はじめに
相続手続、婚姻、各種許認可や名義変更などでは、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)や除籍謄本、改製原戸籍が必要になることがあります。本籍地が現在の住所地から遠い場合でも、本籍地の市区町村役場へ郵送請求することで戸籍を取り寄せることが可能です。
もっとも、請求先の誤り、本人確認書類の不足、手数料の不足などがあると、交付までに時間がかかります。この記事では、遠方にある本籍地の戸籍を郵送で取得する手順と注意点をわかりやすく解説します。
戸籍謄本は本籍地の市区町村へ請求します
戸籍は、本籍地を置く市区町村が管理しています。そのため、郵送で戸籍謄本を請求する場合は、原則として本籍地の市区町村役場の戸籍担当窓口へ書類を送付します。
現在住んでいる市区町村と本籍地が異なることは珍しくありません。千葉県に住んでいても、本籍地が北海道、京都府、福岡県などにある場合には、その本籍地の市区町村へ請求します。
なお、戸籍全部事項証明書、除籍全部事項証明書、改製原戸籍謄本については、最寄りの市区町村窓口で請求できる「戸籍証明書等の広域交付」を利用できる場合があります。ただし、広域交付は窓口での本人請求が必要であり、郵送請求や代理人による請求はできません。遠方の役所へ出向けない場合や、代理人を通じて取得する場合には、本籍地への郵送請求が基本となります。
郵送請求で用意するもの
必要書類は市区町村ごとに多少異なりますが、一般的には次のものを準備します。事前に本籍地の市区町村ホームページで、申請書、手数料、返信方法を確認しておくと安心です。
- 戸籍証明書等の郵送請求書
- 請求者の本人確認書類のコピー
- 手数料分の定額小為替
- 返信先を記載し、切手を貼った返信用封筒
- 親族関係や請求理由を示す資料、委任状など(必要な場合)
請求書には、請求者の氏名・住所・生年月日・連絡先のほか、本籍、筆頭者氏名、必要な証明書の種類、必要通数、使用目的などを記載します。本籍と筆頭者氏名は、住所や世帯主氏名とは異なるため、記載を誤らないよう注意が必要です。
手数料と定額小為替の注意点
戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)や戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)の手数料は、通常1通450円です。除籍謄本や改製原戸籍謄本は、通常1通750円です。一方、戸籍の附票、身分証明書、独身証明書などは、自治体条例により手数料が異なることがあります。
郵送請求では、手数料を郵便局で購入する定額小為替で納める方法が一般的です。定額小為替の受取人欄には、通常、何も記入せずに同封します。金額や記載方法の取扱いは自治体により異なるため、必ず請求先の案内に従ってください。
相続で出生から死亡までの戸籍を集める場合は、必要となる除籍謄本や改製原戸籍の通数を事前に確定できないことがあります。このようなときは、請求書に「出生から死亡までの連続した戸籍を各1通」などと目的を具体的に記載し、不足分の手数料の取扱いを請求先へ事前に確認するとよいでしょう。
郵送請求の手順
まず、本籍地の市区町村役場のホームページから郵送請求用の申請書を取得します。所定様式がない場合でも、必要事項を満たせば任意の書式で受け付ける自治体もありますが、原則として指定様式を使うほうが確実です。
次に、本人確認書類のコピーを用意します。運転免許証、マイナンバーカードの顔写真面、在留カードなどが一般的です。健康保険資格確認書を提出する場合には、記号・番号等のマスキングを求められることがあります。住所変更がある場合は、現住所が確認できる面もコピーします。
その後、申請書、本人確認書類のコピー、定額小為替、返信用封筒を同封し、本籍地の市区町村役場へ送付します。返信用封筒の宛先は、原則として請求者の住民登録地とされることが多いため、勤務先や親族宅などへの返送を希望しても対応されない場合があります。
相続で戸籍を請求するときのポイント
相続手続では、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍が必要になることがあります。現在の戸籍だけでは、婚姻、転籍、養子縁組、親族関係の変動などが判明しないことがあるためです。
たとえば、亡くなった方が出生地から就職や婚姻を機に複数回転籍していた場合、現在の本籍地だけでなく、以前の本籍地に保管されている除籍謄本や改製原戸籍も必要になる可能性があります。請求書には、相続手続のために必要であること、判明している範囲の本籍地や対象者の氏名・生年月日を具体的に記載しましょう。
請求者が配偶者、子、父母などの直系親族であることが戸籍上明らかでない場合は、親族関係を示す戸籍の写しを添付するよう求められることがあります。また、第三者請求では、正当な請求理由や利害関係を示す資料が必要です。
コンビニ交付・広域交付も確認しましょう
本籍地の市区町村が対応している場合、マイナンバーカードを使ってコンビニ交付を利用できることがあります。住所地と本籍地が異なる場合は、本籍地の市区町村に対して事前の利用登録が必要となるのが一般的です。利用できる証明書の種類、利用時間、手数料は自治体ごとに異なります。
また、本人、配偶者、直系尊属、直系卑属が取得する戸籍全部事項証明書等であれば、最寄りの市区町村窓口で広域交付を利用できる場合があります。ただし、戸籍個人事項証明書や一部事項証明書は広域交付の対象外であり、コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍も対象外です。
まとめ
遠方にある本籍地の戸籍は、本籍地の市区町村役場へ郵送請求することで取得できます。請求書、本人確認書類のコピー、定額小為替、返信用封筒をそろえ、本籍・筆頭者氏名・必要な戸籍の種類を正確に記載することが重要です。
特に相続では、現在戸籍だけでなく、除籍謄本や改製原戸籍が必要となることがあります。時間に余裕を持って請求し、必要書類や手数料、返送先の取扱いを請求先へ確認したうえで手続きを進めましょう。



