はじめに
相続登記は、被相続人の不動産を相続人の名義に変更する重要な手続きです。2024年4月からは相続登記が義務化され、より多くの方が相続登記に関心を持つようになりました。しかし、相続登記を行うためには、まず対象となる不動産の正確な情報を把握する必要があります。本記事では、相続登記に必要な不動産登記情報の確認方法と注意点について詳しく解説します。
不動産登記情報の重要性
相続登記を行う際、対象となる不動産の正確な情報を把握することは非常に重要です。なぜなら、不動産の所有者や権利関係、担保の有無などによって、相続登記の手続きや必要書類が変わってくるからです。例えば、被相続人の名義になっていると思っていた不動産が、実は祖父の名義のままだった場合、相続登記の手続きが複雑になる可能性があります。
不動産登記情報の確認方法
1. 登記事項証明書の取得
不動産の登記情報を確認する最も確実な方法は、登記事項証明書を取得することです。登記事項証明書には、不動産の所有者、権利関係、担保の有無などの重要な情報が記載されています。取得方法は以下の3つがあります:
- 法務局の窓口で取得
- 法務局へ郵送で申請
- オンラインで請求
2. 法定相続情報証明制度の利用
2017年5月から開始された法定相続情報証明制度を利用すると、相続関係を証明する書類の準備が簡略化されます。この制度を利用すると、法定相続情報一覧図の写しを取得でき、相続登記だけでなく、金融機関での相続手続きにも利用できます。
3. 名寄帳の確認
名寄帳は、固定資産税課税台帳の通称で、土地や建物などの不動産をその所有者ごとに一覧にしたものです。名寄帳を確認することで、被相続人が所有していた不動産を市区町村単位で把握することができます。ただし、名寄帳に記載される情報はその市区町村の管轄地域内のものに限られるため、被相続人のゆかりの地がある場合は、そちらの市区町村の名寄帳も確認することをお勧めします。
不動産登記情報確認の注意点
1. 地番・家屋番号の確認
登記事項証明書を取得する際は、土地の場合は「所在」と「地番」、建物の場合は「所在」と「家屋番号」が必要です。これらの情報は、固定資産税の納税通知書や登記済権利書、登記識別情報通知などに記載されています。住居表示が実施されている地域では、住所と地番・家屋番号が一致しない場合があるので注意が必要です。
2. 相続登記の義務化への対応
2024年4月1日から相続登記が義務化されます7。相続人は、被相続人の死亡を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。過去に発生した相続についても、2027年3月31日までに相続登記を行う必要があります。
3. 未登記建物への対応
相続した不動産に未登記の建物が含まれている場合、相続登記の義務化に基づいて建物の登記が必要かどうかを確認する必要があります。
4. 住所変更登記の義務化
相続登記の義務化と合わせて、登記上の住所変更登記も義務化されます7。これにより、所有者不明不動産の発生を防ぐことが期待されています。
まとめ
相続登記を行う際、対象となる不動産の正確な情報を把握することは非常に重要です。登記事項証明書の取得、法定相続情報証明制度の利用、名寄帳の確認など、複数の方法を組み合わせて情報を収集することをお勧めします。また、2024年4月からの相続登記義務化に向けて、早めの対応が求められます。不動産登記情報の確認や相続登記手続きに不安がある場合は、専門家である行政書士や司法書士に相談することをお勧めします。適切な情報収集と手続きにより、スムーズな相続登記を実現し、将来的なトラブルを防ぐことができるでしょう。