はじめに
「会社を設立するには、公証役場へ行けばよいのでしょうか」。株式会社をつくる際には公証役場で定款認証を受けますが、そこで会社設立が完了するわけではありません。一方、合同会社には定款認証が不要です。この記事では、公証役場と法務局の役割、電子定款の仕組み、費用の違いを整理します。
公証役場の役割は定款認証
定款は、会社の目的や商号、本店所在地などを定める基本的な規則です。株式会社では発起人が定款を作成し、本店所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人の認証を受けます。認証は、定款が正当な手続で作成されたことを公証人が証明する手続です。
ただし、認証を受けただけでは会社は成立しません。株式会社は、出資の払込みなど必要な手続を経て、本店所在地で設立登記をすることによって成立します。登記申請先は本店所在地を管轄する法務局です。「公証役場は定款認証、法務局は設立登記」と分けて考えると、手続の流れがわかりやすくなります。
株式会社と合同会社の違い
株式会社と合同会社は、どちらも設立時に定款を作成し、設立登記をします。異なるのは、公証人による認証が必要かどうかです。
| 手続 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 定款の作成 | 必要 | 必要 |
| 公証人による定款認証 | 必要 | 不要 |
| 設立登記 | 必要 | 必要 |
合同会社は、公証役場へ定款認証を申し込む必要はありません。ただし、「認証が不要」と「定款が不要」は別です。社員になろうとする人が定款を作成し、必要な出資を履行したうえで、設立登記を申請します。合同会社も、本店所在地で設立登記をすることによって成立します。
電子定款とは?印紙代は?
電子定款とは、紙ではなく電子データで作成する定款です。株式会社の電子定款認証では、PDF形式の定款に電子署名を付け、オンラインで申請します。電子化しても、公証人による認証そのものが省略されるわけではありません。
費用面の大きな違いは印紙税です。株式会社の紙の定款では、公証人が保存する原本に4万円の収入印紙が必要ですが、電子定款には不要です。合同会社は認証不要でも、設立時に紙の定款を作成すれば、その原本1通が印紙税の対象になります。電子データのみで作成する定款には、印紙税は課されません。なお、電子定款でも電子署名などの準備は必要です。
株式会社の電子定款は、一定の条件を満たせばテレビ電話による認証も可能です。ただし、「オンライン申請をすること」と「公証役場へ行かずに認証を受けること」は同じではありません。訪問の要否や必要書類を、申請前に公証役場へ確認しましょう。
定款認証と設立登記の費用
株式会社の定款認証手数料は、原則として資本金の額等が100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、それ以外は5万円です。100万円未満の株式会社については、発起人が全員個人で3人以下であることなど、所定の条件をすべて満たす場合に1万5,000円となります。定款の謄本などを請求する場合は、別途費用がかかります。
設立登記には、定款認証とは別に登録免許税がかかります。株式会社は資本金の額の0.7%で、最低15万円です。合同会社も資本金の額の0.7%ですが、最低額は6万円です。したがって、電子定款を利用して印紙代を抑えても、登記の費用まで不要になるわけではありません。
まとめ
公証役場で行うのは、株式会社の設立に必要な定款認証であり、会社は法務局での設立登記によって成立します。合同会社は定款を作成しますが、公証人の認証は不要です。電子定款を選ぶ際は、印紙税の違いだけでなく、電子署名の準備や認証方法も確認しておきましょう。


