はじめに
建設業許可を取りたいけれど、「自分で申請すべきか、行政書士に頼むべきか」で迷っている方は多いと思います。実際、建設業許可の手続きは、法令の理解や書類の準備など、想像以上に手間と時間がかかる手続きです。
この記事では、建設業許可を行政書士に依頼する主なメリットと、費用相場の考え方を分かりやすく解説します。
建設業許可が必要になる場面
建設業法では、原則として「1件の工事の請負代金が税込み500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事」を請け負う場合は、建設業許可が必要とされています。これは国土交通省が示す建設業許可制度の基本的な枠組みです。
また、許可には「国土交通大臣許可」と「都道府県知事許可」があり、営業所の所在地や営業エリアによって申請先が異なります。例えば複数の都道府県に営業所を置く場合は大臣許可、本店のみが一つの都道府県にある場合は知事許可になります。
行政書士に依頼する主なメリット
本業に専念できる
建設業許可の申請では、申請書の作成に加え、決算書・工事実績・経営業務の管理責任者や専任技術者の確認など、多くの資料を整理・確認する必要があります。
行政書士に依頼すれば、これらの調査や書類作成の大部分を任せることができるため、経営者や事務担当者は本業である現場や営業に時間を使うことができます。
手続きがスムーズになり、許可取得までの時間を短縮できる
建設業許可の要件は、「経営業務の管理責任者」「専任技術者」「財産的基礎・経営状況」など、細かな判断が必要な項目が多く、自己判断だけで進めると、後から「要件不足」や「書類の不備」で差し戻されることがあります。
建設業許可に慣れた行政書士であれば、要件の該当性を事前に整理し、不足している部分や証明資料を早い段階で洗い出すことができるため、結果として許可取得までの期間を短縮しやすくなります。
書類不備・失念によるリスクを減らせる
建設業許可は新規取得だけでなく、その後も「決算変更届」や「更新申請」「業種追加」「各種変更届」など、継続的な手続きが求められる制度です。
行政書士に継続的に依頼しておくことで、期日管理や必要書類の案内を受けられ、「更新を忘れて無許可状態になっていた」「決算変更届を出し忘れて指導を受けた」といったリスクを大幅に減らすことができます。
自分で申請する場合との違い
建設業許可は、法律上は自分で申請することも可能です。各都道府県や国土交通省のホームページから申請書様式や手引きをダウンロードでき、窓口でも相談を受け付けています。
一方で、自分で申請する場合には次のような負担が発生しやすくなります。
- 要件や必要書類を調べるための時間
- 窓口との事前相談や再訪問にかかる移動時間・交通費
- 社内の担当者にかかる人件費や他業務への支障
結果として、「行政書士報酬を節約したつもりが、社内の見えないコストが膨らんでいた」というケースも現実的に起こり得ます。
特に、初めての申請や、大臣許可・複数業種の許可など難易度が高いケースでは、専門家に任せた方がトータルの負担を抑えられることが多いです。
行政書士に依頼した場合の費用相場の考え方
法定費用(登録免許税等)
建設業許可には、行政書士報酬とは別に、国や都道府県に納める法定費用(登録免許税等)がかかります。具体的な金額は法令等で定められていますが、一般に以下のような水準が案内されています。
- 新規取得(知事許可・一般建設業): 約9万円前後の法定費用
- 新規取得(大臣許可・一般建設業): 約15万円前後の法定費用
※実際の金額は申請区分や改正により変動する可能性があるため、最新の情報は国土交通省や都道府県の公式サイトで必ずご確認ください。
行政書士報酬の一般的な水準
行政書士報酬は各事務所が独自に設定しており、地域や事務所の体制、サポート内容によって幅がありますが、公開されている料金表などを参考にすると、以下のようなレンジが一つの目安になります。
- 新規取得(知事許可)
- 報酬相場:おおむね15万円〜25万円程度
- 新規取得(大臣許可)
- 報酬相場:おおむね25万円〜40万円程度
- 更新申請
- 報酬相場:おおむね5万円〜15万円程度
- 業種追加
- 報酬相場:おおむね5万円〜10万円程度
上記はあくまで一般的な情報公開に基づく目安であり、個々の事務所の報酬額を示すものではありません。
同じ「新規取得」であっても、事前相談の回数、要件の確認・アドバイスの範囲、役所同行の有無、アフターフォローの内容などによって報酬が変わることがあります。
事例イメージ:費用と時間のバランスをどう考えるか
例えば、従業員5名規模の内装工事業者が、初めて知事許可(一般)を取得するケースをイメージしてみます。
- 自社で申請する場合
- 社長や事務担当者が、要件の確認・書類収集・申請書作成・窓口相談などに延べ30〜40時間程度かける
- 移動時間や交通費、他業務の停滞による機会損失が発生
- 行政書士に依頼する場合
- 面談やヒアリング、必要資料の準備で自社が使う時間は大幅に圧縮
- その分、営業や現場管理に時間を回すことで、売上向上や顧客対応の充実につながる
このように、「見える費用(報酬)」だけではなく、「見えにくい社内コスト」と「本業に専念できることで得られる利益」も含めてトータルで比較することが、建設業許可の費用相場を考える上で大切なポイントです。
費用だけでなくサポート内容も比較することが重要
建設業許可の行政書士を選ぶときは、金額だけでなく、次のような点もあわせて確認すると安心です。
- 建設業許可に関する説明が分かりやすいか
- 要件の確認や事前診断を丁寧に行ってくれるか
- 許可取得後の決算変更届や更新、経営事項審査など、継続的な相談にも対応してくれるか
- 自社の状況(個人事業か法人か、業種や工事規模など)を踏まえた実務的なアドバイスをしてくれるか
許可は取得して終わりではなく、その後の事業運営や入札参加などにも大きく関わってきます。料金表だけで判断するのではなく、「長く相談できるパートナーになりそうか」という視点で検討することをおすすめします。
まとめ
建設業許可は、500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事を請け負う際には原則必要となる重要な許可であり、申請には多くの要件と書類が求められます。
行政書士に依頼することで、本業に専念できる、手続きがスムーズになる、書類不備や更新忘れといったリスクを減らせるといったメリットが期待できます。
費用面では、法定費用に加えて、知事許可新規で15万〜25万円程度、大臣許可新規で25万〜40万円程度の報酬が一つの目安とされていますが、実際の金額は事務所やサポート内容によって異なります。
「目に見える費用」だけでなく、自社の人件費や時間、本業で生み出せる売上なども含めて総合的に判断し、自社に合った行政書士への依頼方法を検討してみてください。


