はじめに
近年、国際結婚が増加するにつれ、「日本人の配偶者等」ビザの申請に関する相談が多くなっています。特に、審査の厳格化や偽装結婚防止の観点から、実態調査の内容や審査官のチェックポイントに不安を感じる方も多いでしょう。近年はSNS上のやり取りも審査材料となっていると言われています。本記事では、「SNSのやり取りが少ない場合、不審に思われてしまうのか?」という疑問について、出入国在留管理庁(入管)や行政書士業界の情報をもとに解説します。
配偶者ビザの審査で重視されるポイント
配偶者ビザ申請では、申請者と日本人配偶者が「書類上だけでなく、実態として夫婦生活を送っているか」が厳しく審査されます。主な審査項目は以下のとおりです。
- 婚姻の真実性と信憑性(偽装結婚防止)
- 交際期間・同居の実態
- 経済的安定性と生活基盤
- 日本社会で安定して生活する意思と基盤
近年は、出会いの経緯・交際の証拠・連絡履歴・写真・住民票等も重視されます。
SNSのやり取り内容は審査にどう影響する?
SNS(LINE・WhatsApp・Facebook等)でのやり取り履歴は、「夫婦のコミュニケーションの実態」を証明する一つの資料とみなされます。とはいえ、SNS履歴の提出義務があるわけではなく、写真やメール、通話記録でも十分証明可能です。
SNSのやり取りが極端に少ない場合や、申請内容と事実に齟齬があった場合には「本当に実体のある夫婦なのか?」と疑われる可能性があります。一方、仕事やプライベートの理由からSNS利用が少ない夫婦も多いため、「SNS履歴が少ない=不審」では一概に決めつけられません。審査官は、交際の経緯・同居日数・写真・電話履歴などを総合的に確認します。
実態調査で不審に思われるケース・対策例
実態調査(聞き取りや追加資料要求)の際、特に注意が必要なケースをご紹介します。
- 交際期間が短すぎる、年齢差が大きい(15歳以上)
- 遠距離で長期間会えていない、同居実績がない
- SNSやメール履歴がほとんど存在しない
- 申請内容と提出資料に矛盾がある(出会い時期や家族構成)
- 過去の在留状況に違反歴がある
こうした場合には、SNS履歴が少なくても「定期的な電話・ビデオ通話記録」「郵便やメールの履歴」「実際に会った記録(写真・航空券など)」を併せて提出することが推奨されます。SNSは一例であり、コミュニケーション手段は個人によって多様です。
必要な証拠資料の具体例
以下は審査基準の公式要件と主な資料例です(法務省・出入国在留管理庁情報より)。
- 結婚の事実を証明する公的書類(婚姻届受理証明、相手国の婚姻証明)
- 住民票、賃貸契約書、公共料金の名義等(同居実態)
- コミュニケーション記録(写真・チャット履歴・メール・通話履歴)
- 日本語学習記録(日本語能力や生活の取り組みの証明)
- 収入証明・課税証明書・納税証明書(生活基盤)
これらは総合的に審査されるため、「SNS履歴のみ不足しても他の証拠が十分であれば、必ずしも不審扱いとはなりません」。
他の事例を参考にする際の注意点
Web上にはさまざまな事例が掲載されていますが、著作権や個人情報保護の観点から、実在する個人名や家族構成などを引用することは避けましょう。行政書士として独自の経験や一般例を用いつつ、出典元を明記することが重要です。
まとめ
「日本人の配偶者等」ビザ申請において、SNS上でのやり取りが少ないからといって、必ず審査で不審に思われるとは限りません。大切なのは、夫婦としての実態(同居の有無・写真・連絡履歴等)を多面的な証拠で立証することです。不安がある場合は、行政書士等の専門家に相談し、法令や公式審査基準に則った申請資料を揃えることが重要です。


