はじめに
日本で永住権（永住許可）を取得したいと考える外国人の方にとって、「高度専門職ポイント制」は大きな魅力となっています。特に、在留資格「高度専門職」を持つ方は、一定のポイント（70点以上）を満たすことで、通常より短期間で永住申請が可能となる優遇措置があります。しかし、実際に申請を進めようとすると、「ポイントが足りなくなった場合はどうすればよいのか？」という不安や疑問を持つ方も少なくありません。本記事では、高度専門職ポイントが不足した場合の対策や注意点について、政府の公式情報等をもとに詳しく解説します。
高度専門職ポイント制とは
高度専門職ポイント制は、学歴、職歴、年収、年齢、日本語能力など、さまざまな項目ごとにポイントが付与され、合計70点以上で「高度専門職」として認定される制度です。80点以上の場合は、より短い在留期間（1年）で永住申請が可能となります。このポイント制は、経済成長や国際競争力の強化を目的に導入されており、優秀な外国人材の受け入れを促進しています。
永住申請の要件とポイントの維持
永住申請には、原則として「高度専門職ポイントが70点以上であること」が要件となります。また、2024年6月のガイドライン改訂により、「永住申請時にもポイントを維持していること」が求められるようになりました。つまり、申請時点でポイントが70点未満の場合、永住申請は認められません。
ポイントが不足する主なケース
ポイントが不足する主な理由として、以下のようなケースが挙げられます。
- 年齢が上がることで加点が減少する
- 年収が下がることでポイントが減少する
- 資格や学歴の評価が変わる
- 配偶者や家族の状況が変化する
たとえば、申請時には年齢や年収でポイントをクリアしていたものの、在留期間中に年齢加点がなくなったり、年収が下がってしまったりすることで、合計ポイントが70点を下回ることがあります。
ポイント不足時の対策
ポイントが不足してしまった場合、以下のような対策が考えられます。
1. 他の加点項目を見直す
高度専門職ポイントは、学歴や職歴、日本語能力、資格、研究実績など多岐にわたります。年齢や年収でポイントが減少した場合でも、他の項目で加点ができないか再度確認しましょう。たとえば、日本語能力試験N1の取得や、追加の学位取得、専門分野での受賞歴などが加点対象となる場合があります。
2. 年収アップや転職によるポイント加算
年収がポイントの大きな割合を占めるため、昇給や転職によって年収を上げることでポイントを回復できる場合があります。ただし、転職する際は必ず在留資格の変更手続きが必要となるため、事前に専門家に相談することをおすすめします。
3. 配偶者や家族の状況を活用
配偶者が高学歴であったり、日本で就労している場合など、家族の状況によっても加点される場合があります。家族の情報も含めてポイント計算を見直しましょう。
4. 他の在留資格への変更を検討
どうしてもポイントが70点に届かない場合は、「技術・人文知識・国際業務」など、他の在留資格への変更を検討する必要があります。在留資格の更新時にポイントが不足していると、高度専門職としての更新ができなくなるため、早めに対策を講じましょう。
5. 専門家への相談
ポイント計算や必要書類の準備、在留資格の選択などは複雑な場合が多いため、行政書士などの専門家に相談することで、最適な対策を見つけやすくなります。
事例紹介
Aさん（中国出身、35歳、IT企業勤務）は、高度専門職ポイント制で70点を取得し、3年間日本で勤務してきました。しかし、年齢が36歳となり加点が減少し、さらに年収も一時的に減ったことで、合計ポイントが68点に下がってしまいました。Aさんは日本語能力試験N1を取得し、追加で10点を獲得。結果、再び70点をクリアし、無事に永住申請を行うことができました。
まとめ
高度専門職ポイント制は、永住申請を目指す外国人にとって大きなチャンスですが、ポイントが不足した場合には早めの対策が重要です。加点項目の見直しや年収アップ、家族の状況の活用、他の在留資格への変更検討など、状況に応じた柔軟な対応が求められます。ポイント計算や申請書類の準備には専門的な知識が必要な場合も多いため、困ったときは行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
