ブログ

相続手続きで必要な戸籍とは?「出生から死亡まで」の戸籍を集める理由

6人の手をつなぐ家族。相続関連のアイキャッチ画像。

相続手続きを始めると、「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をそろえてください」と案内されることがあります。死亡の記載がある戸籍を1通取得すれば足りると思われがちですが、相続人を正確に確定するためには、それ以前の戸籍も連続して確認する必要があります。

この記事では、相続手続きで必要となる戸籍の種類、「出生から死亡まで」の戸籍を集める理由、取得時の注意点を分かりやすく解説します。

「出生から死亡まで」の戸籍とは、被相続人が生まれてから亡くなるまでに在籍していた戸籍を、切れ目なく集めることをいいます。一般に必要となるのは、現在の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)だけではありません。

過去に婚姻、離婚、転籍、養子縁組などがあった場合、戸籍が複数に分かれていることがあります。また、戸籍の様式が変更された場合には、改製原戸籍が作られます。戸籍に在籍する全員が除かれた戸籍や、転籍前の戸籍は、除籍謄本として保存されています。

そのため、相続では、通常、次のような書類をつなげて確認します。

  • 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
  • 除籍全部事項証明書(除籍謄本)
  • 改製原戸籍謄本

名称が異なっていても、大切なのは、被相続人の身分関係が出生から死亡まで連続して分かる状態にすることです。

最大の理由は、法定相続人を漏れなく確定するためです。死亡時の戸籍だけでは、過去の婚姻・離婚や認知、養子縁組などの事情が分からず、相続人の有無を十分に確認できないことがあります。

例えば、亡くなった方に前婚中の子がいる場合、その子も原則として相続人です。しかし、死亡時の戸籍だけを確認して手続きを進めると、その存在を見落とすおそれがあります。相続人を一人でも漏らしたまま遺産分割協議を行うと、原則として協議は有効に成立しません。

また、子がいない場合には、父母・祖父母などの直系尊属、さらに兄弟姉妹へと相続人の範囲が移ります。兄弟姉妹が相続人となるケースでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍に加え、父母に関する戸籍など、確認すべき資料が増えることがあります。

不動産の相続登記や預貯金の解約・払戻し、証券会社の名義変更などでは、相続関係を証明する資料として戸籍一式の提出を求められることがあります。相続放棄など家庭裁判所の手続きでも、相続人の順位によっては出生から死亡までのすべての戸籍が必要になります。

戸籍の収集は、被相続人の最後の本籍地にある戸籍から始めると進めやすいです。まず死亡の記載がある戸籍を取得し、その戸籍に記載された従前戸籍をたどって、一つ前の本籍地へ請求します。これを出生時の戸籍に到達するまで繰り返します。

市区町村の窓口では、「相続手続きのため、被相続人の出生から死亡まで連続する戸籍・除籍・改製原戸籍を請求したい」と具体的に伝えることが重要です。本籍地や筆頭者、分かる範囲での生年月日・死亡日を整理しておくと、請求がスムーズになります。

近年は、一定の戸籍証明書について、本籍地以外の市区町村窓口で請求できる広域交付も利用できます。ただし、請求できる方、取得方法、対象となる証明書には条件があります。郵送請求や代理人による請求の可否も含め、事前に請求先の市区町村へ確認しましょう。

被相続人の戸籍を集めるだけで、すべての相続手続きが完了するわけではありません。相続登記などでは、相続人全員について、被相続人の死亡後に発行された現在戸籍の提出を求められることがあります。

さらに、遺産分割協議を行う場合には、相続人全員の印鑑登録証明書や、対象不動産の固定資産評価証明書など、別途必要となる書類があります。必要書類は手続きの種類、遺言書の有無、家族関係、財産の内容によって異なります。

相続手続きを複数の金融機関や法務局で行う場合には、法定相続情報一覧図の写しを利用できることがあります。戸籍一式と相続関係を示す一覧図を提出し、内容が確認されると、認証文付きの一覧図の写しが交付されます。利用できる手続きや必要書類は提出先ごとに異なるため、確認が必要です。

戸籍は、必要な範囲を一度で集められるとは限りません。古い戸籍は手書きで判読しにくい場合があり、転籍先や従前戸籍の記載を丁寧に読み取る必要があります。また、遠方の市区町村に請求する場合は、郵送でのやり取りに時間を要することもあります。

相続放棄には、原則として相続開始を知った時から3か月という期限があります。負債の有無が分からない場合や、戸籍収集に時間がかかる見込みがある場合は、早めに必要資料を確認し、状況に応じた対応を検討することが大切です。

相続における「出生から死亡まで」の戸籍とは、被相続人の身分関係を連続して確認し、法定相続人を正確に確定するための重要な資料です。死亡時の戸籍だけでは足りず、除籍謄本や改製原戸籍謄本が必要になることも少なくありません。

まずは最後の本籍地から戸籍を取得し、記載を手がかりに出生時まで順番に遡りましょう。相続人の範囲が複雑な場合、不動産・預貯金など複数の相続手続きがある場合には、早い段階で必要書類を整理することが円滑な手続きにつながります。

関連記事

  1. 6人の手をつなぐ家族。相続関連のアイキャッチ画像。 戸籍をさかのぼると古い地名が出てくる理由|転籍・市町村合併時の戸…
  2. 6人の手をつなぐ家族。相続関連のアイキャッチ画像。 相続した会社の債務を個人で負担するリスクと法的区別
  3. 6人の手をつなぐ家族。相続関連のアイキャッチ画像。 被相続人名義のままの不動産を発見したら?今からでも相続登記できる…
  4. 6人の手をつなぐ家族。相続関連のアイキャッチ画像。 相続手続における不動産・株式の評価方法と金額の算出方法を徹底解説…
  5. 6人の手をつなぐ家族。相続関連のアイキャッチ画像。 戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の違いとは?相続手続きでの使い分け…
  6. 6人の手をつなぐ家族。相続関連のアイキャッチ画像。 相続人全員の合意が得られない! 遺産分割協議が難航した場合の解決…
  7. 6人の手をつなぐ家族。相続関連のアイキャッチ画像。 相続税を最適化するための非上場株式評価方法
  8. 6人の手をつなぐ家族。相続関連のアイキャッチ画像。 相続放棄した場合の相続税と生命保険金の影響について徹底解説

最近の記事

  1. 公正証書のアイキャッチ画像
  2. 公正証書のアイキャッチ画像
  3. 公正証書のアイキャッチ画像
  4. 公正証書のアイキャッチ画像
  5. 公正証書のアイキャッチ画像
PAGE TOP