はじめに
日本で永住権の取得を目指す外国人の方にとって、「長期出国」や「年間の出国日数」は大きな関心事です。特に年間100日以上の出国がある場合、永住申請に必要な「引き続き10年以上の在留」要件の年数計算がどうなるのか、不安に思う方も多いでしょう。本記事では、最新の法務省や専門家の情報をもとに、長期出国が永住申請に与える影響や注意点について詳しく解説します。
永住申請に必要な「引き続き10年以上の在留」とは
日本の永住許可申請では、原則として「引き続き10年以上日本に在留していること」が求められます。これは単に住民票が日本にあればよいというものではなく、実際に日本に生活の拠点があり、継続して在留資格を保有していることが必要です。
どのような場合に「引き続き」と認められないのか
- 在留資格が途切れた場合:一度帰国し、在留資格が失効した期間がある場合は、それまでの在留年数はリセットされ、再入国後から再度10年間のカウントが必要です。
- 長期出国が多い場合:出国日数が多いと「日本に生活の本拠がない」と判断され、永住許可が難しくなります。
長期出国と年数計算の具体的な基準
1回の出国が90日(3ヶ月)以上の場合
1回の出国が連続して90日(3ヶ月)以上となると、「引き続き在留している」とは認められず、それまでの在留年数がリセットされるリスクがあります。たとえば、9年間日本に住んでいても、その後3ヶ月以上連続で出国すると、帰国後から再び10年のカウントが必要です。
年間の合計出国日数が100日以上の場合
近年の運用では、年間の合計出国日数が100日を超えると、その年は「日本に引き続き在留していた」と認められない可能性が高くなります。実際には、100日を超えたから即リセットというわけではありませんが、審査で不利になることは間違いありません。
150日以上・180日以内の場合
一部の専門家や行政書士の見解では、年間150日以上の出国があると永住申請が非常に難しくなるとされていますが、法務省の公式な明確基準は公表されていません。あくまで「生活の本拠が日本にあるか」を総合的に判断されます。
出国日数のカウント方法
- 出国日も1日としてカウントされます。たとえば、1月1日に出国し、1月3日に帰国した場合は3日間とカウントします。
- 暦年ではなく、カウントを開始する基準日は定まっていません。どこからカウントを開始されても問題ないようにしましょう。
特別な事情がある場合
やむを得ない事情(会社命令の海外出張や家族の重病など)がある場合は、その理由や証明書類を提出することで例外的に認められることもあります。ただし、これは個別判断となり、必ずしも許可されるわけではありません。
事例紹介
Aさん(30代・独身)は、技術・人文知識・国際業務の在留資格で日本に9年在住。仕事の都合で1年間に110日間、複数回に分けて海外出張を行いました。永住申請時、出国理由や日本での生活基盤(賃貸契約、銀行口座、納税記録など)を詳細に説明し、追加書類も提出しましたが、審査は慎重に行われ、最終的に「生活の本拠が日本にある」と認められ申請が許可されたケースもあります。出国日数が多い場合は、事前に専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
- 永住申請には「引き続き10年以上の在留」が必要であり、長期出国や年間100日以上の出国がある場合は年数計算がリセットされるリスクがあります。
- 1回の出国が90日以上、または年間合計100日以上の出国は特に注意が必要です。
- 出国理由や日本での生活基盤によっては例外が認められることもありますが、審査は厳格です。
- 永住申請を目指す方は、出国日数の管理と、事前の専門家への相談を強くおすすめします。