はじめに
国際結婚をして日本で一緒に暮らすためには、「配偶者ビザ」と呼ばれる在留資格「日本人の配偶者等」の取得が必要になります。 ところが、「婚姻届を出したらすぐ申請できるのか」「どのタイミングで出すのが安全なのか」といった点で迷われる方がとても多いです。 この記事では、法務省・出入国在留管理庁などの公的情報を踏まえながら、国際結婚後の配偶者ビザ申請のタイミングと注意点を分かりやすく解説します。
配偶者ビザ「日本人の配偶者等」とは
在留資格「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者(夫・妻)、実子、特別養子などが該当する在留資格で、在留期間は5年・3年・1年・6月のいずれかが付与されます。 一般的には「配偶者ビザ」「結婚ビザ」と呼ばれており、就労制限がなく、日本でフルタイム就労や転職も可能な、自由度の高い在留資格です。
婚姻届の後、すぐに配偶者ビザ申請はできる?
入管法上、「婚姻の事実が確認できれば」結婚直後でも申請自体は可能とされており、日本人配偶者の戸籍謄本(婚姻の記載)や婚姻届受理証明書、相手国の婚姻証明書等が揃えば在留資格認定証明書の申請ができます。 外務省の長期査証案内でも、「日本人の配偶者等」査証は有効な婚姻関係を前提としており、結婚成立の時期による形式的な制限は示されていません。
もっとも、出入国在留管理庁は偽装結婚を防止する観点から、婚姻の実態を重視した審査を行っており、交際期間や同居状況、生活費の負担状況などを質問書や資料で詳細に確認します。 そのため、結婚直後で同居実績や写真・メッセージ履歴などの立証資料が少ない場合、形式的には申請できても審査が慎重になりやすい点に注意が必要です。
実務上の「申請タイミング」の目安
実務では、次のようなタイミング設計がよく用いられています(あくまで一般的な目安であり、どの事務所やケースにも当てはまるとは限りません)。
- 日本で既に一緒に住んでいるケース
婚姻後すぐに同居を開始し、日本側配偶者の収入や住居も安定している場合、同居開始から1〜3か月程度で申請すると、生活実態を示す資料を揃えやすいとされています。 - 海外在住の配偶者を日本に呼び寄せるケース
短期滞在での面会歴やオンラインでのやり取りなど、交際の実態を示す証拠を数か月分準備したうえで、婚姻後3か月前後を目安に在留資格認定証明書を申請する運用が多く見られます。 - 在留期限が迫っているケース
現在の在留資格の期限が近い場合は、不法滞在を避けるため、結婚直後でも必要書類を整えたうえで早めに申請することが優先されます。
なお、どのタイミングであっても、出入国在留管理庁が公表する申請書類一覧や質問書の様式、在留資格認定証明書の手引き等を必ず確認し、自分たちの事情に合わせて資料を補うことが大切です。
早すぎる申請で注意すべきポイント
交際期間が極端に短い、知り合って間もない時期に結婚した、会った回数が少ないなどの事情があると、配偶者ビザ申請では婚姻の真実性について厳しく確認されます。 特に、出会いがマッチングアプリや結婚相談所などの場合、審査官は「偽装結婚ではないか」を慎重に見極めるため、交際経緯や家族同士の関係、将来の生活設計などを詳しく説明する必要が出てきます。
また、婚姻後すぐに別居が続いている、生活費を誰がどのように負担しているか不明確といった場合も、実体のある婚姻生活があるのかどうかが疑問視されるおそれがあります。 こうしたケースでは、同居開始予定日を明記した説明書や住宅契約書、送金記録・オンライン通話記録など、離れていても実態のある交際・婚姻関係を示す資料を丁寧に準備することが重要です。
具体例:どのくらい準備してから出すか
ここでは、実務上よく相談される典型的なイメージを、ご紹介します。
- 例1:日本在住の日本人と留学生が結婚し、そのまま日本で生活したいケース
留学生の在留期限が十分に残っている場合、婚姻届受理後すぐではなく、同居を開始して1〜2か月ほど生活したうえで、写真や家計の状況などの資料を揃えて「在留資格変更許可申請」を行うことが多いとされています。 - 例2:日本人が海外で出会った相手と結婚し、日本に呼び寄せたいケース
海外で一定期間一緒に生活したり、複数回渡航して面会したりしたうえで、婚姻証明書と交際の経緯を説明する資料を準備し、在留資格認定証明書交付申請を行う流れが一般的に案内されています。
ただし、必要な資料や審査の見方は、国籍やこれまでの在留歴、年齢差、収入状況などによっても変わり得ます。 出入国在留管理庁や外務省の公式ページを確認しつつ、個別事情が複雑な場合には、専門家への相談も検討されると安心です。
まとめ
配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)は、婚姻が法的に成立していれば、婚姻届の直後でも申請自体は可能です。 しかし、実務上は「婚姻の実態」と「生活の安定性」が重視されるため、同居実績や交際の記録、収入や住居に関する資料をどこまで揃えられるかを意識して、申請タイミングを設計することが重要です。
在留期限が迫っている場合は早めの申請が必要ですが、余裕がある場合には、婚姻後すぐに慌てて出すのではなく、必要な証拠を準備してから申請した方が、より長い在留期間やスムーズな許可につながることもあります。 最新の要件や必要書類は、出入国在留管理庁や外務省などの公的サイトで必ず確認し、自分たちの状況に合った無理のないスケジュールを立てていくことが大切です。



