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経営業務の管理責任者が退職したら建設業許可はどうなる?許可取消リスクと正しい対応策をわかりやすく解説

建築業許可のアイキャッチ画像

建設業許可を取得して安心していたところ、「経営業務の管理責任者(いわゆる経管)が急に退職してしまった」というご相談は少なくありません。
実は、経営業務の管理責任者は「許可取得時の要件」であると同時に、「許可を維持するための要件」でもあり、不在のまま放置すると最悪の場合は建設業許可の取消しにつながる大変重要なポジションです。

この記事では、国土交通省など公的機関の情報をもとに、経営業務の管理責任者が退職した場合に建設業許可がどうなるのか、どんな手続きと準備が必要なのかを、建設業者の経営者・実務担当者向けにわかりやすく解説します。

経営業務の管理責任者は、建設業の経営全体を適切に管理し、請負契約の締結・履行を行う能力を持つ者として、建設業法上の許可要件に位置づけられている人です。
建設業法第7条第1号(一般)・第15条第1号(特定)において、「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者を常勤の役員等として置いていること」が許可の基準とされています。

具体的には、法人であれば常勤役員のうち1人が、一定年数以上の建設業の経営業務経験等を有することが求められており、中国地方整備局の手引きなどで要件の詳細が示されています。
令和2年の建設業法改正後は、「経営業務の管理を適正に行う能力を有する者」という枠組みで運用されており、国土交通省ウェブサイトでも要件の考え方が示されています。

国土交通省の「許可の要件」に関するページでは、経営業務の管理責任者等の設置は建設業許可の要件であり、許可取得後に経営業務の管理責任者が退職して後任が不在となった場合は「要件欠如」として許可取消しの対象になると明示されています。
この取消しの根拠は、建設業法第29条第1項第1号の「許可要件を欠くに至ったとき」に該当するためであり、各地方整備局の手引きや解説でも同様の説明がされています。

つまり、経営業務の管理責任者がいない状態が1日でも生じると、人的要件を満たさない状態となり、建設業許可を維持できない「リスクの高い状態」に陥ることになります。
実務上は、直ちに取消処分が行われるとは限らないものの、あくまで「取消事由に該当する状態」であることを正確に認識しておく必要があります。

国土交通省の解説では、経営業務の管理責任者等が退職し後任が不在となると許可取消しの対象になるため、「そのような不在期間が生じないよう、事前に要件を満たす者を選任するなど準備しておくことが必要」とされています。
また、地方整備局や各自治体の手引きでも、経営業務の管理責任者が退職する場合には、代わりになれる人材を確保したうえで、タイミングを調整することが推奨されています。

実務上は、次の2つのパターンに分けて考えると整理しやすくなります。
1つ目は「後任者が社内にいる(すぐ選任できる)」場合、2つ目は「後任者がいない(すぐには選任できない)」場合です。

経営業務の管理責任者の要件を満たす後任者がいる場合は、退職と同時に後任者を就任させ、建設業許可の「変更届」を所定の期限内に提出することで、許可の維持が可能です。
変更届の提出期限は、役員・経営業務の管理責任者・専任技術者など建設業許可の根幹に関わる事項については「変更があった日から原則2週間以内」とされており、多くの自治体・実務解説でも同様に案内されています。

この場合のポイントは、次の通りです。

  • 退職日と同日に後任者を就任させ、不在期間を作らない段取りを組むこと。
  • 後任者について、常勤性や経営業務経験などの要件を満たすことを事前に確認しておくこと。
  • 2週間以内に変更届と必要書類を提出し、証明書類の不備がないように整えること。

こうした対応を正しく行えば、経営業務の管理責任者の退職があっても、建設業許可そのものは継続して利用できます。

一方、経営業務の管理責任者の要件を満たす後任者が社内におらず、外部からもすぐに確保できない場合は、建設業許可の人的要件を満たさない状態となり、法第29条第1項第1号の「要件欠如」による許可取消しの対象となります。
このような場合、多くの解説では、欠けた事実を届出るとともに、30日以内を目安に廃業届を提出する必要があるとしています。

許可が取消されると、その後一定期間(通常5年間)は建設業許可の再取得が制限される場合があり、その間は500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事請負ができないなど、事業に大きな影響が生じます。
新たに経営業務の管理責任者の要件を満たす人材が見つかった場合は、あらためて新規申請によって建設業許可を取り直す必要があり、時間とコストの両面で負担が重くなります。

国土交通省の解説でも、「不在期間が生じないよう、あらかじめ要件を満たす者を選任するなど、事前に準備しておくことが必要」と明記されています。
これを踏まえ、経営者としては次のようなリスク管理を行っておくことが重要です。

  • 役員や幹部クラスの中から、将来的に経営業務の管理責任者になり得る人材を早めに育成しておくこと。
  • 現経営業務の管理責任者の年齢や健康状態、退職予定などを踏まえ、引継ぎのタイムラインを前もって検討しておくこと。
  • 社会保険の加入状況や、役員登記など、常勤性を証明できる体制を整備しておくこと。

こうした準備を行うことで、予期せぬ退職・病気・死亡などがあった場合でも、建設業許可の取消しという最悪の事態を回避しやすくなります。

ここでは、よくある状況を少しアレンジして、考え方のイメージをつかんでいただくための「架空のケース」をご紹介します。

  • 経営業務の管理責任者が60代後半で、近いうちに退任を検討している。
  • 他の役員の中に、建設業の経営経験を5年以上持つ人材が1名いる。

このような場合、退任予定の経営業務の管理責任者のスケジュールに合わせて、後任者の要件を確認し、常勤役員としての登記・社会保険加入などを終えたうえで、退任日と就任日が途切れないように調整します。
そのうえで、変更日から2週間以内に変更届を提出すれば、建設業許可の人的要件を連続して満たし続けることができ、許可取消しのリスクを現実的に抑えることが可能です。

逆に、後任者となるべき人材が社内にいない状態で退任だけが先行してしまうと、「経営業務の管理責任者不在」の状態となり、許可取消しや廃業届の提出など、事業存続に直結する対応が必要になってしまいます。

経営業務の管理責任者が不在のまま放置された場合、建設業法第29条第1項第1号に基づく許可取消しのほか、指導・改善命令が出されることもあり、行政からの信用を失うおそれがあります。
許可が取消されれば、一定期間は許可の再取得が認められない場合もあり、その間は大きな工事を請け負えないだけでなく、取引先との契約にも重大な影響が出る可能性があります。

また、許可取消しに至らなかったとしても、経営業務の管理責任者不在の状態で工事を行っていたことが判明すれば、発注者や元請業者からの信頼低下につながりかねません。
建設業許可は「持っているだけ」でなく、「適正に維持していること」自体が取引先への重要な信用情報であることを意識する必要があります。

経営業務の管理責任者は、建設業許可を取得するための条件であると同時に、許可を維持し続けるための中核的な要件です。
国土交通省の公表情報でも、経営業務の管理責任者が退職し後任が不在となった場合は、建設業法第29条第1項第1号に基づく「要件欠如」として、許可取消しの対象になることが明確に示されています。

後任者がいる場合は、退職と同時に後任者を就任させ、変更日から2週間以内に変更届を提出することで、許可を継続できます。
一方、後任者がいない場合は、建設業許可の人的要件を満たさない状態となり、廃業届の提出や将来の新規申請など、事業計画そのものを見直さざるを得ない事態に発展するおそれがあります。

経営業務の管理責任者が退職する可能性が見えてきた段階で、早めに後任候補の確認や経歴の整理、常勤性の確保などを進めておくことが、許可取消しリスクを避けるための最善策です。
自社にどのような選択肢があるのか不明な場合は、管轄の行政庁や建設業許可に詳しい専門家に早めに相談し、実情に合った対応策を検討されることをおすすめします。

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