はじめに
グローバル化が進む現代、多くの外国人が日本で家族と共に生活しています。そのため「家族滞在」ビザ(在留資格「家族滞在」)の更新を行う方も増えています。しかし、家族構成や扶養状況に変化が生じた場合、申告義務や適切な手続きについて正しく知っておくことが非常に重要です。本記事では、家族滞在ビザ更新時に家族構成や扶養状況が変わった際の注意点や必要な対応について、法務省など信頼できる情報に基づき解説します。
家族滞在ビザ更新における基本ルール
家族滞在ビザの在留期間は最大5年ですが、多くの方が1~3年ごとに更新手続きを行っています。更新は在留期限の3ヶ月前から可能です。更新を希望する場合には、必ず次の事項を確認しておく必要があります。
- 家族関係が継続していること
- 扶養の事実が認められること
- 扶養者が扶養可能な経済力を持っていること
- 適正な在留活動を行っていること
家族構成や扶養状況の変更とは
家族滞在ビザ更新時、「家族構成」や「扶養状況」に変化があった場合が該当します。例えば、
- 子どもの出生や養子縁組による家族の追加
- 子どもの独立や国外転出による家族人数の減少
- 配偶者の離婚や死別
- 扶養者が転職した、失業した、永住者になった等
このような変化を正しく反映しないと、虚偽申請と見なされる恐れや、ビザ更新が不許可となる場合があります。
主な具体例
- 長男が大学進学で独立し扶養から外れた
- 配偶者と離婚した
- 扶養者(就労ビザ保持者)が転職や失業をした
申告義務と届出
家族構成や扶養状況が変化した場合は以下のような義務が生じます。
変更内容の申告
必要書類の追加
- 扶養関係を示す書類(戸籍謄本、結婚証明書、出生証明書など)
- 扶養者の在職証明書、所得証明書、市民税課税証明書及び納税証明書
- 離婚の場合は離婚証明書など
- 転職や退職の場合は新たな勤務先の証明書や失職の証明書
変更届出義務
- 住民登録変更や、離婚・死別・扶養から外した場合の変更届など、別途役所に届出が必要なこともあります。
変更を申告しないリスク
実際の家族構成や扶養状況と異なる内容で申請した場合、以下のリスクがあります。
- 在留資格の更新が不許可となる可能性
- 最悪の場合、在留資格の取消や強制退去となる可能性
- 次回以降の申請の際、信頼性が損なわれる
審査ポイントと最新注意点
法務省の「在留資格変更・更新ガイドライン」では、特に次の点が総合的に審査されます。
- 在留資格該当性:引き続き扶養家族であること
- 経済的基盤:十分な収入や納税状況
- 素行不良でないこと
- 活動内容が限定された在留資格と矛盾しないこと
また、扶養者が就労ビザで在留している場合、就労状況や勤務先も審査対象です。扶養者が転職した場合は新しい勤務先の証明書類提出が必要となるほか、離婚や死別があれば速やかに報告し、必要に応じて「家族滞在」ビザ以外の資格へ在留資格変更許可申請を検討しなければなりません。
ケーススタディ
Aさん(30代・中国出身)の場合
Aさんは就労ビザを持つBさんの配偶者として「家族滞在」ビザで日本に在留。更新手続き直前にBさんが転職し、さらに子どもが大学進学で独立しました。Aさんは更新の際、Bさんの新しい在職証明・所得証明と、独立した子どもが扶養から外れたことを明記し、無事に許可されました。
このように、家族構成と扶養状況の変更を適切に申告し、必要書類を添付することが重要です。
よくある質問
Q: 配偶者が死亡・離婚した場合はどうなりますか?
A: 直ちに家族滞在の更新資格を喪失しますので、速やかに在留資格変更許可申請(例えば「定住者」など)を検討しましょう。
Q: 転職・失業中の場合は?
A: 扶養能力に疑問が生じるため、新しい勤め先の証明等が必要です。扶養能力が認められない場合、更新が認められません。
Q: 子どもが成人したら?
A: 学業等で扶養関係が継続している場合は証明書類が必要です。独立して扶養を外れた場合はその旨を申告します。
まとめ
家族滞在ビザの更新時は、家族構成や扶養状況に変化があれば必ず正確に申告し、必要な証明書類を添付することが大切です。虚偽の申告や変更届出漏れは、今後の在留に重大な影響を及ぼします。必ず法務省・入管当局の最新情報を確認し、適切な対応と早めの準備を心掛けてください。