はじめに
永住権の取得は、多くの外国人の方にとって大きな目標です。しかし、過去に在留資格の切り替えが複数回あったり、一時帰国が多かった場合、「永住申請に必要な在留年数をどのように計算すればよいのか?」と不安に感じる方も少なくありません。この記事では、法務省や出入国在留管理庁の公式情報をもとに、在留資格の切り替えや一時帰国が多い場合の年数計算のポイントについて、わかりやすく解説します。
永住申請に必要な「在留期間」の基本
永住許可申請の主な要件の一つが「引き続き日本に10年以上在留していること」です。この「引き続き」とは、在留資格に基づき合法的に途切れなく日本に滞在していることを意味します。
ただし、高度専門職ポイント制による優遇措置など、例外もあります。
在留資格の切り替えが多い場合の年数計算
在留資格の切り替えがあった場合でも、在留資格が連続していれば、原則として在留期間は通算されます。例えば、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」へ変更した場合でも、在留資格の切れ目がなければ、すべての期間が合算可能です。
ただし、資格外活動や不法滞在など、在留資格が切れていた期間がある場合は、その期間は年数に含まれません。
一時帰国が多い場合の年数計算
一時帰国が多い場合でも、原則として「3ヶ月未満」の短期帰国であれば、在留の継続性が認められます。
一方、3ヶ月を超える長期の帰国や、頻繁な長期帰国がある場合は、「引き続き在留している」とは認められない可能性があります。
また、複数回の短期帰国であっても、出入国記録や在留カードの履歴で日本での生活実態を証明できれば、年数計算上は不利にならないケースが多いです。
高度専門職ポイント制の活用
高度専門職ポイント制を利用する場合、ポイントが70点以上であれば5年、80点以上であれば1年の在留で永住申請が可能です。
過去の在留資格の切り替えや一時帰国が多い場合でも、ポイント制の適用を受けることで、通常よりも早く永住申請ができる可能性があります。
具体的なケーススタディ
Bさん(中国籍)は、2014年4月に「留学」ビザで来日し、2018年4月に「技術・人文知識・国際業務」ビザに変更。その後、2022年4月に「高度専門職」ビザに切り替え、年に2回(各2週間)の一時帰国を続けてきました。
この場合、在留資格の切り替えはすべて合法的に行われており、一時帰国も短期であったため、2014年4月からの在留期間を通算して計算できます。
2024年4月時点で10年の在留歴があり、ポイントが80点以上であれば、さらに短縮された在留期間で永住申請も可能です。
継続性を証明するための書類
在留期間の継続性を証明するためには、以下のような書類が有効です。
- パスポートの出入国スタンプ
- 在留カードの写し
- 住民票の履歴
- 健康保険証や年金加入記録
これらの書類を用意することで、在留の継続性や日本での生活実態を証明しやすくなります。
注意点と専門家への相談
在留資格の切り替えや一時帰国が多い場合、申請書類の記載や証明方法に工夫が必要です。
また、ケースによっては個別の判断が必要になるため、事前に行政書士など専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
永住申請時の年数計算は、在留資格の切り替えや一時帰国が多い場合でも、基本的には「合法的な在留が継続しているか」がポイントです。
短期の一時帰国や在留資格の切り替えは、年数計算上で不利になることは少ないですが、長期帰国や在留資格の空白には注意が必要です。
ご自身の状況に不安がある場合は、専門家に相談し、正確な情報と適切な書類準備を心がけましょう。