はじめに
高度専門職外国人として日本で働く際、家族(配偶者・子ども・親など)の帯同を希望する方が多いですが、家族帯同ビザ申請にはいくつかの落とし穴があります。この記事では、不許可となりやすいケースの具体的な例と、その対策方法について最新の情報をもとに詳しく解説します。
高度専門職ビザの家族帯同制度の概要
高度専門職ビザは、専門性の高い外国人材を対象とし、多くの優遇措置が用意されています。家族滞在には「家族滞在ビザ」や「特定活動(告示33号・34号)」などが利用でき、配偶者の就労を認めたり、育児や介助目的で親の帯同も条件付きで可能になります。
家族滞在ビザ・特定活動ビザの主な要件
- 家族関係の証明(婚姻証明書・出生証明書など)
- 日本での扶養力(年収目安300万円以上、親帯同は年収800万円以上)
- 住居の確保
- 書類の日本語訳や認証翻訳の添付
不許可になりやすい代表的ケース
高度専門職ビザ取得後の家族帯同申請で、以下のようなケースは不許可となるリスクが高いです。
1. 扶養者の経済力が不足している場合
主たる在留者の収入が家族全員を養う水準に達していない場合、生活の安定性が疑われます。特に親の帯同を申請する場合は、世帯年収が800万円以上必要です。
2. 書類の不備・提出漏れ
結婚証明書や出生証明書に不備がある、翻訳や認証がない、必要書類が揃っていないといったミスは不許可の大きな要因です。提出書類の内容が不明瞭・形式が公式フォーマットに沿っていない場合も危険です。
3. 家族関係の証明不十分
提出した関係証明書に疑義があると、実際の家族でない可能性があると判断され、不許可になります。追加資料の要求や再申請に時間とコストがかかります。
4. 過去の短期滞在歴が多発している場合
頻繁に短期滞在(観光・商用)を繰り返している場合は「目的の不一致」や「偽装就労」の疑念が持たれ、厳しい審査となりがちです。正当な理由が説明できないと、審査が長引き不許可となる例があります。
5. 配偶者や家族の同居要件不履行
特定活動(告示33号)での就労を目的とした配偶者帯同では、同居が維持されないと資格外活動とみなされ、退去強制等リスクも生じます。
回避方法と成功のためのポイント
- 必要書類を事前確認し、不備なく準備する(公式フォーマット使用・日本語訳添付)。
- 扶養者の収入証明を明確に示す(源泉徴収票・課税証明書・勤務先証明)。
- 家族関係の証明書はきちんと翻訳・認証付きで提出。
- 過去の滞在歴については招待状・滞在記録・ホテル領収書などで正当性を説明。
- 配偶者や親帯同の場合は同居の状況、育児サポート状況を明確に書類で説明。
- 専門家(行政書士等)の事前チェックを推奨。条件に曖昧さがあれば早めに相談。
事例
例えば、Aさん(高度専門職ビザ・年収900万円)は中国から妻と7歳未満の子供及び妻の母親(親帯同)を呼び寄せ申請。しかし、提出した扶養者の課税証明に記載ミスがあり、母親の帯同については日本語訳書類が不足し不許可に。再申請時には専門家のアドバイスですべての書類の日本語訳と公証を揃え、扶養力の補足説明書を添付することで許可が下りました。
まとめ
高度専門職外国人の家族帯同ビザ申請は、手続きや書類の不備、経済力の不足、過去の滞在歴による疑念など、さまざまな不許可リスクがありますが、求められる条件やポイントを正確に把握し、資料を丁寧に準備すれば高確率で許可が望めます。最新の申請基準や出入国在留管理庁・法務省の公式情報を参考にし、万全の準備を心がけましょう。