はじめに
近年、多くの外国人が「特定技能」制度を利用して日本で働いています。特定技能制度は、介護や建設などの特定産業分野において一定の技能を有する外国人労働者に在留資格を与えるもので、日本社会にとって重要な制度です。しかし、在留中に万引きや喧嘩などの軽微な刑事事件を起こしてしまった場合、在留資格の更新は可能なのでしょうか。外国人本人や受入れ企業にとっても、大変気になるポイントです。本記事では、政府や公共機関の情報をもとに、更新申請への影響や手続きについて詳しく解説します。
特定技能制度についての基本情報
「特定技能」は、法務省や出入国在留管理庁の公式情報にも記載のある通り、1号と2号に分かれています。
- 「特定技能1号」:在留期間の上限は通算5年まで。1年、6か月、4か月ごとに更新が必要です。
- 「特定技能2号」:より熟練した技能を必要とする分野が対象。更新に上限はありません。
申請には、適正な雇用契約や必要な技能、日本語能力が求められ、受入れ機関による支援も義務づけられています。
軽微な刑事事件とは?
「軽微な刑事事件」とは、万引き(窃盗罪)や喧嘩による傷害罪など、比較的罰則が軽い犯罪を指します。刑罰の重さによっては、法的な評価が異なるため、入国管理上も判断が分かれるポイントとなります。
特定技能の更新と刑事事件の関係
在留資格更新の審査で見られるポイント
「特定技能」の更新申請時には、申請者が「素行善良」であるかどうかが審査対象となります。これは出入国管理及び難民認定法(入管法)第22条に定められ、裁判所の判決が確定した場合や罰金刑以上の刑罰が科された場合には、更新が不許可となる場合があります。ただし、
- 起こした事件の内容(刑罰の重さ、再犯の有無)
- 判決(執行猶予や罰金のみか否か)
- 社会復帰の状況、反省態度
などを総合的に判断されるため、必ずしも一度の軽微な事件で「即・更新不可」とは限りません。
万引きや喧嘩の場合の具体例
例えば、万引きで初犯かつ罰金だけで済んだ場合、在留資格の更新が絶対に不可能というわけではありません。ただし、申請時に事件の経緯や反省の意思をしっかりと説明し、事実を隠さず申告することが重要です。受入れ機関からの支援や監督も審査対象になり、その内容も重要となります。
逆に、同じような事件を複数回繰り返している場合や、執行猶予付き有罪判決を受けた場合は「素行善良」と認められにくくなり、更新が困難となる可能性も高まります。
更新申請時の必要な手続きと注意点
更新申請には、事件経緯や判決内容を証明できる書類(判決文の写しなど)の添付が求められる場合があります。申請書提出時に事実を隠すと、虚偽申請とみなされて拒否だけでなく、退去強制事由につながることもあります。
また、受入れ機関は定期的に状況を出入国在留管理庁へ報告する義務があり、事件を把握したら速やかに届出が必要となります。これを怠ると受入自体ができなくなるリスクもあります。
注意したいことと事例
実際には、
- 万引きで罰金が科されたが、その後反省し職場の評価も良かったため、更新が認められた事例
- 喧嘩で軽い傷害罪となったが、初犯で本人が深く反省し社会復帰も真摯だったため、在留延長が認められた事例
などがあります。一方で、虚偽申告や再犯の場合は更新が拒否された事例も見られます。なお、具体的な個人情報や会社名等は控えますが、いずれも反省の意志・申告の誠実さが重視されます。
まとめ
「特定技能」で在留中に軽微な刑事事件を起こした場合でも、絶対に更新不可となるわけではありません。事件の内容や反省の意思、再発防止の誠実な対応が重要となります。虚偽申告や隠蔽は厳禁です。心配な方は、早めに専門家や行政書士に相談しましょう。