はじめに
近年、日本のスキー場では外国人インストラクターの需要が高まり、在留資格「特定活動(スキーインストラクター)」を利用した受入れが増えています。
本記事では、この在留資格の基本的な仕組み、要件、手続きのポイントを、公的機関の情報に基づきやさしく解説します。
在留資格「特定活動(スキーインストラクター)」とは
在留資格「特定活動」とは、出入国管理及び難民認定法の枠組みの中で、他の在留資格に当てはまらない活動を個別に認めるための制度です。
このうち「スキーインストラクター(スキー指導者)」は、法務省告示で定められた「告示50号」の特定活動として位置付けられています。
法務省・出入国在留管理庁の告示一覧では、50号について「スキーインストラクター」と明記されており、一定の要件を満たす外国人が日本の公私の機関と契約してスキーの指導に従事することを目的とした在留資格であると説明されています。
この在留資格を取得することで、日本のスキー場やスキースクールで報酬を得ながら指導に従事する活動が認められます。
スキーインストラクター特定活動の主な要件
スキーインストラクターの特定活動では、主に次のような要件が想定されています(具体的な運用は最新の入管庁資料や各地方入管局で要確認です)。
- スキー指導に関する一定水準以上の資格を有していること(例:公益社団法人日本プロスキー教師協会(SIA)などが認定する資格などが基準とされている旨の解説があります)。
- 日本国内のスキー場・スキースクールなど「公私の機関」との雇用契約や業務委託契約に基づいてスキー指導に従事すること。
- 活動内容が、告示50号で定める「スキーの指導」に該当し、単純労働中心ではないこと(リフト係など別業務が中心となる場合は他の在留資格の検討が必要となるケースがあります)。
また、在留期間は、一般の告示特定活動と同様に、個々のケースに応じて1年、6か月等の範囲で付与される運用が見られますが、具体的な期間は入管庁の判断によります。
いずれにしても、資格・契約内容・報酬額などを総合的に審査される点が大きな特徴です。
手続きの流れと必要書類のイメージ
日本に呼び寄せる場合(在留資格認定証明書)
外国にいるスキーインストラクターを日本に招へいする場合は、まず日本側の受入機関が「在留資格認定証明書交付申請」を行うのが一般的です。
出入国在留管理庁のスキーインストラクター専用ページでは、申請書の様式や提出先、申請人以外が提出する場合の身分証明書の提示義務などが案内されています。
想定される提出資料の例は次のとおりです(実務では各入管局の案内・個別指示に従う必要があります)。
- 申請書(在留資格認定証明書交付申請書:特定活動用)
- 旅券の写し、写真など申請人本人に関する資料
- スキー指導者としての資格証明書の写しや経歴を示す資料(資格認定団体の証明書、指導歴の証明など)
- 雇用契約書・労働条件通知書等、日本の受入機関との契約内容が分かる書類
- 受入機関の概要資料(登記事項証明書、決算書、パンフレットなど)
認定証明書が交付された後、外国人本人が海外の日本大使館・総領事館で査証発給を受けて来日する流れになります。
日本国内での変更・更新
留学など他の在留資格からスキーインストラクターの特定活動への変更を希望する場合は、「在留資格変更許可申請」を行うことになります。
更新時も、引き続きスキー指導者として活動し、要件を満たしていることを示す資料(契約更新書、高い技能を示す資料など)の提出が重要です。
想定ケースと実務上のポイント
- 例:オーストラリア出身のAさん(30代)が、自国のスキー指導資格を取得し、複数年のインストラクター経験を積んだうえで、日本のスキー場B社と冬季シーズンの雇用契約を締結したケースを想定します。
この場合、Aさんの資格が日本の基準を満たすかどうか、指導業務が中心であるか、雇用条件が適切か等が審査のポイントとなります。 - さらに、B社側は、スキーインストラクターとしてのポジションが日本人では充足しにくい専門性を要するものであることや、教育や安全管理面で高いレベルを求めていることを説明できると、制度趣旨に沿った申請になりやすいと考えられます。
このように、単に「人手不足だから」という理由ではなく、「専門的なスキー指導者としての受入れ」であることを示すことが重要になります。
また、就労範囲はスキー指導活動に限定されるため、シーズンオフの期間中に他業種でフルタイム就労することは原則として認められません。
シーズンごとの雇用契約であっても、在留期間や活動内容に一貫性がとれるよう、契約書や事業計画の整理が求められます。
まとめ
在留資格「特定活動(スキーインストラクター)」は、法務省告示50号に基づいて認められる在留資格であり、一定のスキー指導資格を有する外国人が日本の公私の機関と契約して指導に従事するための枠組みです。
他の就労系在留資格ではカバーしきれない「専門的なスキー指導」のニーズに対応する制度である一方、資格・契約内容・活動範囲などの要件を満たさない場合は不許可となる可能性もあります。
実際の申請では、最新の法務省・出入国在留管理庁の告示・運用を確認しつつ、スキー資格の証明、契約内容の明確化、活動の専門性を示す資料の準備が欠かせません。
スキーインストラクターとして日本で活動を希望される方や、外国人インストラクターを雇用したいスキー場・スキースクールの担当者の方は、個別事情に応じて専門家に相談しながら進めることをおすすめします。


