はじめに
近年、海外の大学に在籍する学生を日本企業でインターンシップとして受け入れるケースが増えており、在留資格「特定活動(インターンシップ)」への注目が高まっています。
一方で、「どの在留資格に該当するのか」「受入企業が何を準備すべきか」が分からず、不安を感じている企業担当者や大学関係者も少なくありません。
この記事では、出入国在留管理庁・法務省の公表資料をもとに、在留資格「特定活動(インターンシップ)」の基本的な仕組みと申請時のポイントを分かりやすく整理して解説します。
在留資格「特定活動(インターンシップ)」とは
在留資格「特定活動」は、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を行うための在留資格で、その一つとして「インターンシップ」が位置付けられています。
海外の大学に在籍する学生が、日本企業で報酬を受けてインターンシップを行う場合には、「特定活動(告示9号)」による入国が必要とされており、在留資格認定証明書交付申請を経てビザを取得するのが一般的な流れです。
また、インターンシップとして行う活動の内容・期間・報酬の有無によって、「短期滞在」や「文化活動」など他の在留資格が適用されるケースもあり、計画段階から活動実態に合った在留資格を検討することが重要です。
対象となるインターンシップの要件
特定活動(インターンシップ)の対象となるのは、概ね次のようなケースとされています。なお、具体的な要件は法務省告示およびガイドラインに定められています。
- 海外の大学・大学院に在籍していること(休学中等の場合は個別の確認が必要)
- 教育課程の一部として位置付けられたインターンシップであり、大学と受入企業等との契約や協定に基づくこと
- 日本の企業等において、一定期間、実務を体験する内容であること
報酬の有無については、報酬を伴うインターンシップで特定活動(告示9号)が利用される一方、報酬なしで90日以内の場合は「短期滞在」、90日を超える場合は「文化活動」が用いられる取扱いが示されています。
受入企業・大学側の主な要件
在留資格「特定活動(インターンシップ)」では、インターン本人だけでなく、受入企業や大学側にも一定の要件や役割が求められます。
- 海外大学と受入企業との間で、インターンシップに関する契約・協定等が締結されていること
- 受入企業側で、業務内容、指導体制、労働条件(報酬の有無・金額、就業時間等)を明確にし、書面で説明できること
- インターンシップが学生の専攻内容と関連し、教育上の意義が認められるプログラムであること
特に、在留資格認定証明書交付申請は、本邦の企業等が行う必要があるとされており、受入企業が主体的に準備を進めることが前提となります。
在留期間と更新の考え方
特定活動(インターンシップ)の在留期間は、活動内容や期間に応じて法務大臣が個別に指定しますが、実務上は1年または6か月とされる例が多いとされています。
一般に、インターンシップは教育課程の一部として一定期間に限って行われるものと位置付けられるため、在留期間は必要最小限に設定され、更新が想定されない運用も見られます。
もっとも、在留期間6か月が付与された場合に、やむを得ない事情があるときには一度に限り更新が認められ、通算1年までの在留が可能とされる旨の説明もされています。
インターンシップの期間や学事日程を踏まえた在留期間の設計と、必要に応じた更新の可否の検討が重要になります。
申請手続きの流れと必要書類
海外の大学生がインターンシップを目的に来日する場合、通常は次のような流れで手続きが進みます。
- 本邦の受入企業が、出入国在留管理局に対し「在留資格認定証明書交付申請」を行う。申請人本人ではなく、受入企業が責任を持って手続きを行うことが求められます。
- 交付された在留資格認定証明書をもとに、学生本人が本国等の在外公館(日本大使館・総領事館)で査証(ビザ)の発給申請を行う。
- ビザが発給された後、学生が日本に入国し、入国時に「特定活動」の在留カードが交付される。
必要書類の詳細は、出入国在留管理庁が公表する「特定活動(インターンシップ)ガイドライン」や、在留資格認定証明書の手続案内で示されており、インターンシップの内容・期間に応じて求められる資料が変わり得ます。
よくある誤解と注意点(事例イメージ)
例えば、海外大学に在籍するAさんが、日本企業B社で3か月間の報酬付きインターンシップを希望したケースを考えてみます。
当初、B社は「短期滞在」で受け入れられると考えていましたが、報酬を支払う予定であったため、「特定活動(告示9号)」による在留資格認定証明書の取得が必要と判断され、計画を修正しました。
また、別のケースとして、C大学が海外提携大学からの学生を半年間受け入れる際、大学の単位認定と結びつかない一般的なアルバイトに近い内容のプログラムを想定していたところ、教育課程との関連性が不十分として見直しを求められたという相談も想定されます。
このように、報酬の有無や教育上の位置付けによって適切な在留資格が変わるため、計画段階から制度の枠組みを意識してプログラムを設計することが大切です。
インターンシップと他在留資格との関係
インターンシップは、「留学」や「特定活動(継続就職活動・就職内定者)」など、他の在留資格のもとで資格外活動許可を受けて行う場合もあります。
留学生が日本国内の企業でインターンシップを行う場合、所定の範囲内でアルバイト等を認める一般的な資格外活動許可とは別に、「1週につき28時間を超える資格外活動許可」が必要となるケースがあることにも注意が必要です。
一方、海外大学生が日本企業で報酬付きインターンを行う場合は、「特定活動(告示9号)」による在留資格を取得したうえで入国することが求められます。
どの在留資格・手続きに当てはまるかは、インターンシップの実施主体、場所、期間、報酬の有無などを総合的に見て判断されるため、早めに専門家や出入国在留管理局に相談することが望ましいです。
まとめ
在留資格「特定活動(インターンシップ)」は、海外の大学生が日本企業で報酬を受けながら教育課程の一部として実務を体験するための重要な制度であり、法務省告示および出入国在留管理庁のガイドラインに基づいて運用されています。
適切な受入れのためには、学生本人だけでなく、企業・大学それぞれが果たすべき役割を理解し、インターンシップの内容や期間に応じて、在留資格認定証明書交付申請や必要書類の準備を進めることが不可欠です。
実際の申請では、個別事情によって必要な資料や判断が変わることも多いため、最新の公的情報を確認しつつ、専門家への相談も検討されると安心です。


