はじめに
日本で留学している外国人が卒業後に「特定技能」ビザに変更して日本で働きたいと考えるケースが年々増えています。しかし、「出席率が低かった場合に在留資格変更が許可されないのでは?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。本記事では、実際の審査ポイント、法令や公的機関の情報、最新の審査基準をもとに、「留学ビザ」から「特定技能」ビザへの変更における出席率がどのような影響を与えるのか、詳しく解説します。
在留資格「特定技能」への変更要件
「特定技能」ビザは、人手不足が深刻な特定産業分野(16分野)において、一定水準の技能や日本語力を持った外国人材を受け入れるために創設されたビザです。在留資格の変更にあたり、主な要件は以下の通りです。
- 18歳以上であること
- 希望する分野の技能評価試験に合格すること(例外あり)
- 日本語能力試験N4以上またはJFT-Basic合格
「学歴と職務内容の関連性」は原則問われず、技能試験と日本語力のクリアが最重要となります。
審査で重視される出席率
出席率の審査基準とは?
「留学」ビザから就労系ビザ(特定技能を含む)への変更申請では、「これまでの在留状況」が必ず審査の対象となります。その中でも出席率が非常に重要な要素です。
出席率が低い場合の取扱い
- 一般的に、日本語学校や専門学校においては出席率が80%以上あれば在留資格の更新・変更に問題はありません。
- 70%〜80%未満の場合は、やむを得ない理由(病気、家族の不幸など)がある場合に理由書や証明書の提出が求められます。
- 70%未満の場合は極めて厳しい審査となり、60%未満は原則として不許可となります。
例えば、「出席率が68%だったが本人の病気や事故という合理的な理由があり、かつ証明書類を添付した場合」など、やむを得ない事情が証明できれば個別判断で許可されることもありますが、低出席率は基本的に不利益要素になります。
さらに、留学時代のアルバイト超過や無許可就労の履歴なども同時に審査され、「素行不良」と判断されると、不許可リスクが一層高まります。
なぜ出席率が重視されるのか?
出席率や学業成績は、「法令順守の姿勢」や「日本での生活態度」を示す材料として使われています。日本の出入国在留管理庁は「相当性」(その人が日本に引き続き居住することが適当かどうか)を審査基準の一つとしています。つまり、低出席率の場合、「日本で生活する上で問題がないか?」という観点で慎重な審査が入るのです。
変更申請時の注意点
- 出席率が低い場合は必ず理由書および証明書(診断書・出席記録等)を添付すること
- 在籍学校に出席証明書や成績証明書を依頼して提出
- アルバイト違反、オーバーステイなど他のマイナス要素も同時にチェックされる
出席率の低さによる不許可事例
韓国出身のAさん(22歳、単身)が日本語学校を修了後、特定技能1号への変更を希望。しかし、Aさんの出席率は65%と低く、かつ出席低下の理由は「寝坊や本人の意欲不足」。理由書の内容も不十分と判断され、不許可となりました
まとめ
「留学」ビザから「特定技能」ビザへの変更では技能試験や日本語能力が最重要ですが、出席率が70%未満の場合は原則厳格な審査となり、不許可リスクが高まります。特に出席率が60%未満となると理由の如何を問わず原則不許可となります。
最後に、申請前に自身の出席状況・素行記録を必ず確認し、不安な場合は専門家への相談をおすすめします。


