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公正証書遺言の原本はどこに保管される?作成後・死亡後の流れを行政書士が解説

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「公正証書遺言を作ったあと、原本はどこに保管されるのか」「遺言者が亡くなったあと、家族はどこに問い合わせればよいのか」といったご質問をよくいただきます。
公正証書遺言は、自筆証書遺言と違い「原本」が公証役場で保管される仕組みになっており、保管先や閲覧方法を知っておくと、相続手続きがスムーズになります。

この記事では、公正証書遺言の「原本」「正本」「謄本」の違いと、遺言者が亡くなったあとの具体的な確認方法まで、よく検索されるポイントを押さえて分かりやすく解説します。

公正証書遺言を作成すると、通常は次の3種類の書類が作成されます。

  • 原本:公証役場で保管される唯一の原本
  • 正本:原本と同一の効力を持つ書面で、遺言の執行に使われることが多いもの
  • 謄本:原本の内容を写した書面で、確認用のコピーに近い位置付けのもの

原本は公証役場、正本と謄本は遺言者本人や遺言執行者などが保管するのが一般的です。
正本・謄本の保管場所について法律上の細かな定めはなく、自宅や専門家への預け入れなど、事情に応じた保管が行われています。

原本はどこに保管される?

公正証書遺言の原本は、作成を担当した公証人が所属する公証役場で保管されます。
電磁的記録で作成された場合には、日本公証人連合会が運営するシステム上でも保管されるため、紛失や改ざんのリスクが極めて低くなっています。

公証役場に原本が保管されているため、相続人が自宅の捜索で遺言書を見つけられなかった場合でも、公正証書遺言が作成されていれば、後から内容を確認することが可能です。

原本の保管期間

公正証書の保管期間は公証人法施行規則により、原則20年間とされていますが、特別の事由がある場合にはその事由が継続する限り保管が必要とされています。
実務上は、公正証書遺言について、遺言者の死亡後50年、証書作成後140年または遺言者の生後170年まで保存する運用も紹介されており、長期間の保存が確保されています。

このように、遺言者の死亡から相当の時間が経過しても、公証役場で原本またはその記録を確認できるような仕組みになっています。

原本は引き続き公証役場で保管される

遺言者が亡くなったからといって、原本が自動的に家族へ移管されることはなく、原本は引き続き公証役場で保管されます。
相続人や受遺者、遺言執行者などの利害関係人は、公証役場に対して、公正証書遺言の閲覧や謄本の交付を請求することができます。

なお、法務局が保管する「自筆証書遺言書保管制度」の遺言書とは制度が異なり、公正証書遺言の原本はあくまで公証役場(および関係システム)で保管される点に注意が必要です。

相続人が取るべき具体的なステップ(イメージ)

ここでは、あくまで参考イメージとして、相続人の一人が流れを確認するケースを挙げます。

  • 故人の遺品の中から、公正証書遺言の「正本」または「謄本」を発見する。
  • 必要に応じて、記載されている公証役場名を確認し、その公証役場に連絡をして、相続人としての立場を説明する。
  • 必要に応じて、必要書類(戸籍謄本や身分証明書など)を整えて、公証役場で謄本交付や閲覧の手続を行う。
  • 内容を確認したうえで、家庭裁判所での検認が不要であることを踏まえつつ、遺言執行や相続手続きに進んでいく。

あくまでもイメージですので、実際の必要書類や手続の詳細は、事前に公証役場に確認されることをおすすめします。

正本・謄本は誰がどこで保管する?

公正証書遺言の場合、原本は公証役場、正本や謄本は遺言者本人や遺言執行者、場合によっては専門家などが保管するケースが多く見られます。
正本・謄本の保管場所について法律上の細かな規定はなく、自宅の金庫、鍵付きの引き出し、信頼できる専門家の事務所などが例として挙げられています。

一方で、遺言者名義の銀行貸金庫に正本を保管してしまうと、死亡後に相続人が手続をしない限り開けられず、遺言書へのアクセスが遅れるおそれがあるため、注意が必要とされています。

家族に分かるようにしておく工夫

  • 正本や謄本の保管場所を、信頼できる家族や遺言執行者に口頭やメモで伝えておく。
  • 相続開始後に連絡してほしい専門家や公証役場の連絡先を、分かる形で残しておく。
  • 遺言内容を知られたくない場合でも、「公正証書遺言を作成している」「保管先は○○」といった最小限の情報だけは共有しておく。

こうした一手間をかけておくことで、「遺言はあるはずだが見つからない」というトラブルを防ぎやすくなります。

以下は、公正証書遺言の原本・謄本の所在を確認していく流れのイメージです。

  • 70代の男性が生前に公正証書遺言を作成しており、正本を自宅の鍵付き引き出しに保管していた。
  • 男性の死後、長女が遺品整理の中で公正証書遺言の謄本を発見し、そこに記載されていた公証役場へ連絡。
  • 長女は戸籍謄本などを準備した上で公証役場に出向き、遺言の謄本交付を受けて内容を確認。
  • 遺言内容に従って遺言執行者が中心となり、金融機関や不動産の名義変更など相続手続を進めた。

このように、原本自体は公証役場に保管され続けますが、相続人は手元の正本・謄本と公証役場の情報を手掛かりに、遺言の存在と内容を確認していきます。

  • 公正証書遺言の原本は、作成した公証役場で保管され、電磁的記録で作成された場合は日本公証人連合会のシステム上でも保管されます。
  • 原本の保管期間は、公証人法施行規則に基づき原則20年とされつつ、遺言に関しては実務上、死亡後も長期にわたって保存される運用がとられています。
  • 遺言者が亡くなった後も、原本は公証役場に残り、相続人や受遺者などの利害関係人が閲覧・謄本交付請求を行うことで内容を確認できます。
  • 正本・謄本は遺言者本人や遺言執行者、場合によっては専門家などが保管し、紛失や発見遅れを避けるため、保管場所や連絡先を家族にも分かる形で共有しておくことが重要です。
  • 公正証書遺言を検討されている方や、既に作成済みの方は、ご自身の死後に家族が迷わないよう、「どの公証役場で作成したか」「正本・謄本の保管先」を整理しておくと安心です。

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