はじめに
日本で長期的に生活する外国人の方々にとって、「永住者」の在留資格は非常に魅力的なものです。しかし、過去に万引きなどの軽微な犯罪歴がある場合、「永住申請ができるのか」「どのくらいの期間を空ければ再申請できるのか」といった疑問や不安を持つ方も多いのではないでしょうか。本記事では、最新の法務省ガイドラインや専門家の見解に基づき、正確な情報をわかりやすく解説します。
永住申請における犯罪歴の影響
永住許可の法的要件
永住許可の主な要件は、以下の3つです(出入国管理及び難民認定法第22条):
- 素行が善良であること
- 独立した生計を営むに足る資産または技能を有すること
- その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
このうち、「素行が善良であること」と「日本国の利益に合すること」が、犯罪歴と特に関わる重要なポイントです。
軽微な犯罪歴(万引き等)がある場合
万引きなどの軽微な犯罪で罰金刑を受けた場合、直ちに永住申請が不許可になるわけではありません。しかし、犯罪歴があることで審査は厳しくなります。特に、罰金刑や懲役刑を受けている場合は、原則として一定期間が経過しないと永住申請が認められません。
罰金刑の取扱い
- 罰金刑の場合、刑の執行を終えてから5年以上が経過していれば、永住申請の可能性が出てきます。
- 5年未満の場合は、原則として永住申請は認められません。
- ただし、同じような違反や犯罪を繰り返している場合は、5年以上経過しても不許可となるケースもあります。
懲役・禁錮刑の場合
- 懲役や禁錮刑の場合は、刑の執行を終えてから10年以上が経過していれば申請可能となる目安です。
軽微な交通違反の場合
- 反則金のみの軽微な交通違反(例:信号無視や駐停車違反)が2~3回程度であれば、永住申請に大きな影響はありません。
- しかし、罰金刑(赤キップ)や累積で免停・罰金となった場合は、前述の通り5年以上の経過が必要です。
永住申請が不許可となった場合の再申請タイミング
罰金刑を受けた場合の再申請
- 罰金を納付した日から5年が経過したタイミングで再申請が可能です。
- この5年間は、法律を遵守し、納税や社会保険料の納付などもきちんと行っていることが重要です。
- 再申請時には、反省文や運転記録証明書などを添付することで、素行善良要件を補強することが推奨されています。
申請の際の注意点
- 一定期間を空けたからといって、必ずしも許可されるわけではありません。犯罪歴のない方に比べて審査は厳しくなります。
- 申請前には、事前に専門家へ相談し、個別事情に応じたアドバイスを受けることが望ましいです。
具体的な事例
例えば、外国人の方が数年前に万引きで罰金刑を受けた場合、罰金納付日から5年以上が経過し、その間に再犯がなく、納税や社会保険料の納付も適切に行っていれば、永住申請が可能となります。ただし、申請時には反省文を添付し、5年間の素行の良さを証明する資料を提出することが重要です。
まとめ
- 過去に万引きなどの軽微な犯罪歴がある場合でも、一定期間(罰金刑なら5年、懲役・禁錮刑なら10年)が経過すれば永住申請のチャンスはあります。
- 期間経過後も、法律を守り、納税などの公的義務を果たしていることが重要です。
- 申請時には反省文や証明書類を添付し、素行善良要件をしっかりアピールしましょう。
- 個別事情による判断も多いため、専門家への相談をおすすめします。