はじめに
日本で在留資格「技能」(Skilled Labor)の在留期間更新を控えた方の中には、「過去に交通違反を何回かしてしまったが、更新は大丈夫なのか?」と不安に感じている方が少なくありません。
結論からお伝えすると、交通違反が複数あるという理由だけで、必ず在留資格「技能」の更新が不許可になるわけではありませんが、違反の内容や回数によっては「素行が善良でない」と評価され、不許可リスクが高まる可能性があります。
この記事では、出入国在留管理庁などの公的情報を踏まえながら、「技能」ビザと交通違反の関係、不許可を避けるための具体的なポイントを分かりやすく解説します。
在留資格「技能」とは
在留資格「技能」は、日本の入管法上、調理師、自動車整備士、宝石・貴金属加工、航空機整備、スポーツ指導者など、一定の熟練した技能を要する職種で働くための在留資格です。
法務省・出入国在留管理庁のガイドラインでは、在留資格の変更や在留期間更新の審査において、「その在留が適当と認められる相当の理由」があるかどうかを、活動内容、収入、素行などを総合的に判断するとされています。
したがって、「技能」ビザの更新でも、単に職務内容が要件に合致するかどうかだけでなく、日本での生活状況や法令順守の状況もチェックされると考えておくことが重要です。
更新審査で重視される「素行善良」と交通違反
出入国在留管理庁の「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」では、素行については善良であることが前提であり、良好でない場合には消極的な要素として評価されるとしています。
ここでいう「素行が善良でない」と判断され得る行為としては、退去強制事由に準ずるような刑事処分や、不法就労をあっせんするなど、出入国在留管理行政上看過できない行為などが例示されています。
一方、軽微な交通違反や罰金歴があるだけで直ちに在留資格の更新・変更が不許可となるわけではなく、「相当性」の要件の中で他の事情とあわせて総合的に評価されるとする専門家の解説もあります。
交通違反が複数ある場合に問題となるポイント
民間のビザ解説サイトや専門家のコラムでは、軽微な青切符レベルの違反が1~2回程度であれば、通常の就労ビザ更新において直ちに不許可となるケースは多くないと説明されています。
しかし、短期間に交通違反を繰り返している場合や、信号無視・著しい速度超過など危険性の高い違反が重なっている場合は、「法令を軽視している」とみなされ、在留期間更新でマイナス評価となる可能性が高まります。
特に、飲酒運転や無免許運転、人身事故に伴う重い罰金刑など、刑事処分に近いレベルの違反があると、「退去強制事由に準ずるような刑事処分」に近いものとして、素行善良性に重大な疑問があると評価されるおそれがあります。
よくある不安「何回の違反で不許可になるのか?」
「何回の交通違反があれば必ず不許可になる」というような明確な基準は、法務省や出入国在留管理庁の公的資料には示されていません。
公的な運用はあくまで個別事情を総合的に見るものであり、違反の回数、時期、内容(青切符か赤切符か)、罰金の有無、その後の違反の有無などを合わせて評価するとされています。
専門家の解説では、数年間の中で青切符が1~2回程度であれば就労ビザ更新への影響は小さい一方、短期間に3回以上の青切符が集中しているような場合には、理由書や反省文などで事情説明を行うことが望ましいとされています。
不許可リスクを下げるための具体的な回避策
複数の交通違反がある場合でも、不許可リスクを下げるためにできる対策はいくつかあります。
まず重要なのは、反則金や罰金を速やかに納付すること、反則金の未納・滞納を絶対に放置しないことです。未納が続いていると「法令違反状態が継続している」とみなされ、素行評価に重大な悪影響を及ぼします。
次に、更新申請書の「犯罪を理由とする処分(交通違反等を含む)の有無」の欄に、事実を正直に記載することが極めて重要です。虚偽の申告は、それ自体が在留資格取消しの対象となり得る「偽りその他不正の手段」に該当するおそれがあります。
事情説明書・反省文を用意する場合のポイント
違反が複数回にわたる場合や、違反内容が重いと考えられる場合には、任意で事情説明書や反省文を添付し、どのような経緯で違反に至ったのか、その後どのような再発防止策を講じているのかを丁寧に説明することが有効です。
説明書では、違反の日時・内容・処分状況を具体的に列挙するとともに、現在は安全運転講習の受講や公共交通機関の利用など、再発を防ぐための工夫をしていることを客観的に示すとよいとされています。
また、勤務先からの嘆願書や身元保証人のコメントなど、社会的評価が良好であることを示す資料があれば、素行善良性の判断においてプラス要素として考慮される可能性があります。
ケースで見る「技能」ビザ更新のイメージ
例えば、調理師として「技能」ビザで在留しているAさんが、過去3年間で駐車違反2回と軽度の速度超過1回の青切符処分を受けたケースを考えてみます。
この場合、すべての反則金を期限内に納付し、その後1年以上違反がなく、勤務先も安定しており、納税・社会保険もきちんと行われているのであれば、更新が直ちに不許可になる可能性は高くないと考えられます。
一方で、同じ3回の違反であっても、半年の間に度重なる速度超過を繰り返したり、罰金刑を伴う信号無視や携帯電話使用運転を起こしている場合は、素行善良性により厳しい目が向けられ、事情説明や申請時期の見直しが必要となる可能性が高いでしょう。
公的情報を確認しつつ専門家に相談する重要性
在留資格の運用は、個別事情によって大きく結論が変わるため、最新の出入国在留管理庁の「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」やQ&Aを確認することが重要です。
また、交通違反が複数ある場合や、違反の中に罰金刑を伴うようなものが含まれている場合には、申請前に行政書士など専門家へ相談し、申請時期や提出資料、説明書の内容について事前にアドバイスを受けることが望ましいとされています。
とくに永住許可申請と異なり、就労系在留資格の更新では、収入や雇用の安定性なども含めて総合評価されるため、トータルで「在留を継続させるのが相当かどうか」を整理してから申請することがポイントです。
まとめ
交通違反が複数あるからといって、自動的に在留資格「技能」の更新が不許可になるわけではありませんが、違反の内容や回数、時期によっては、素行善良性の評価に影響し、不許可リスクが高まることがあります。
軽微な違反が少数であれば影響は限定的と考えられる一方、短期間に繰り返された違反や、罰金刑・人身事故を伴う重大な違反がある場合には、事情説明書や反省文の提出、申請時期の調整など、慎重な対応が必要です。
不安がある場合は、出入国在留管理庁のガイドラインやQ&Aを確認しつつ、専門家に早めに相談し、「素行」「収入」「在留状況」を含めた総合的な対策を取ることが、更新許可への近道といえます。


