はじめに
日本人とフィリピン人の国際結婚では、「日本方式(日本で先に婚姻)」「フィリピン方式(フィリピンで先に婚姻)」のどちらを選ぶかによって、必要書類や準備の順番が大きく変わります。
どちらの方式でも共通するのは、日本側の書類とフィリピン側の書類をきちんと揃え、役所や大使館が求める形式(原本・コピー枚数・アポスティーユなど)を満たすことです。
この記事では、よくある「日本人男性+フィリピン人女性」のケースを想定し、日本側・フィリピン側ごとに必要書類と入手方法を一覧で整理します。
日本側で共通して必要になる書類
日本人配偶者が用意する主な書類
- 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本):
・本籍地の市区町村役場で取得(郵送請求も可)、発行後3か月以内のものが求められる運用が一般的です。 - 住民票:
・現在の住所地の市区町村で取得、日本方式で市役所に婚姻届を出す際に同時提出を求められることがあります。 - パスポート(写し):
・本人確認や在留資格手続きで使用されることが多く、顔写真ページのコピーを添付するケースが多いです。
フィリピン方式で日本人側に求められる書類の代表例
フィリピンで結婚式・婚姻届出をする場合、日本人側は「婚姻要件具備証明書(Certificate of Legal Capacity to Contract Marriage:LCCM)」が必要とされます。
- 婚姻要件具備証明書(LCCM)の申請に必要となる主な書類(日本人側):
・戸籍謄本(3か月以内)
・パスポート(原本+コピー)
・過去に結婚・離婚歴がある場合は、その記録がわかる改製原戸籍・除籍謄本などを追加提出するよう求められています。
LCCMは、在フィリピン日本国大使館または在セブ・ダバオの総領事館で、日本人本人が申請することとされています。
フィリピン人側で必要になる書類(日本・フィリピン共通)
フィリピン人配偶者が準備しておくべき書類は、日本方式・フィリピン方式のどちらでもほぼ共通です。多くがフィリピン統計庁(PSA)発行+外務省(DFA)アポスティーユ付きで求められます。
フィリピン人共通の基本書類
- PSA発行の出生証明書(Birth Certificate)
・PSAのオンライン申請や各種窓口で取得し、DFAアポスティーユ(認証)を付与してもらいます。 - PSA発行の婚姻要件証明(CENOMAR:Certificate of No Marriage)
・未婚であることを証明する書類で、LCCMや婚姻報告(ROM)でも必要とされています。 - フィリピンパスポート
・有効なパスポート原本+コピー。日本在住の場合は在留カードのコピーも求められます。
離婚・死別歴があるフィリピン人の場合の追加書類
これらは、LCCMの申請や、在日フィリピン大使館での婚姻報告の際にも求められるとされています。
日本方式(日本で先に婚姻する場合)の書類
1 日本の市区町村役場に提出する書類(婚姻届)
- 婚姻届書(日本の様式)
・市区町村役場で入手し、署名・押印、証人欄の記入を行います。 - 日本人側:戸籍謄本(本籍地以外に届出る場合)
- フィリピン人側:
・フィリピン側婚姻要件証明(多くの自治体で、在日フィリピン大使館のLCCMやPSA+DFAアポスティーユ付きCENOMARなどを求めています)
・パスポートの写し(在留カードの写しを含むことが多いです)
自治体によって、フィリピン側書類の組み合わせや翻訳の要否が異なりますので、必ず事前に婚姻予定地の市役所に確認することが重要です。
2 駐日フィリピン大使館への「婚姻報告(ROM)」で必要な書類
日本で婚姻が成立した後、フィリピン人配偶者は「Report of Marriage(ROM)」を駐日フィリピン大使館に提出し、フィリピン側にも婚姻を登録する必要があります。
主な必要書類の例:
- ROM申請書(所定様式)
- 日本の婚姻受理証明書または婚姻事項の記載された戸籍謄本(原本+複数部)
- 日本人配偶者の戸籍謄本(婚姻記載入り)、原本+コピー数部
- 両当事者のパスポートコピー(データページ)を複数部
- フィリピン人側のPSA出生証明書・CENOMAR(DFAアポスティーユ付き)を複数部
駐日フィリピン大使館東京の公式サイトでは、ROMに必要な書類と部数が詳細に案内されていますので、最新の情報を確認してから準備することが望ましいです。
フィリピン方式(フィリピンで先に婚姻する場合)の書類
フィリピンでの婚姻手続きは、概ね次の流れで案内されています。
- 日本人が在フィリピン日本国大使館または総領事館でLCCMを取得
- フィリピン側市役所でMarriage License(婚姻許可証)を取得
- 教会または市役所等で婚姻式挙行・婚姻登録
- PSAからMarriage Certificate(婚姻証明書)を取得
1 LCCM申請時の主な書類(再掲)
2 フィリピンの市役所でMarriage License取得に必要な書類
在フィリピン日本国大使館の案内では、LCCMを取得後、フィリピン人が居住する市町村の市役所でMarriage Licenseを申請するとされています。
通常は:
- 双方の身分証(パスポート等)
- LCCM
- PSA出生証明書・CENOMAR
- 必要に応じて親の同意書(特に若年者の場合)
などが必要になりますが、詳細は各市町村のルールによって異なります。
3 婚姻登録後の日本への報告
フィリピンでの婚姻成立後、日本人配偶者は日本側にも「婚姻の報告」を行う必要があります。
在フィリピン日本大使館の資料では:
- PSA発行のMarriage Certificate(婚姻証明書)の認証済み写し
- 日本語訳
- 日本人の戸籍謄本
- 報告的婚姻届出書
などを市区町村役場または在外公館に提出する旨が案内されています。
日本側・フィリピン側の主な書類一覧
事例イメージ:どのタイミングで何を取る?
ここでは、一般的な流れをイメージしやすくするためのケースを紹介します。
例:日本在住の日本人Aさんと、フィリピン在住のフィリピン人Bさんが「日本方式」で結婚する場合
- BさんがフィリピンでPSA出生証明書・CENOMARを取得し、DFAアポスティーユを付ける。
- 日本側でAさんが婚姻予定地の市役所に事前相談し、フィリピン書類の翻訳や有効期限を確認。
- Bさんが短期滞在ビザで日本に来日し、Aさんの戸籍謄本・住民票、BさんのPSA+DFA書類一式とパスポート写しを揃えて市役所に婚姻届を提出。
- 婚姻成立後、戸籍謄本や婚姻受理証明書を取得し、必要部数を用意してROMの準備を行う。
- ROMが受理されると、一定期間後にフィリピン側の記録にも夫婦として反映されるため、将来の配偶者ビザ申請やCFOセミナー受講時にスムーズです。
まとめ
フィリピン人との国際結婚では、日本側・フィリピン側それぞれで「婚姻要件を満たしていること」と「両国で婚姻が有効に登録されていること」を証明する書類が必要になります。
特に、PSA発行の出生証明書・CENOMAR+DFAアポスティーユ、日本人側の戸籍謄本、LCCM、ROMといったキーワードとなる書類は、日本方式・フィリピン方式いずれでも重要な役割を持ちます。
実際に準備する書類の細かな組み合わせや部数、翻訳の要否、有効期限の取り扱いは、市区町村や大使館・領事館によって異なる場合がありますので、手続き前に必ず最新の公式サイトを確認することが大切です。
個々の事情(再婚、年齢差、在住国など)によっても必要書類が変わり得ますので、ケースに応じた具体的なチェックリストを作成しながら進めると安心です。



