ブログ

建設業許可取得後に業種を変更・削除することはできますか?〜業種追加・削除・区分変更のポイント〜

建築業許可のアイキャッチ画像

建設業許可を取得したあと、「新しい工事を始めたいので業種を増やしたい」「やめてしまった工事業種を許可から外したい」といったニーズは珍しくないです。
一方で、「許可業種は一度取ったら変えられないのでは?」という誤解も多く、具体的な手続きのイメージが持てずに悩まれる方もいらっしゃいます。
この記事では、公式の手引きや関係法令を前提に、建設業許可取得後にできる「業種の追加・削除・区分変更」について、ポイントを整理してわかりやすくご説明します。

建設業許可は、2つの一式工事と多数の専門工事の業種ごとに出される許可であり、「建設業」という包括的な許可ではない仕組みになっています。
そのため、事業内容の変化に応じて、新たな業種を追加したり、不要になった業種を削除したりすることが制度上可能ですし、実務上も頻繁に行われています。

建設業許可取得後に新しい工事業種を始める場合は、「業種追加」の許可申請を行うことで、既存の許可に新たな業種を加えることができます。
業種追加の手続きは、基本的に新規許可と同じ考え方が採用されており、追加しようとする業種ごとに専任技術者の配置や財産要件など、許可要件を満たしている必要があります。

具体的には、次のようなケースが典型的です。

  • すでに「建築工事業」の許可を持っているが、「内装仕上工事業」を追加したい場合。
  • 土木一式工事から舗装工事やとび・土工工事へ業務を拡大したい場合。

なお、新規許可取得後の一定期間内に行う業種追加では、預金残高証明書など財産的要件に関する確認書類の提出が求められるなど、追加提出書類が生じる場合があります。

反対に、事業方針の変更や人員構成の見直しにより、今後その工事業種を行わない場合には、許可業種の「削除」(一部廃業)を行うことができます。
削除の方法やタイミングは、都道府県や許可区分によって若干異なりますが、一般的には「一部の業種の廃業届」や「担当専任技術者の削除」などの変更届によって整理する形が採られます。

典型的には、次のようなパターンが考えられます。

  • 担当業種の変更または削除を行う場合の専任技術者変更届。
  • 複数業種のうち一部の業種を廃業する際の「一部廃業届」。
  • 専任技術者が退職し、要件を満たせなくなった業種について、廃業や削除の届出を行うケース。

重要なのは、「もうやらない業種を放置しておく」のではなく、実態に合わせて廃業・削除を届け出ることです。
変更の事実が生じたにもかかわらず届出をしない場合、監督処分や罰則の対象となることがあるため、実態と許可内容を一致させておくことが求められます。

業種そのものの追加・削除とは別に、「一般建設業→特定建設業」「知事許可→大臣許可」など、許可区分の変更も行うことができます。
許可区分の変更は、工事規模の拡大や元請として下請負契約金額が増える場合、また発注者の要件に応じて必要となることが多く、各自治体の手引きに専用の申請方法が記載されています。

例として、知事許可で入札参加資格を登録している業者が許可区分を変更する場合、変更届や許可通知書の写しなどを提出する手続きが定められていることが一般的です。
また、一般から特定への区分変更やその逆の変更の際には、一定の場合に全ての許可を一度廃業する扱いとなり、新規許可申請が必要になることがある点にも注意が必要です。

建設業許可取得後は、業種の追加・削除・区分変更だけでなく、商号変更、本店移転、役員変更、資本金増資など様々な変更事項について届出が必要になります。
変更の事実が生じた日から一定期間内に届出を行う必要があり、特に経営業務管理責任者や専任技術者の変更は、比較的短い期限内に届け出ることが求められています。

また、建設業許可業者は毎事業年度終了後一定期間内に「決算変更届(決算報告)」を提出しなければならないなど、許可取得後も継続的な手続き義務があります。
これらの届出を怠ると、許可取消などの監督処分につながりかねないため、社内で許可管理の担当者やチェック体制を整えておくことが望ましいです。

制度のイメージを持っていただくため、ここでは参考ケースをご紹介します。

例:千葉県で「建築工事業」と「内装仕上工事業」の一般建設業許可を受けている中小企業が、今後はリフォームに特化し、内装工事を中心に事業を展開したいと考えたケース。

  • 現状の工事内容を整理すると、建築一式工事はほとんど受注しておらず、内装工事が売上の大半を占めている。
  • 経営者は、建築一式工事の専任技術者が退職予定であることから、今後の要件維持が難しくなると判断。
  • 将来の事業計画を踏まえ、建築工事業は一部廃業届を出し、内装仕上工事業に特化した許可体制に見直すことを検討。

このような場合、「どの業種を将来も維持するのか」「専任技術者や財産的要件をどのように確保するのか」を整理したうえで、業種削除と必要に応じた業種追加・区分変更を組み合わせて検討することが重要になります。
自社の経営計画や人員体制、入札参加の方針などを踏まえ、数年先までの事業展開をイメージしながら、許可内容の見直しを行うとよいでしょう。

  • 建設業許可は業種ごとの許可であり、事業内容の変化に応じて業種追加・削除・区分変更を行うことができます。
  • 新しい工事分野に進出する場合は「業種追加」の許可申請が必要で、追加する業種ごとに専任技術者や財産要件などの許可要件を満たす必要があります。
  • 不要となった業種は、一部廃業届や専任技術者の削除などにより許可業種から外すことができ、実態に合わせた許可内容の見直しが求められます。
  • 一般・特定、大臣・知事などの許可区分の変更も可能ですが、場合によっては全廃業扱いから新規許可申請が必要になるなど、注意すべき点があります。
  • いずれの手続きも、最新の手引きや関係法令を確認したうえで、期限や必要書類を踏まえて適切に行うことが大切です。

実務では、会社の成長戦略や人員体制、入札参加の方針などを総合的に踏まえて、どのタイミングで業種の追加・削除・区分変更を行うのかを検討することが重要になります。
その際は、関係官庁の公式資料を確認しつつ、専門家に相談して具体的な手続きと影響を整理しておくと、経営上のリスクを抑えながら、柔軟に許可内容をコントロールしやすくなります。

関連記事

  1. 建築業許可のアイキャッチ画像 建設業許可を行政書士に依頼するメリットと費用相場の考え方
  2. 建築業許可のアイキャッチ画像 個人事業主から法人化したとき、建設業許可は引き継げる?承継制度と…
  3. 建築業許可のアイキャッチ画像 建設業許可に必要な「経営業務の管理責任者」とは?要件とチェックポ…
  4. 建築業許可のアイキャッチ画像 一人親方でも建設業許可は取るべき?取得するメリット・デメリットを…
  5. 建築業許可のアイキャッチ画像 建設業許可の「一般」と「特定」はここが違う!判断ポイントと選び方…
  6. 建築業許可のアイキャッチ画像 建設業許可の専任技術者とは?要件と10年実務経験の具体的な証明方…
  7. 建築業許可のアイキャッチ画像 過去に赤字決算でも建設業許可は取得できますか?行政書士が財務要件…
  8. 建築業許可のアイキャッチ画像 建設業許可の更新手続きと期限管理の重要性:5年ごとの更新を確実に…

最近の記事

  1. 建築業許可のアイキャッチ画像
  2. 建築業許可のアイキャッチ画像
  3. 建築業許可のアイキャッチ画像
  4. 建築業許可のアイキャッチ画像
  5. 建築業許可のアイキャッチ画像
PAGE TOP