はじめに
日本で就労ビザを持つ外国人が配偶者や子どもを呼び寄せる「家族滞在」ビザ。扶養者の年収が250万円を下回る場合、「本当に許可されるのか?」という不安を抱える方は少なくありません。本記事では、入管審査の実務に基づき、収入不足時の具体的な対策と成功のポイントを解説します。政府公表情報を基にお届けします。
家族滞在ビザの収入要件:公的基準と実務上の目安
家族滞在ビザ(正式名称:在留資格「家族滞在」)には、法律で定められた明確な年収基準はありません。ただし、審査では「日本で家族が安定して生活できる経済力」が厳しく問われます。実務上の目安としては:
- 夫婦2人世帯の場合:230万~250万円以上が一つの基準
- 子ども1人増えるごとに:30万~60万円の加算が必要
例えば、配偶者と子ども1人の場合は260万~310万円が目安となります。この数値は、地域の生活保護基準や物価を考慮して設定されるため、東京など都市部ではより高い収入が求められる傾向があります。
重要なのは、審査が「単純な年収チェック」ではない点です。入管は「世帯全体の生活基盤の安定性」を総合的に判断し、収入が不足していても、以下の要素で補える可能性があります。
年収不足をカバーする4つの実践的対策
収入が250万円を下回る場合でも、次の対策を組み合わせることで申請成功の可能性が高まります。
1. 貯蓄証明の活用
預貯金の残高証明書を提出し、当面の生活費をカバーできることを示します。目安として、100万円以上の貯蓄があると審査で有利に働く可能性があります。例えば:
「年収240万円でも、200万円の預金があれば、生活の安定性をアピールできる」
2. 保証人・経済支援の設定
両親など親族を身元保証人として設定し、経済的支援が得られることを証明します。必要書類は:
- 保証人の収入証明書
- 支援内容を明記した誓約書
- 保証人の住民票
3. 居住費の削減計画
実家との同居や家賃補助のある社宅を利用する場合、その証明書類(賃貸契約書や社宅利用証明)を提出します。これにより、少ない収入でも生活費を圧縮できることを示せます。
4. 将来の収入見込みの提示
昇給予定や配偶者の就労計画(資格外活動許可取得後)を具体的に説明する「理由書」が有効です。例:
「現在の年収は240万円だが、3ヶ月後の昇進で280万円が見込まれる」
これらの対策では、書類の整合性が最も重要です。虚偽の内容は不許可リスクを高めるため、証明可能な事実に基づき作成しましょう。
審査を通過するための3つの成功ポイント
収入が基準を下回る申請では、以下の点を徹底することで許可率が向上します。
経済的安定性の証明
単年度の収入だけでなく、過去2~3年の納税証明書を提示し、収入の安定性をアピールします。契約社員より正社員の方が有利ですが、雇用形態に関わらず「継続性」を示すことが鍵です。
生活保護基準との比較
居住地域の生活保護支給額を下回らない収入計画を立てます。例えば、東京都で夫婦2人世帯の生活保護基準は約17万円/月です。これと同等以上の収入(+貯蓄)を証明すれば、生活力が認められやすくなります。
総合的な生活基盤の提示
- 健康保険証の写し(社会保険加入証明)
- 家賃負担率が収入の30%以内である証拠
- 子どもの教育費の裏付け
これらの書類を揃えることで、収入不足を補う「生活の質」を証明できます。
まとめ
家族滞在ビザは、年収250万円を下回っても取得可能です。審査の本質は「数字の絶対値」ではなく「家族が安定して生活できる環境」の証明にあります。貯蓄証明や保証人の活用など、収入不足を補う具体的な対策を講じれば、許可の可能性は十分にあります。申請時は、経済的安定性を総合的に示す書類を揃え、透明性の高い説明を心がけましょう。