はじめに
日本で生活するイギリス人が日本国籍を取得するためには、「帰化申請」という手続きを経る必要があります。この手続きでは、出生証明書や婚姻証明書の準備が不可欠ですが、その際には公証やApostille(アポスティーユ)取得など、複雑な国際認証手続きも求められます。さらに、翻訳の正式性や日本の法務局への提出時の注意点など、多岐にわたるポイントを押さえておくことが重要です。この記事では、イギリス人の帰化申請にまつわる手続き費用や書類準備、よくある落とし穴について詳しく解説します。
必要となる主な証明書と認証方法
出生証明書・婚姻証明書の取得
イギリスで発行された出生証明書や婚姻証明書は、日本の帰化申請に際して必須書類となります。証明書はGOV.UK(イギリス政府公式サイト)を通じてオンラインで申請できます。取得費用は1,200〜2,000円ほどで、手元に届くまで2〜3週間かかります。
公証・Apostille(アポスティーユ)
イギリスの証明書類を日本の法務局に提出する際には、通常「Apostille」という国際認証が必要です。Apostilleはハーグ条約締約国間で相互に認証を簡素化する制度で、日本とイギリスの両国が加盟しています。イギリス発行の場合はイギリス当局で、日本発行の書類は日本の外務省でApostilleの取得が必要です。
落とし穴
- 有効期限:取得日より3ヵ月以内等の有効期限が設けられている証明書もあります。古い証明書を提出した場合、再度の取得・翻訳が必要になるため要注意です。
- 書類形式:法定様式や公印(官公署印)の有無、紙媒体の原本が求められることがあります[CITATION NEEDED]。
- 公証とApostilleの違い:「Apostille」はハーグ条約の加盟国間、「公証・領事認証」は非加盟国も含めた方式であり、提出先の要求形式を必ず確認しましょう。
英文翻訳の正式性
日本語以外の証明書類には、日本語訳の添付が必須となります。翻訳は「正確かつ全文」を求められ、翻訳者の署名や認証が必要な場合もあります。行政書士を通じた翻訳サービスの利用も安全策のひとつです。
各種手続きの費用とポイント
- 帰化申請自体の費用(自分で行う場合)は、証明書取得や写真等も含めて1,800〜5,000円程度が目安です。
- 行政書士に依頼する場合の報酬は、一般的に10万〜20万円程度が相場ですが、個別の内容や家族数、翻訳量によって変動します。英語書類の翻訳や追加認証には別途費用が発生します。
- 公証・Apostille申請の外注費用は2万円台が一つの目安です。
日本の窓口への提出時の注意点
- 窓口は法務局:帰化申請は「出入国在留管理局」ではなく、ご自身の住所地を管轄する「法務局」です。取り扱いのある法務局は限られている場合があるため要確認です。
- 書類の並べ方や形式:厳格なルールがあり、不備や順序違いは即再提出となるケースが多いです。
- 有効期限の管理:特に住民票や納税証明書は発行から3ヵ月以内といった制限があり、取得するタイミングには注意しましょう。
- 申請人の状況変化:申請中の住所・勤務先・家族構成などに変更があれば速やかに法務局へ届け出る義務があります。違反すると却下される危険性あり。
- 翻訳の提出:外国語書類には翻訳文の添付が義務付けられ、全訳+翻訳者概要の記載(行政書士など)も必要です。
まとめ
イギリス人の方が日本で帰化申請を進める際、出生証明書や婚姻証明書は必須であり、公証やApostille取得、さらに正確な翻訳が求められます。また、法務局への提出時には書類の整合性や提出ルール、タイミングなどにも細心の注意が必要です。費用面では自力申請と専門家依頼時で大きな差が出ますが、書類の不備による再申請リスクや翻訳の正式性確保も勘案し、ご自身に合った方法を選ぶことをおすすめします。
各種手続や認証方法は、随時、外務省や法務省の最新情報を確認しましょう。