契約を結び、「在留資格変更許可申請」または「在留期間更新許可申請」を提出して再承認を受けることが必要です。無職状態が3ヶ月以上続くと、在留資格の取消事由に該当する可能性があるため注意が必要です。
在留資格更新申請時の注意点と不許可回避法
更新申請は、ポイント制の厳格な再審査があるため、単に書類を揃えれば良いわけではありません。勤務先の倒産という事情があっても、以下の点に留意して申請することが不許可回避の鍵となります。
- 新たな勤務先の企業規模や業務内容が高度専門職の要件を満たしていることを証明する資料を用意すること。
- 直近の活動状況や納税状況に問題がないことを証明できること(例:住民税の課税証明書など)。
- 転職活動の履歴や内定書類、面接記録などを保管し、必要に応じて入管へ提出し、在留資格継続の正当な理由を説明できること.
- 申請は在留期限の少なくとも3か月前から余裕を持って行い、入管からの追加資料要求への対応を迅速に行うこと。
これらの対策を専門家(行政書士など)と相談しながら進めることで、不許可リスクを最小化できます。
ケース事例
例えば、ITエンジニアのAさんが勤務する会社が突然倒産。Aさんは離職後14日以内に「契約機関に関する届出」を行い、転職活動を続けました。2ヶ月半後、新たなIT企業から内定を取り、勤務先の雇用契約書や仕事内容説明書を整えて入管に提出した結果、無事に高度専門職ビザの更新が認められました。このように、正確な届出と転職活動の記録が不許可回避につながります。
まとめ
勤務先が倒産などで失業した場合、高度専門職の在留資格は直ちに失効するわけではありませんが、適切な届出と迅速な転職活動、そして要件を満たした次の勤務先との契約が不可欠です。特に、退職後14日以内の届出義務と3ヶ月以内の再就職は必ず守りましょう。
更新申請時にはポイント要件の再審査が厳格に行われるため、入管からの追加資料提出にも対応できるよう、余裕を持って申請手続きを進めることが重要です。申請時の不備を避けるため、専門の行政書士へ早めに相談することをおすすめします。
これらを理解し正しく対応すれば、高度専門職ビザの更新で不許可を回避し、日本での安定した滞在と活動を継続できます。