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相続人の戸籍は全員分必要?銀行・法務局・遺産分割で求められる範囲を解説

6人の手をつなぐ家族。相続関連のアイキャッチ画像。

相続手続きを始めると、「相続人全員の戸籍謄本が必要ですか」「銀行と相続登記では同じ戸籍を使えますか」と迷われることが少なくありません。

結論からいうと、相続人を確定するために、原則として相続人全員分の現在戸籍が必要になります。ただし、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍、亡くなった相続人や代襲相続人に関する戸籍など、必要な範囲は手続きや家族関係によって変わります。戸籍を不足なく準備することが、銀行預金の解約、相続登記、遺産分割協議を円滑に進める重要なポイントです。

戸籍は、誰が法定相続人であるかを公的に確認するための書類です。被相続人に配偶者、子、父母、兄弟姉妹などがいる場合でも、実際に誰が相続人となるかは、婚姻・離婚・養子縁組・認知・先死亡・代襲相続などの事情によって異なります。

そのため、被相続人については、一般に出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本を収集します。現在の戸籍だけでは、前婚中の子や認知した子などが確認できないことがあるためです。

加えて、相続人についても、原則として全員分の現在戸籍が必要です。相続登記では、被相続人が死亡した後に発行された相続人全員の戸籍証明書が求められます。被相続人の戸籍に相続人の記載があっても、現在も相続人として生存していることや、その後の身分関係を確認するためです。

銀行の預貯金を解約・払戻し・名義変更する場合、金融機関は、手続きをする人だけでなく相続人全員を確認します。遺産分割協議により預金を特定の相続人が取得する場合、銀行は「協議に参加すべき相続人が全員そろっているか」を確認する必要があるためです。

通常は、次の書類を求められます。

  • 被相続人の死亡が確認できる戸籍
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍一式
  • 相続人全員の現在戸籍
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 金融機関所定の相続手続依頼書

ただし、必要書類や原本還付の可否、戸籍の発行日制限は金融機関ごとに異なります。手続前に、取引銀行へ必要書類を確認することが大切です。

法定相続情報一覧図の写しがあれば、金融機関によっては戸籍一式の代わりとして利用できます。複数の銀行で相続手続きをする場合は、戸籍を何度も提出する負担を抑えられるため、特に有効です。

不動産の相続登記では、相続の方法によって必要書類が多少異なります。法定相続分どおりに登記する場合も、遺産分割協議により特定の相続人が不動産を取得する場合も、相続人全員を確認できる戸籍が基本となります。

遺産分割協議による相続登記では、被相続人の出生から死亡までの戸籍に加え、遺産分割協議の当事者である相続人全員の戸籍証明書が必要です。これは、協議をした人が正式な相続人であることを確認するためです。

また、遺産分割協議書には、相続人全員が実印を押印し、印鑑証明書を添付するのが原則です。相続登記を申請する相続人については、ケースによって印鑑証明書の添付を省略できる取扱いもありますが、協議書の作成段階では全員分を準備しておくと手続きが進めやすくなります。

遺産分割協議は、相続人全員で行わなければなりません。相続人の一人でも参加していない協議は、原則として有効な遺産分割協議になりません。

例えば、亡くなった父に配偶者と子2人がいると思っていたところ、戸籍をたどると前婚中の子がいることが判明する場合があります。この子も相続人であるため、遺産分割協議に加わる必要があります。戸籍収集を途中で止めてしまうと、協議書を作成した後に相続人の漏れが見つかり、やり直しになるおそれがあります。

家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てる場合も、被相続人の出生から死亡までの戸籍と、相続人全員の戸籍が基本書類です。子や代襲相続人が先に亡くなっている場合には、その方の出生から死亡までの戸籍も必要になることがあります。

戸籍収集では、被相続人の最後の本籍地だけでなく、転籍や婚姻などによる過去の本籍地を確認しながら、古い戸籍へ順番に遡ります。戸籍の内容を読み違えると、必要な除籍謄本や改製原戸籍が抜けることがあります。

相続人が多い場合、遠方に本籍地がある場合、数次相続や代襲相続がある場合には、早めに相続関係を一覧に整理するとよいでしょう。法定相続情報一覧図の写しは無料で交付を受けられ、相続登記だけでなく、金融機関などの相続手続にも活用できます。

相続人の戸籍は、銀行手続、相続登記、遺産分割協議のいずれでも、原則として相続人全員分が必要です。さらに、被相続人については出生から死亡までの連続した戸籍を集め、代襲相続や数次相続がある場合には、亡くなった相続人の戸籍も追加で確認します。

「誰が相続人か」を確定しないまま遺産分割協議や預金解約を進めると、後で手続きをやり直すことになりかねません。まずは戸籍を正確に収集し、相続人を確定したうえで、遺産分割・銀行手続・相続登記へ進むことが大切です。

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