はじめに
日本の大学や専門学校を卒業した留学生が、日本での就職を希望する場合、「特定活動(就職活動)」という在留資格を取得することで、卒業後も一定期間、就職活動を継続することができます。
しかし、就職活動が長引き、在留資格の更新を申請した際に「不許可」となるケースも少なくありません。今回は、そのような不許可の原因や注意点について、入管庁の公式情報をもとに詳しく解説します。
「特定活動(就職活動)」とは?
「特定活動(就職活動)」は、出入国在留管理庁が定める「特定活動告示」に基づく在留資格の一つです(出入国管理及び難民認定法別表第一「特定活動」)。
主に大学・短大・専門学校等を卒業した留学生が、日本国内で就職活動を続けるために申請する在留資格です。卒業後の最長1年間(原則6か月+必要に応じて6か月延長)が認められます。
更新が不許可となる主な原因
1. 就職活動実績が不十分な場合
更新時の最も多い不許可理由は、「就職活動の実績が十分でない」と判断されることです。
たとえば、企業への応募や説明会参加の記録が少ない、就職支援機関や大学のキャリアセンターのサポートを利用していない、などの場合に、「実質的な活動を行っていない」とみなされることがあります。
入管は、応募履歴や面接実績、メール記録、企業からの返信などの客観的証拠を重視します。
2. 活動目的が逸脱していると判断された場合
特定活動の目的は「就職活動」に限定されています。
そのため、アルバイト中心の生活となっており、本来の活動目的を欠いていると認定されると、更新は難しくなります。
資格外活動許可の範囲を超える就労や、就職活動を行っていない期間が長い場合も不許可の対象です。
3. 生活費の資金計画が不明確な場合
在留資格更新には、在留中の生活資金をどのように確保するかも審査されます。
仕送り、預貯金、アルバイト収入など、現実的な生活計画を立てずに申請すると、「安定した滞在が困難」と判断される可能性があります。
特にアルバイト所得だけで生活しているケースでは注意が必要です。
4. 在留中の素行や法令違反
資格外活動許可の範囲を超えた就労や、在留期限を超過しての申請など、入管法上の違反行為がある場合、不許可のリスクが高くなります。
また、更新時に報告義務を怠ったり、虚偽の資料を提出したりした場合も審査に重大な影響を与えます。
審査で重視されるポイント
法務省や出入国在留管理庁は、審査において以下の要素を重視しています。
- 就職活動の具体的な内容(応募企業数、面接の記録など)
- 活動が専念的かどうか(アルバイト偏重でないこと)
- 日本での進路・職業意識が明確かどうか
- 経済的・生活基盤が確保されているか
- 在留中の素行が良好かどうか
つまり、単に「時間が足りなかった」ではなく、「どのように努力してきたのか」を客観的に示すことが重要です。
ケース例
Aさん(25歳、ベトナム出身)は日本の専門学校を卒業し、「特定活動(就職活動)」に変更して就職活動を続けていました。
しかし、半年後の更新申請時に応募記録が3社のみ、面接1回という状況でした。アルバイトも週28時間の上限いっぱい働いており、就職活動の記録が乏しかったため、「活動実績が不十分」と判断され、不許可となりました。
このような場合、活動報告書に具体的な経過を記載し、大学や就職支援機関からのサポート証明を添付することで改善が可能です。
不許可を避けるためのポイント
- 定期的に応募・面接など、客観的な活動証拠を記録する。
- 就職活動報告書には、具体的な日時や内容を明記する。
- 資格外活動(アルバイト)に偏らず、生活費計画を明示する。
- 期限に余裕をもって更新申請を行う。
- 行政書士などの専門家に相談し、資料の整合性を確認する。
まとめ
「特定活動(就職活動)」は、卒業後に日本での就職を目指す留学生にとって重要な在留資格です。
しかし、更新時には「誠実に就職活動を継続しているか」が厳しく審査されます。
活動実態をしっかり証明できるよう資料を整え、万一不許可のリスクがある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。


