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ネット銀行・ネット証券の相続手続きはどう進める?口座の見つけ方と注意点を専門家が解説

6人の手をつなぐ家族。相続関連のアイキャッチ画像。

近年は、楽天銀行や住信SBIネット銀行などのネット銀行、楽天証券やSBI証券などのネット証券を利用する方が急増しています。ところが、相続が発生したときに「通帳がない」「郵便物が来ない」「スマホが開けない」といった理由で、ネット口座の存在に気づかれないまま手続きが進んでしまうケースも少なくありません。

この記事では、ネット銀行・ネット証券の相続手続きをどのように進めるのか、口座の探し方や必要書類、見落としがちな注意点をわかりやすく整理します。ネット銀行やネット証券で資産を管理している方の「生前の準備」と、遺族の立場で手続きに直面した場合の「具体的な対応」の両方に触れます。

ネット銀行の預金やネット証券の株式・投資信託などの資産は、他の銀行預金や証券口座と同じく、相続財産として扱われます。相続税の対象にもなりますので、残高や評価額を把握したうえで、遺産分割や相続税申告を進めることが必要です。

ネット銀行の預金は、オンラインで管理しているだけで、中身は通常の銀行口座と同じ扱いです。口座名義人が亡くなると口座は凍結され、相続人が必要書類をそろえて払戻し等の手続きを行うことになります。

証券口座についても、ネット証券だからといって特別な法律上の扱いになるわけではなく、株式や投資信託の評価額を算出したうえで、相続人が名義書換や売却などの手続きを進めます。相続税の申告期限(相続開始から原則10か月)までに評価と申告を完了させる点は、店舗型証券会社と同様です。

ネット銀行・ネット証券の相続で一番重要なのは、「そもそもどこに口座があるか」を漏れなく把握することです。通帳や郵送物が手掛かりになる従来型の金融機関とは違い、ネット口座は痕跡が少ないため、次のような確認がポイントになります。

・スマホ・パソコン・タブレットのメールを確認する
各ネット銀行・ネット証券からのお知らせメールやメルマガが届いていることが多く、口座の存在を把握する手掛かりになります。

・クレジットカード明細・他行預金の取引履歴を確認する
ネット銀行への振込や、ネット証券への入金履歴が残っていることがあります。取引明細に記載された金融機関名・支店名から、口座の候補を絞り込むことができます。

・家族への聞き取りを行う
生前にどのネット銀行・ネット証券を使っていたか、普段の資産管理の方法を家族に確認することで、候補となる金融機関を特定しやすくなります。

さらに、「相続時預貯金口座照会制度」を利用すると、マイナンバーと紐付けされた預貯金口座について、複数の金融機関を一度の手続きでまとめて調べることができるようになりました。相続人が指定した金融機関で申請すると、預金保険機構が全国の金融機関に照会し、金融機関名や支店名・口座番号などをまとめて通知してくれる仕組みです。

ネット銀行の相続手続きは、店舗窓口がないことから、電話・郵送・オンラインで完結するのが一般的です。代表的な流れは次のようになります。

  1. カスタマーセンターや専用窓口への連絡
    被相続人の氏名・住所・生年月日・死亡日・口座番号などを伝え、死亡の事実を知らせるとともに、必要書類や手続きの手順を確認します。この時点で口座が凍結されるのが通常です。
  2. 必要書類の取り寄せと記入
    ネット銀行所定の「相続届」等の書類が郵送されますので、相続人が記入し、押印します。併せて、戸籍謄本・相続人全員の印鑑証明書・遺産分割協議書や遺言書などを準備します。
  3. 書類の返送・審査
    指定された住所に書類一式を郵送すると、銀行側で内容の確認・審査が行われます。問題がなければ、指定した相続人の口座へ振込が行われるか、払戻し手続きが完了します。

遺言書がある場合は、遺言の内容に沿った払戻しになりますが、自筆証書遺言であれば家庭裁判所での検認手続きを経て、「検認済み証明書」を添付する必要があります。公正証書遺言の場合は検認が不要なため、手続きが比較的スムーズです。

また、相続人が生活費や葬儀費用などを早急に支払う必要がある場合には、「預貯金の仮払い制度」を利用し、一定の上限額まで各相続人が単独で払戻しを受けることも認められています。自己の法定相続分の3分の1、かつ金融機関ごとに150万円までという上限の範囲で利用できる制度で、遺産分割前でも資金を確保できる点が重要です。

ネット証券の口座についても、相続発生の連絡を行い、必要書類を提出する点はネット銀行と同じです。店舗型の証券会社と比べて紙の書類が残りにくく、家族が口座の存在に気づかないことが問題になりやすい点が特徴です。

株式や投資信託などの評価額は、相続時点の価格に基づいて算出する必要があります。相続税の申告では、相続開始日の終値や基準価額などをもとに評価し、相続財産として計上します。価格変動の大きい銘柄や投資信託が含まれている場合は、評価時期と評価方法を慎重に確認することが重要です。

ネット証券の相続手続きでは、名義書換や売却を行うにあたり、相続人の本人確認書類・戸籍謄本・遺産分割協議書などが必要となります。証券保管振替機構の制度などを利用して、複数の証券会社にまたがる株式の情報をまとめて照会できる仕組みもあるため、どこにどの銘柄があるのか分からない場合はこうした照会制度の活用も検討するとよいでしょう。

ネット銀行・ネット証券の相続では、次のような点が特に見落とされやすく注意が必要です。

・ログインID・パスワードを使って勝手に資産を移動しない
故人のスマホやパソコンからログインして残高を操作する行為は、不正アクセスや私的流用と評価されるおそれがあり、正規の相続手続きとは認められません。必ず金融機関の定める相続手続きに従う必要があります。

・取引明細の取得や休眠口座の確認
ネット銀行では、紙の通帳がないため、相続税の申告や過去の入出金の確認が必要な場合には、銀行に取引明細の発行を依頼する必要があります。長期間ログインしていないネット口座は休眠扱いになっていることもあるため、早めの照会・確認が重要です。

・口座の“存在漏れ”による相続税申告のリスク
ネット銀行・ネット証券の口座を見落として相続税を申告すると、後から口座が判明した際には修正申告や追徴課税の対象になる可能性があります。各種照会制度を活用し、口座の漏れを防ぐことが求められます。

生前対策としては、次のような方法が有効です。

・利用している金融機関名・支店名・口座番号などを一覧にして、保管場所を家族に伝えておく。
・遺言書やエンディングノートにネット銀行・ネット証券の口座情報を記載しておく。
・マイナンバーと預貯金口座を紐付ける制度を活用し、将来の照会制度で口座を一括確認できるようにしておく。

これらを意識しておくことで、相続発生後の家族の負担を大きく減らし、相続財産の漏れやトラブルを防ぐことにつながります。

ネット銀行・ネット証券の相続手続きは、法的な扱いは通常の銀行や証券会社と同じですが、「通帳がない」「郵便物が少ない」ことから、口座の存在を把握するところでつまずきやすいのが大きな特徴です。

相続人の立場では、メール・取引明細・家族への聞き取りに加え、各種照会制度を活用し、口座の漏れなく調査することが重要です。金融機関への死亡連絡、必要書類の準備、仮払い制度などを押さえておくことで、手続きや生活資金の確保もスムーズに進みやすくなります。

一方、生前の準備としては、ネット銀行・ネット証券の口座情報を一覧にして家族に伝えておくこと、遺言書やエンディングノートに記載しておくこと、各種制度との紐付けを検討することが有効です。ネット口座を利用している方も、相続を見据えた情報の整理と共有を意識しておくことで、大切な資産を確実に次の世代へ引き継ぐことができるでしょう。

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