はじめに
外国人が日本国内で「特定技能」ビザを取得するためには、技能試験に合格することが不可欠です。しかし、技能試験合格者の中には、なかなか受入れ企業が見つからず、半年以上も就労契約が決まらないケースも存在します。その場合でも、特定技能の申請は可能なのか?今回はこの点について、出入国在留管理庁や厚生労働省などの公的情報をもとに、詳しく解説します。
特定技能の申請の前提条件
まず、「特定技能」在留資格を申請するための主な条件は以下の2つです。
- 分野ごとの技能評価試験に合格していること
- 日本語能力試験(一部分野は不要)にも合格していること
加えて、「受入れ機関(雇用主)」との 雇用契約が締結されていること が必要です(出入国在留管理庁)。
技能試験合格後の就労先探しに関する原則と注意点
技能試験や日本語試験に合格しただけでは、「特定技能」在留資格の許可は受けられません。申請時には、受入れ機関と雇用契約があることが必須です。試験に合格した段階では、まだ申請はできませんが、その合格証は申請時にも有効ですので、合格後に雇用先を探して契約を締結すれば、申請自体は可能です。
公的Q&Aでも「技能試験及び日本語試験に合格した後に、受入れ機関との間で雇用に関する契約が締結されることが想定されます」と示されており、合格から雇用契約までの期間制限は明示されていません。ただし、実際には取得した合格証の有効期限や分野ごとの運用ルールに注意が必要です。分野によっては試験合格証明書の有効期間に制限がある場合がありますが、多くの分野では期限が特に設けられていません。最新情報は必ず応募分野の公式情報で確認してください。
半年以上未決定の場合の実務上のポイント
技能試験合格後に半年以上就労先が見つからない場合でも、「試験合格証の有効期間が切れていなければ」申請は可能です。例えば、農業分野や介護分野などでは、雇用先がなかなか見つからず、数カ月から半年以上かかることもあります。その場合でも、合格証が有効で雇用契約ができれば、特定技能の申請条件を満たすので、申請自体は可能です。
ただし、申請時の状況(在留資格、在留期限)にもよります。たとえば、技能実習生や留学生など、現在他の在留資格で日本に滞在している場合は、在留資格の変更手続きの審査期間や在留期限を把握しておくことが重要です。審査には2〜3ヶ月程度、繁忙期はさらに長くなることもあるため、期限切れにならないよう計画的な申請準備が必要です。
求人情報入手と雇用先の探し方
試験合格後すぐに就労先が見つからない場合は、登録支援機関や職業紹介所、公的職業紹介機関(ハローワーク等)を利用できます。分野によっては求人情報が公式サイトで公開されていることもありますので、最新情報や紹介先を積極的に活用しましょう。
事例紹介:技能試験合格後半年で雇用契約成立
仮にAさん(30歳・ベトナム出身)が2025年2月に介護分野の技能評価試験に合格した場合、その後すぐに雇用先が見つからず、7月にようやく受入れ機関と雇用契約を締結したとします。この場合でも合格証が有効であれば、「就労先が半年以上決まっていなかった」ことを理由に申請不可となることはなく、雇用契約締結後に特定技能の申請が可能です。
まとめ
技能試験合格後に半年以上就労先が決まらない場合でも、多くの分野で「合格証が有効であれば」雇用契約の締結後に特定技能の申請は可能です。重要なのは、試験合格証明書の有効期間、申請タイミング、在留期限、必要書類の準備、受入れ機関との連携です。必ず出入国在留管理庁や厚生労働省などの公式サイト情報を確認した上で、余裕を持った就労先探し・申請準備を進めることが成功へのポイントとなります。


